[みんなのうたE 〜誰もいない部屋〜]
「今で謂う、“神隠し”ってやつや」 言ったと同時に、ガシャーンと大きな音が鳴った。 ジローの心臓が飛び跳ねる、大音響。 しかし、実際はただ単に忍足がいじっていたボールの横にある、計量スプーンのセットが落ちた音。 「あらら・・・」 忍足が屈む。 彼を見て何枚も落ちたスプーンを、慌ててジローも拾おうと屈んで拾い始めた。 どきどき、と心臓が早鐘のように鳴っている。 二人とも喋らずに黙々と拾っていると、くすくすと笑う声がする。 「・・・?」 ジローは不思議に思って忍足をみると、彼は愉快そうに笑っていた。 「かなり驚いたやろ?自分」 人の悪い笑みを浮かべてる忍足。 どうやら自分は彼にからかわれたらしい。 「・・・・オシタリ」 「んー?」 忍足はまだ笑いながら、スプーンの拾っている。 束にしていなかった計量スプーンは、床のあちこちに散らばっていた。 「オレ、朝、弱いんだ」 「は?」 「聞いて」 飛拍子もない台詞に、忍足がジローを不思議そうに見る。 でもジローの強い言葉に気下ろされて、聞く態勢に入ってくれた。 「オレね。朝、ゼンゼン起きられないんだ。朝練でも遅刻したりして、よく先輩に怒られたりしてる。でも、今日は誰にも起こされずに自分で起きたんだ」 買出しに言ってる途中、言いたかった言葉。 「そうなん?えらいねー」 「だからテニス部に入って」 「は?」 他人事にどうでもよさそうな相槌を打っていた忍足の、今までスプーンを拾っていた手がピタリと止まる。 眉を寄せて、じっとジローを見た。 「・・・何のことや?」 「今日の朝、オレが時間どおりに来たらテニスするんだね?」 「なんでや?」 「やくそくだよ?跡部が言ってた」 “今日の朝、ちゃんと指定の時間に来たら忍足がテニス部に入る”って跡部に聞いた。 「・・・・おい、勝手に話進めんなや・・・ジロー、本人がいないって段階でちょっとはアイツを疑え!」 呆れたように溜め息を付かれた。 「アイツ、あのマリアにうるさく言われんのが嫌で、オレのこと売りよったな・・・って、基本的にあの男、勝手に人の事決め過ぎちゃうん!?」 ジローと試合させるわ、クラブに入れ言うわ、挙句に本人の了解もせずに周りと約束させるわ。 ぶつぶつ忍足が言う。 「じゃあ、入らないの?」 せっかく、頑張って起きたのに。 『そんなに忍足にテニス部入ってほしいのかよー!』 遅刻もしないで登校した自分に、からかいながら向日に言われたのを思い出す。 「・・・そんなに入ってほしいん?」 忍足に向日と同じことを言われる。 「うん。忍足ともっとテニスしたい」 そう言ったら、ぱちくりと目を瞬かせた忍足。 それから少し間を置いて、口を開く。 「・・・朝練、大変そうやしなー」 「そんなにたいへんじゃないよ」 「ジローは起きれないんとちゃうん?」 「起きれるよ」 勢いに任せて言ったら、『都合のいいやつやね〜』っと呆れられた。 (入らないのかなー) って思ってたら、忍足がオレを見て苦笑した。 「なんて顔しとんの」 笑いながら、オレの髪を忍足の手でくしゃくしゃとされる。 (ヘンな顔、してた?) 「ええよ」 (?) 一瞬何のことか分からなくて不思議に思ったらまた顔に出ていたらしく、忍足が続けてこう言った。 「オレもジローとテニスしたなってきたし、入ったるよ」 忍足は楽しそうに笑った。 「・・・・ほんと???」 「うわっ!?」 ジローは嬉しくなって、忍足に思わず抱き付いた。 その勢いに忍足が座っていたバランスを崩して、台所に頭を打つ。 その弾みで、一瞬にして白い粉が二人に降ってきた。 カラーン、とその横で音が聞こえた。
ジロって、スキンシップ過多? 抱き付いてくる子って学校の時にいたのです。レズごっこ・・・おもしろかった。 男の子でもいるかなー?(ドリーム) 忍足さんってこういう子に弱いっぽくない?弱いっぽくない?(誰に聞いてるの・・・・) 前と同じ終り方・・・