楽を習おう!!〜ある姫の偉大なる決断2〜







「…これが楽譜だよ。」


と、友雅はあかねに文字の書かれた冊子を差し出した。





「…これが楽譜…ですか?」



…とあかねは友雅から受け取った冊子をペラペラとめくりながら不思議そうに見つめた。








この冊子に書かれていたのはこの世界には珍しいカタカナと…横に小さく添えられた、漢
字。







まるで暗号のようである。








友雅は押し黙ってしまったあかねに苦笑しながら、説明し始めた。






「…本来雅楽とは口伝…つまり、口で伝えて習得するものなんだ。だから、聞いて覚える
ものなんだよ。」









「…そうなんですか。」





とあかねはほっとしたような顔で微笑んだ。…どうやら暗号のような楽譜を覚える自信が
なかったらしい。








「…では、まず調子の取り方から始めよう。…基本は四拍子だよ。膝を二拍、床を二拍ず
つ叩いて拍子を取るんだよ。…私をよく見てなさい。」











友雅はすっ…と背筋を伸ばし、









「ひい、ふう、み、よ…」







トン…トン…








…と手にした扇子で拍子を取り始めた。








トン…トン…








トン…トン…








規則正しくリズムが刻まれてゆく。






一つ一つの仕草がとても優雅で…様になっている。










そんな友雅をほうっ…と見つめるあかね。









…トン…








友雅はふと手を止め、ぼーっとしているあかねを覗きこんだ。









「…神子殿?」













「…わわっ!!ごめんなさい!!…格好よくってみとれてました〜。」







赤面しながらあたふた…と答えるあかね。












あかねの反応に満足しながら友雅はふふっと微笑んだ。








「それは光栄だね。……さあ、今度は君の番だよ。私と同じようにやってごらん。」









「は、はい。…じゃあやってみます。」






と、あかねは背筋をピンと伸ばした。













そしてあかねが拍子をとろうとした瞬間、友雅は思い出したようにこう告げた。










「…ああ、神子殿。楽をするときは正座ではなく、あぐらをかくのだよ。これを雅楽では
楽座と呼ぶのだよ。」










「そうなんですか。」





とあかねは感心しながらあぐらをかこうとしたとき…










ボボボボッ










あかねは急に火を吹いたように真っ赤になりながら友雅に、











「…ごめんなさい!着替えてくるのでちょっと待っててください!!」






と小さく告げてから




ダダッ




と駆けていった。










…そう、彼女はスカートをはいていたことに気付いたのである。






実はこの拍子の取り方って結構難しいんですよ〜。楽譜はさっぱり解読できないし。(解読とか言ってるくらいだし。)
いつも如月は途中でわけがわからなくなって半泣きになります。あと、やっぱりスカートをはいて演奏はできませんし。
本当に演奏時にはあぐらをかくんですよ。正座が苦手な如月にはやりやすいです。