「パイロットが一人でも行きてる方に賭けるか……アンタらしいよ、レナさん」
リョウは紅茶の用意をしながら、軽い口調で私に話しかけてくる。
「私は一応、医者でもあるんだから、当り前でしょ」
言いながらも私は作業の手を休めない。
「しっかし、ヒデェもんだなぁ〜オイ…。
この戦闘機、使徒に後部をえぐられるわ、その時のエネルギーの空回りで損傷部分から爆発を起こすわ、
墜落の時に先端の半分は潰れるわで、戦闘機って言うより、鉄の塊だよ、これ」
リョウがそうやってベラベラと喋ってる間に、
私は『ヘルメス』を使って、ツヴァイのコクピットのハッチを開く。
ウィィィィィィン。
ツヴァイの外側も、リョウが言うような酷い物だったが、コクピット内部も酷い物だった。
コクピット内の機器、シート、ハッチ等、内部の半分が、
ツヴァイに乗る二人の人間の体から流される血によって、紅色に染められていたのだ。
後部座席に座っている血だらけのパイロットは、耐熱・耐火のブラックスーツに、
鷹の頭をイメージした黒いヘルメットを着けていた。
その男は、体中から多くの血を流していた、どうやら機器の破片が体中に刺さったのだろう。
見れば、スーツ自体も焼けた所為か、かなりボロボロだった。
もう一人のパイロットは……潰れた先端が圧迫して、シートとの間から生えてる右手だけしか見えなかった。
私はその光景を見て、『哀れ』に感じた。
「こりゃあ、駄目だろうな……前に座ってる奴は、全身グチャグチャに潰れてて、
後ろに座ってる奴は、全身出血多量ときたもんだ、生きてる確率なんて…ゼロに等しいぜ……」
そう言ってリョウは、ツヴァイの潰れた先端とシートの間に突き出ている武骨な右手を、
物悲しそうな目で取り出す。
ブチッ。
その右手はいとも簡単に千切れ、リョウの右手に掴まれながら、傷口から流れる血を宙に舞わせていた。
「完全にゼロって訳じゃ無いでしょ?」
私は既に後部座席にいるパイロットの脈拍を調べる。
「それに、僅かな可能性を信じないのは…人生を捨てた老人よ…」
そう言って私はリョウに微笑む。
その直後、リョウは途端に呆け、
「アンタのその顔見てると…本当に二十代後半には見えねぇんだよなぁ……」
と言った。
「アラ、それはお誉めの言葉?」
「イヤ、けなしてんの。『二十七の癖に、そんな微笑みをするんじゃねぇ』って意味合いを込めて…」
その瞬間、私はリョウに対して強烈な殺意を覚えた。
「……良い度胸してるじゃない……帰ったら『処刑』決定ね……」
怒りに震えた私は、怪我人の手を握り潰そうかと思う程に握り締めた。
「ちょ、ちょっと待ってくれよぉ…本当の事なんだから……仕方ねぇだろぉ……」
『処刑』と聞いて慌てていたリョウは、更に追い打ちをかけてくる。
本人は弁解をしている様だが、全く弁解になっていない。
「とにかく、この怪我人をここから引きずり出しなさい」
そう言って私は、コクピットから降り、
翼部の上に置いてある『ヘルメス』を動かす。
「何やるつもりなんだよアンタ」
リョウは怪我人を背負いながら私に問う。
「ライト(ライトニングカイザーの略称)のパイロットが誰かを調べるのよ。
その為には、ライトと通信を繋ぐのが一番てっ取り早いのよ」
私は淡々と言う。
「はいはい、そうですか」
リョウは呆れながら、怪我人を背負ったままコクピットから大地に飛び降りる。
私は構わず作業を進める。
ピー。
『ヘルメス』からの信号音が出る。
端末とライトの通信を繋ぐ事に成功したらしい。
「さて、じゃあ通信を…」
「武藤将に繋げ!早く!」
「ヒャッ!」
私はいきなりの大声に驚くが、そこで『ヘルメス』の…端末のスピーカーの音量が最大である事に気付く。
取り敢えず映像は無理でも、音声は取り出せた様である。
とにかくこの音量だと耳が潰れそうなので、すぐに音量を減らす。
私はハッと、なり、すぐに下にいるリョウを見る。
リョウもさっきの音量に驚いた様で着地に失敗し、怪我人の下敷きになったいた。
時々ピクピクと痙攣している。
「もうこちらから繋いだ。何だ、榊三佐」
ん………この声……何処かで……
「武藤将!バスターキャノンは危険です!あれはこの要塞都市どころか、日本列島を二つに分けてしまいます!」
「それ以上に、あの『化け物』をこのままのさばらせる方が危険だ。
何せ、この星全体を滅ぼす可能性を持っているからねぇ…」
私はそこで、『ヘルメス』のスピーカーから流れる二つの声が……
私の知る人物……武藤ゲンゾウと榊リュウマである事を理解する。
同時に私は、不意に笑ってしまった。
余りにも『シナリオ通り』な為に……。
「しかしっ!」
「大丈夫だ、何もフルパワーでやるのではない、『要塞都市』に被害を与えない程度。…50%に絞った」
「それでもN2兵器と同等でしょうっ!!!」
「…だが………ん、そうか、わかった。……エネルギーチャージが完了した…。
…命令だ、帰還せよ……」
「…………………………了解」
…………………………
私は通信を切り、電子双眼鏡を使って第三新東京市にいるライトを見る。
私の目に映るライトは、人型から飛行型へと変形を始めた。
機体は浮かびながら両腕の肘の部分が肩口まで上がる。
次に、両足の爪先の部分が、真下に方向を変え、同時に両足が腰から分離する。
分離した両足は、それぞれ、膝を外側に向け、内側同士をドッキングさせる。
ライトの胸の中心がガパッと開く。
その直後に頭部が半回転しながら、胸の中にあった深い窪みの中に入る。
入ったと同時に胸の扉が閉まり、
頭部のない両肩の間(首であった場所を除いて)の装甲板が、肩口の方を支点として開く。
開いた所からは、精密に作られたメカニズムの部分があった。
その部分と、両腿を引っ込めて半分以下の長さとなった両足がドッキングする。
記録によると、この間、わずか0.7秒。
そして、空に待機していた主翼の役目を果たす小型ジェット機……『イカロス』が、
腹部にある軟性金属のクレーンで、ライトの腹部をどこかのアニメみたいに、ベルトの様に挟み込む。
最後に腰部の両足を繋ぐ部分からブースターが出てきた。
ここまでで……三秒。
これが可変型戦闘機、『ライトニングカイザー』の変形機構である。
人型形態から飛行形態へと戻ったライトは、第三新東京市を後にする。
「おい、いきなり逃げてったぞ。あの金ピカ」
下敷きになっていたリョウは、いつの間にか立ち上がっていた。
「そりゃそうよ。『天上都市』の封印兵器、バスターキャノンが発動するんだから」
第三新東京市から離れるライトを目で追うリョウに対して、
私は平然と『究極の破壊兵器』の事を伝える。
「…………………………」
リョウは目を思いきり丸くしながら私を見る。
「大丈夫よ。今は『シナリオ通り』に進んでいるから、『バスターキャノン』はここまでこないわ」
私はそう言って、右人さし指を下唇に当てて笑った。
「…………なるほど……ね………!!」
リョウはいきなり何かを察知し、すぐさま使徒のいる方向に顔を向ける。
それに私も続く。
見れば、使徒の異常な程に大きい両肩が、剥がれる様に開き始めていた。
ギギギギギギギギギギ………………。
遠く離れているのにも関わらず、両肩が開く際に発せられる、骨の軋む様な音が私達の耳に届く。
両肩が開かれたと同時に、中から生態的な大筒がでてきた。
「な、なんだぁありゃぁぁぁあああッ!!?」
リョウは、両目を思いきり丸くしながら叫んだ。
「光線でも撃つ気かしら………」
その直後、その大筒の発射口の前から、青白い光の球が現われる。
「……マジで出すの……」
余りにもパターン通りな事に、私は呆れ顔になった。
ピーピーピー。
「ン?」
『ヘルメス』からの信号音に気付いた私は、すぐさま端末の画面を見る。
どうやら自己計算で、あの大筒のエナジーを調べた様である。
画面に映る数字を見た途端、私の意識は一瞬だけ真っ白になった。
「リョウ、ちょっと来なさい。何もしないから」
私の言葉に、リョウは恐る恐る近づき、横から端末の画面を眺める。
「えーと、エナジーポイントAX38……オイ、それって……」
「そうよ。あの使徒のアタックレヴェル、あの大砲の攻撃力は……『Y・C(イェツラーズチェセド)』よ」
私の発言に、リョウは両目を大きく見開く。
「『Y・C』……『形成界』の…………そんな強烈なモン食らったら!『天上都市』はッ!」
「大丈夫よ」
慌てるリョウに対して、私は平然と答える。
「『バスターキャノン』のエナジー量も、それと同クラスはあるもの」
「だがよぉ、50%なんだろ!?今回の『大砲』のエナジー量は!」
「だからぁ、50%で『Y・C』クラスなのよ」
リョウはしばし沈黙した。
「……どうやら、アンタの作るモンは世界一危険な物と理解した方がいいらしいな…」
「どーいう意味よ、それ?」
呆れ顔でつぶやいたリョウの言葉に、私は少し腹がたったが、
今はそんな事を気にしている時ではない。
もし、『アムレス』の計算が正しければ、
『バスターキャノン』は、あと数秒程で……。
グォォォォォォォォォッ!!
二つのエナジー波の衝突と同時に、第三新東京市の上空から半球体の光の膜が現われる。
それはまるで、下の都市を覆うドームのような物であった。
青白く輝くそれは、まさに……夜であれば芸術的な情景であった。
「……対消滅……」
使徒が開いた肩を戻していく様子を見ながら、私はぽそりとつぶやいた。
同クラスのエナジー量、同じ種類のエナジー同士が衝突して起こる現象。
それが対消滅である。
「………綺麗………」
私はその美しさ魅かれていた。
「グルルルルル………」
ふと、後ろから何かの唸り声が聞こえた。
振り向くと、後ろの森の中から野性の大型犬が出てきた。
その生傷や汚れの多い姿から察するに、生まれた時から野に生きてきた犬である。
「……犬…なのかしら…あれ?」
私は怪訝に思った。
犬とは言ったものの、セントバーナードやピレネー犬並みに大きいというのに、
シベリアンハスキーの様に目の色素が薄く、
白い体毛は、何故か闘気を纏うかの様にざわめき、
目つきは、極限と言っていい程に細長く、鋭い目つきであった。
「オオカミ犬とも違うって事は…セカンドインパクトの影響で生まれた新種ってやつか?」
「それは絶対にないわ」
リョウの間抜けな言動に突っ込みをいれてから、
今まで忘れていた怪我人の方へと歩み寄る。
「ウゥゥゥゥゥ……」
と、同時に、犬(?)はさっと身構える。
「このままだと、私を襲いかねないわね……」
しばし考えて、
「リョウ」
「はいはい。犬を何とかすりゃいいんでしょ」
リョウはそう言って、平然と犬の方に歩み寄る。
「グゥゥゥゥ………!」
犬の殺気が、大きく膨れ上る。
ザッ、ザッ、ザッ………
草を踏む音を出しながら、リョウは構わず、犬の『射程範囲』内に入り込む。
その瞬間、犬はリョウの喉元めがけて襲いかかって来る。
そう思った。
だが実際は、襲う様子もなく、むしろ犬の体内から発せられる殺気が段々と消えてきた。
多分、リョウの『瞳』(め)を見たのであろう。
「やっぱり…動物には解るのか……俺が何なのか……」
犬の頭を撫でながら、リョウはぽそり、とつぶやいた。
その背中は、何か物悲しそうだった。
「……リョウ……」
私がリョウを後ろから抱き寄せようとした、その時である。
デスクに置いてある『ヘルメス』から、特殊な信号音が流れた。
「この音は……まさかッ!!」
そう言っては私は後ろを振り向いた。
フィフィフィフィフィ………
コクピット内から流れる機械音に、惣流アスカ・ラングレーは、表情こそ無いが戸惑っていた。
精神の安定していない今の彼女にとって、
その機械音は生き物の鼓動の様に、誰かが自分を話しかけてくる様に思えた。
アスカは泣いていた。
エヴァを動かせない事から、自分のプライドがズタズタになった事から、
流すまいとしていた涙を、LCLの海に溶かしていた。
「どぉして……どぉして動かないのよぉ……どぉしてぇ…」
何度もインダクションレバーを引いても、聞こえるのはコクピットの機械音だけである。
リョウは第三新東京市から現れたエヴァ弐号機を見た途端、意識が真っ白になり、固まっていた。
頭部は、下から吹き上げる様な炎を前頭部で表現し、
目は従来の円柱型のサーチレンズだが、前以上の多くの装甲板で構成された顔部。
炎を巻上げたかの様なイメージを与える肩部と腕部。
胸部は渦巻く炎が肩に向けて燃えているのを表現しているパーツで、
その下の腰の部分や腹部は、従来よりも更に重厚感が増している。
更に下の脚部は、炎の形をした装甲板が幾つも取り付けられている。
その姿は、自らを見ている者全てに、
強さ、美しさ、そして、真紅の輝きと畏怖を与えている、リョウにはそう感じた。
リョウにとって、この姿を形容できるのはただ一つ、
それ以外に形容できるものなどなかった。
「リョウ。『ヘルメス』の画面を見てみなさい」
レナの一声で意識を戻したリョウは、すぐに『ヘルメス』の画面を覗く。
「…このレヴェルに間違いはねぇんだよな……レナさん」
「私の機械はウソをつかないわよ」
リョウの問いに、レナはあっさりと答える。
「じゃあ、あの弐号機の戦闘力は、従来の2・5倍じゃねぇか……」
リョウは声を少しかすらせながらつぶやく。
「姿だけじゃなく、戦闘力もハンパじゃねぇとは……まいったぜ……」
リョウのその表情は、前髪で隠れている所為で解り辛いが、
明らかに歓喜に震える表情だと、レナには解っていた。
「おっと、ぼーっとしている場合じゃなかったわ」
そう言って、レナは『ヘルメス』の端末を動かす。
ピィンッ!
作業開始から、約1秒して、『ヘルメス』からそんな音が出てきた。
「さてと、これでナパームビットのコント……」
「やべぇッ!! 化け物の奴、スピードを変え……」
ガガガガガガガガガドォォォン!!
「………ロールは『ヘルメス』の支配下になったわ……」
「………てきやがった……」
レナの声を遮る様なリョウの叫びを遮って、使徒の右掌底打ちが弐号機の顔面にめり込み、
弐号機を市街地の中心から、レナ達のいる双子山とは全く逆の方向の、
丘の上公園の展望台まで吹き飛ばす。
弐号機が吹き飛ぶ際に、地面がえぐれ、吹き飛んだ軌道上にあった兵装ビルが粉々になる。
展望台にめり込んでいる弐号機の、四つの目の内の右上の目…サーチアイも、
使徒に殴り飛ばされた際にへしゃげていた。
「……レナさん……」
「何?リョ………」
言ってレナはリョウの方を見ると、
戦場と反対の方向を指差していた。
「え?」
レナはリョウの指差した方向を見ると、
そこには、体中から血を噴き出している戦自隊員の式嶋カツヤと、
その式嶋を狙っている、犬がいた。
「ちょっとストップよッ!ワンちゃん!!」
そう言って、レナは慌てながら式嶋の治療に向かう。
「ワンちゃんって……アンタ…」
『ヘルメス』から送られてきたいきなりの破壊音に、リョウはすぐさま視点を戦場に戻す。
見ると、使徒の飛び左踵落としが、弐号機の脳天にめり込んでいた。
同時に、左上のサーチアイも踵落としの衝撃波でへしゃげる。
「今度は…踵落としかよ……」
リョウは顔を引きつらせながら、そうつぶやいた。
使徒の攻撃は止まらない。
着地と同時に、左手で弐号機の首を掴み上げた使徒は、
体をまたもや黒く変色させ、右手から短い光の剣を出現させる。
「また『気孔刃』(オーラブレード)のATFバージョンか……」
リョウは戦場を睨みながらつぶやいた。
そして、使徒はそのまま弐号機の顔部に、『紅く輝く』光の剣を叩き込んだ。
バキャッ!!
光の剣によって、残りのサーチレンズが壊れたと同時に、弐号機は空高く舞い上がる。
ドォォォォォン!!
派手な墜落音と共に、弐号機は出撃した地点に落下する。
頭から落ちた為、弐号機のサーチアイは墜落の際に全て外れる。
外れた目からは、目の形をした装甲の隙間が4つあった。
「あの様子だと、頭部の装甲にも亀裂が入っているな……」
「頭部の損傷率は23%ジャストよ」
リョウの心情を見透かすかの様に、いつの間にかチェアーに座っていたレナは、
『ヘルメス』から出た情報をリョウに伝える。
「戦車大隊を一瞬にして滅ぼした、あの攻撃を受けてたったの23%だと……?」
リョウは驚きを隠せなかった。
「で、リョウ。貴方はこれを見てどう思う?」
言ってレナは『ヘルメス』の画面をリョウに見せる。
画面には、弐号機パイロット…アスカの心理グラフが映っていた。
「……ヤバイな…『目覚める』ぜ……」
「『予定通り』にね……」
リョウはレナを睨む。
「気持ちは解るわ、リョウ。でもね、貴方は『あれ』を止めてはいけないのよ…」
レナは物悲しそうにつぶやく。
「………………」
それでもリョウは、レナを睨むのを止めなかった。
そう言えば……どうして私…また未練たらしく、エヴァに乗っているんだろう。
アイツがいる所為で、
ガクン!! 衝撃
「うあッ……あうッ……!」
…痛い…………
体中がズキズキする……
何でエヴァは動いてくれないの?
動けって、何度も言っているのに……
首を吊っているアスカの母。
猿の人形を持って泣いているアスカ。
母の墓の前にいるアスカ。
同い年の男の子に右手首を掴まれる10歳のアスカ。
加持と一緒に、公園のベンチに座る12歳のアスカ。
大学の廊下を一緒に歩く、アスカと常緑色の目をした、金髪の友人。
第六使徒の口を開く弐号機。
ソニック・グレイブで第7使徒を二つに分ける弐号機。
第14使徒に両腕を切断される弐号機
第15使徒の精神波を受けて、身悶えするアスカ。
そうだ、皆に私を見てもらいたかったんだ…
そのために、私はいろんな事を勉強したり、
いろんな事をした。
でも、
アスカと一緒に、弐号機のコクピットに乗ったシンジ。
ユニゾンの訓練で失敗を繰り返すシンジ。
第11使徒の落下を押さえる初号機。
第12使徒の中から現われた初号機。
いつも「ゴメン」と謝るシンジ。
触れ合うシンジとアスカの唇。
アスカに電話を渡すシンジ。
満面の笑顔を浮かべるシンジ。
アイツには、勝てなかった…
この私が、あんなヤツに…!
何も出来ない、
いつもウジウジしてて、
欝淘しい、
あんなヤツにッ!
私は負けたの!?
私は使徒に勝てないの!?
だから皆は、私じゃなく、シンジを見るの!?
イヤッ!!私を見てッ!! フラッシュバック(2秒)
横向きの幼いアスカ。
父から人形を貰うアスカ。
首の千切れた、ラガディ・アン人形。
胴が裂けた猿の人形。
泣きじゃくるアスカ。
弐号機を誇らしげに語るアスカ。
インダクションレバーを引くアスカ。
風呂上がりのアスカ。
驚愕するアスカ。
参号機に倒される弐号機。
両腕を押さえるアスカ。
ビルの屋上で体を丸めたアスカ。
すすり泣きながら、インダクションレバーを何回も引くアスカ。
汚れた水に浸る全裸のアスカ。
私を見捨てないで!!
今から敵を倒すから、
私を消さないで!!
胸が痛い……
……使徒………。
…死ぬの……私……?
…イヤ………
死にたくない…………
死ぬのは…イヤ…
死ぬのは…イヤ……死ぬのは…イヤ…
死ぬのは…イヤ……死ぬのは…イヤ……死ぬのは…イヤ……死ぬのは…イヤ……死ぬのは…イヤ……
死ぬのは…イヤ……死ぬのは…イヤ……死ぬのは…イヤ……死ぬのは…イヤ……死ぬのは…イヤ……
ドクン。
…何?この感触……
今、誰かに抱かれている…?
誰なの?
けど、この感触……
なつかしい………
それに…あったかい……
………ママ…?
ママなの……?
ママなのね!
ママなんだ!!
いつも…いつも私の側にいてくれたのね!
ずっとここにいたのね!
いつも私を守ってくれたのね!
ヴンッ