君へ

『犬飼君、』
信二の唇が薄開きに冥の名前を呼ぶ。
もう返事など、有りはしないのに。
『犬飼君、良かった』
信二の手元から、弾いた様な銃声が響く。
またひとつ「フタリ」の目の前に死体が出来上がる。
『最後に逢えて良かった』
まだ硝煙ののぼる銃を膝に抱え、信二の手が冥の手に触れる。
生きて居るかの様に暖かくて、柔らかい。
いや10分、10分早く彼にたどり着いていれば、
足下に転がる死体のひとつが彼の胸を打ち抜くのに間に合って
彼は本当に、この健康な瞼を開いて、生きていたのに。
・・・そしたら一緒に死ねたのに。
信二の頭の中で、気の触れた後悔の念が悲鳴を上げ続ける。
『犬飼君』
けれどもうそれすら気にならない。
自分も、此処にたどり着く直前に
友人だった人に脇腹を撃たれたから。
もうすぐ同じ所へ行けるのだろうから。
『犬飼君』
何度も名前を紡ぐ。毎日呼んだ名前。愛おしい貴方についた名前。
『私はあなたが好きですよ』
何度も口にした「好き」と言う単語。
血が溢れかえる口内で、噛み締めるように。
そして結んだ手をもう一度強く絡めて。
『あなたは私の事』
ねぇ、犬飼君
『好きでしたか?』
永遠にあなたに触れていたい----------。



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この時点でバトロワ知識が○○○○○○○○だったと言う事は
目を瞑ったとしても、ちょっと題名が通じないだろうから解説。

BUCK-TICKの数年前の曲です。
「君の重さを感じたい/最後に月へと吠えた/目を閉じてさあ行こう/」
の辺りの一部分が凄くバトミス辰犬チックでして。
元々この曲をバトミス絵に使いたいと思っていたんですが、
堪らずフライングで使ってみました。

内容は同じプチグロコーナーの辰犬絵の付属小説っぽいですが
辰羅川の持ってる武器が違いますね。
絵中ではスミス&ウェッソンですが文中では自動小銃です。


帰。