[みんなのうたI 〜殺意〜] また跡部視点。














ああ、こいつを殺そう。 跡部圭吾はこれまで15年間生きてきた中で、125回目の殺意をその胸に誓った。 不幸中の幸いは、こいつが女の恰好をしていたため、周りはそこまで騒ぎはしなかったことだ。 向日と喋っていたその時。 髪の長い女子生徒が、ふらりと自分の前に現れて。 自分の正面に立ち止まった。 怪訝に思う跡部の頬に手を当てて、有無を言わせず唇を奪われた。 ふわりと甘い香りが鼻につく。 柔らかな唇の感触。 しばらく呆然としていた跡部は、はっと我に帰り慌ててその女を跳ね除ける。 「・・・・な、なんだオマ・・・・」 唇を手で拭いながら、女を見て再び固まった。 膨らみのある胸に、細い脚。 切れ長の瞳に、薄く青いアイシャドーがよく映える。 長い睫毛。 うっすらとルージュを引いた唇には、微笑を浮かべている。 どこから見ても、黒髪の美少女に見えた。 跡部に跳ね除けられて柔らかそうな長い黒髪が両肩を越えて、はらりと胸元に垂れる。 その美少女めがけて、跡部は拳を上げる。 「うわっ!そう怒るなや・・・」 お馴染みの関西弁。 拳に、掠めた髪の感触が伝わる。 余裕で跡部の攻撃をかわすそいつが声を掛けるが、それを無視して、もう一発。 「・・・っと、あはは。本気で怒っとる?」 難無くかわしながら、けらけらと笑う。 この笑い方。 跡部は一目で分かった。 氷帝学園の女子生徒の制服を、違和感なく着こなしている(これが貸衣装なのか?)見知った男。 そいつは間違いようもない、転校してきた忍足侑士だった。 「殺す!貴様、絶対殺すっ!」 言いながらも、殴りにかかる跡部をひらりひらりと忍足がかわす。 その様子が跡部の怒りに拍車をかける。 「・・・お、おいマズイって」 周りも何があったのだと覗き見る生徒もではじめ、おもしろそうに傍観していた向日が慌てたように声を掛けた。 何も知らないものから見ると、女子生徒に殴りかかる危険な男でしかない。 「うるせぇ、離せッ!向日!!」 向日は身軽に跡部の背後を捉えて、後ろから羽交い締めにされる。 だが、このこの男を一発殴ってやらないと気が済まない。 もがく跡部を尻目に、この女装した男は「何か悪いことした?」という感じの飄々とした顔で跡部を見やる。 (・・・コ、コロス!!) 「ほ、ほら侑士、もう体育館に集まらないと・・・」 一層怒り出す跡部を向日が必死に押さえながら、どうにか忍足をこの場から離れさそうとする。 「・・・・せやな〜。なんか女子が違う服着ろって言ってたし・・・ジョンも出ればよかったのにな〜」 向日がそう告げると危険を察したのか、忍足は跡部に可愛らしくウィンクしてその場を去った。 「・・・・・・・・・忍足、覚えてろよッ」 何事も無かったかのような忍足の振るまいに、跡部は怒りのあまりその顔を引きつらせながらやっとそう吐き捨てる。 そんな跡部を気の毒そうに見ていた向日が、 「跡部、そんな怒るなよ・・・オレもされたし」 じゃあな。っと何気にすごいコトをさらりと言いのけて、忍足を軽やかに追いかける後ろ姿を呆然と見ていた。 ふわりと舞う向日のスカート。 脱力して跡部はうなだれた。














正直、申しますとこの話って忍足に女装させたかっただけの話なんです(爆) すべてそのために・・・!ある意味、すごいですね自分!