「アスラン、今何か欲しいものある?」
「いや、特にないけど。」
「・・・・。」
「キラ?」
「もう!それじゃダメなんだよ!」
「ダメって何が?」
「だ、だから〜〜〜・・!!!」

・・さっきから会話がすっかり成り立たないこの二人・・キラとアスランだけれど、それはいつもの事で。
学校からの帰り道。
見慣れた街を並んで歩く。
そんな平和な日々が当たり前のように繰り返されていた。

今日は10月28日。
キラが必死になるのも無理はない。
だって、明日は・・・・・。


『幸せの形』


「さっきから何なんだよ、キラ?」
「アスランが欲しいものを教えてくれないからだよ!」
「だから、特にないって。だいたい急に言われても難しいだろ。
もう少し時間があればともかく・・。今すぐにって言われても、な。」
「ほら、でも何かあるでしょ?この前発売したばっかのゲームとか・・・。」
「それはキラが欲しいものだろ?」
「うっ・・・。」
「だいたい、何で今すぐなんだよ?もう数日待ってもらえれば何か考えておくけど。」
「そ、それは・・。」

明日がアスランのお誕生日だから・・なんて言えるわけもなく。
こっそりプレゼントを用意して、アスランの喜ぶ顔が見たい為なんて。
・・だったらもう少し早く聞いておくべきなのだが、そこはキラらしいというか、
結局は前日になってしまった。
忘れていたわけではない。
何がいいんだろう?と散々考えているうちに日は1日1日と過ぎていき・・・
気づいたら前日になっていたというわけだった。
こうなったら本人に聞くしかない!という結論に達したキラは、こうして聞いているのだが・・。

小さい頃は悩まなくても良かった。
お菓子でも、折り紙で作ったものでも、広告の裏に描いた落書きでも。
そんなちょっとしたものでも良かった。
しかし、それもだんだんと二人が成長していくと、そういうわけにもいかなくなってくる。
アスランは、手先が器用で何でも作れるからいい。
ここ数年キラへの誕生日のプレゼントは、手作りのロボットだった。
それがキラにはとっても嬉しくて、同じようにアスランにも喜んでもらいたかった。
なのに・・・。
考えれば考えるほど、これといったものが思い浮かばない。

「う〜・・・・・。」
すっかり困って、黙りこくってしまったキラ。
「な、キラ、明日じゃダメかな?」
「え?でも明日じゃ・・。」
「大丈夫。」
「う、うん・・・。」
何が大丈夫なのか知らないが、自信満々に頷くアスランを見ると、キラも頷くしかない。
「じゃあ、また明日。」
「うん。」
キラの家の前に着くと、アスランは、いつものようにキラのほっぺたに軽くキスをして、振り返ると手を振った。
ほんとに大丈夫なのかな・・?とぼーっと考えながら、キラも手を振り返していた。


次の日。
10月29日の朝。
今は秋の季節だから早朝は少し肌寒いけれど、それがまたシンとしていて心地よく感じられた。
アスランがキラの家に寄って、一緒に登校するのが日常になっていた。
とはいえ寝ぼすけのキラは、いつもギリギリで。
朝からアスランに怒鳴られるのだが。
・・それもまた日常で。
『もっと早く課題をやればいい』だの『夜遅くまでゲームをしてるからだ』だのさんざん
アスランに小言を言われながらの登校。
もっとも、寝ぼけているキラにはその言葉もどこまで届いているのか分からないが・・。
というか、届いていても変わらないのだろう、きっと。

「キラ・・!?」
アスランはキラの家の門の前に人影を見つけて、それがキラだと分かると駆け寄る。
「あ、アスラン、おはよう!」
「あ、ああ・・おはよう。キラ、どうしたんだ、こんな朝っぱらから!?」
「朝っぱらじゃないよ、いつも通りの時間だよ?」
「それはそうだけど・・。」
朝からこんな爽やかな笑顔のキラを見られるなんて、年に何回あっただろうか・・?。
とりあえず、遠足とか・・そういう行事の時にはあったような・・。
キラの眩しい笑顔に見とれつつ、そんな事をぼんやりと頭の片隅で考えるアスランだった。

「ね、アスラン!?プレゼント考えてくれたんでしょ?何!?」
わくわくとしたキラにそう聞かれて、アスランも我に返る。
「あ、そうだったね。・・キラ、ちょっと耳かして?」
「?」
何だろう?と思い、首をかしげつつも、言う通りにする。
『・・今日1日、キラと一緒にいたい。』

思いがけない言葉に、一瞬キラは怪訝な顔をして、
「だって・・今から学校行くんでしょ?今日だっていつも通り一緒にいられるよ?」
そう言うキラは、全く意味が分からない・・といった感じでアスランに視線を向ける。
「ああ、ごめん。言い方が悪かったかな?・・今日1日・・キラと二人だけでいたい。」
「だって、これから学校だよ?二人きりなんて・・・。」
「学校は休めばいい。キラは俺と二人で居たくないの?」
「そういう問題じゃ・・。だって、休みの日だっていくらでも・・。」
「今日、だから意味があるんだろ?・・俺の誕生日。」
そう言うと、悪戯っぽく微笑むアスラン。
「あっ・・!」
「俺のワガママを聞いてもらう。それがキラから俺へのプレゼント。」
「・・・もう!アスランってば、時々こうして意地悪なんだから・・!!」
「何か言った?キラ?」
「あ、意地悪なのは時々じゃないよね〜。いつもだもんね・・!」
聞こえてるはずなのに、聞こえていないような顔で、
「じゃ、行こうか、キラ?」
しれっとした顔で言うアスランに、
「もう!!!」と言いつつも、キラは差し出された手をぎゅっと握り返して。
二人は・・秘密のバースデーを過ごすことになったのだった。



「は〜〜っ、楽しかった!」
「キラは、はしゃぎすぎだよ。」
・・もうすっかり辺りは日が暮れて。
夕焼けの空が・・その日差しが、二人を優しく包み込む。
公園のベンチに腰掛け、買ってきたジュースの蓋をあける。
「え〜〜っ、アスランから行こうって言ったくせに。」
「でも、俺も楽しかったよ。」
「・・ね、アスラン・・。本当にこれがプレゼントで良かったの?」
「ああ、最高のプレゼントだったよ。」
キラとしては、アスランから貰ったロボットのように、何か形になるものを
プレゼントにすることしか考えていなかった。
なので、何だか本当にこれでいいのかと、どうしても不安な気持ちが残ってしまう。
「俺のワガママに付き合ってくれてありがとう、キラ。」
「そんな事ないよ・・!!僕も・・アスランと一緒に遊べて楽しかったし・・!」
「良かった。キラが喜んでくれて。」
・・そっちの方が、何よりも嬉しいプレゼントかな、と付け足して、微笑む。
「明日、学校行くのが怖いけど、ね・・。」
「そうだな。ま、言い訳は俺が考えておくよ。」
「・・こ〜んな事言ってる人が優等生だなんて、皆騙されてるよね、うん。」
「え?別に俺は優等生だなんて思ってないけど。」
「そう思ってるのは本人だけだよ・・。」
でも、僕の前でだけ、こんなアスランが見られるのも嬉しいかな、なんて考えて。
「キラ、何考えてるの?」
「えっ!・・ううん、別に・・!」
「どうせキラの事だから、『今日の夕ご飯は何かな〜?』とかそんなとこだろ?」
「違うよ!!アスランのこと!」
「俺のこと?」
「あ!」
思わず口を滑らせてしまう。
「キラ。今日の事、俺はずっと忘れないよ。確かに形として手元には残らないけど、
でもキラの嬉しそうな顔、ちょっと困った顔、怒った顔・・どれも俺の心に残っているからね。
これから先、ずーっと先になっても思い出すことが出来るよ。」
真っ直ぐに、キラを見つめる瞳。

「ね、キラ。・・じゃあ、俺からのお礼、だよ?」
そう言うとアスランは・・ベンチから立ち上がって、キラの目線までかがんで。
そして・・不意に口付けをする。
いつものように、ほっぺたにではなくて・・。キラのかわいらしい唇に。
ほんの短い間だったけれど、それがキラには長い事のように感じられて・・。
「っあ・・アスランっ!?//」
真っ赤になって、とりあえず名前を呼ぶことしかできないキラ。
夕陽の色と、キラの顔の色と、どちらが赤いのかそれは分からないけれど。
「キラ、大好き、だよ。」


・・今日も、またいつもの・・でも、いつもとはちょっと違った1日が終わる。
二人で手をつないで、キラの家へと向かう帰り道。
「でね、キラ。1つ大事な事、言い忘れてる気がするんだけど・・?」
「えっ・・!?ああああ〜〜〜〜っ!!!」
プレゼントの事で、すっかり頭がいっぱいだったキラ・・。
「アスラン、お誕生日おめでとう!」



〜あとがき〜
・・ああああ!!ついに、ようやくSEED初の小説を書くことができました!!って、遅いし!
そんなわけで、アスランバースデーのお話です。ベタですみません!
キラとアスランのお話は、妄想の中ではあれやこれやと日々考えているわけですが(笑)
文章力がない私としては、なかなかそれを文章にする機会がなくて。
もう、ほんと何が言いたいんだか分からなくてすみません!
でも、幼年学校時代のキラとアスラン、書いてて楽しかったですv
書く前よりは、何となく分かってきたかな・・っていう感じです。
なので、また性懲りもなく書きそうです(笑)
今度はもうちょっと書きたいことをまとめて書きましょう!っていう感じですね・・。
何はともあれ、アスランバースデー前日からの話なので、こうしてその日にアップできて良かったですv
ここまで読んでくださって、ありがとうございましたvv
やっぱりアスキララブですねっvvアスラン〜〜〜〜っvv(笑)
・・ほんとキラ命!のアスラン大好きなんで、今回も暴走しかけて危なかったです(笑)
たぶん、これからますます暴走していきそう・・・・。


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