DWメモ番外・「宇宙を宿す石は贈って良いのか否か」

画面を見れば、普段滅多に表情を崩さないドラゴンが、珍しくはっきりと眉間に皺を寄せていた。
「む……」
唸っているのか喋っているのか、よく判らない一音を発して固まっている。
スバルはそれをたっぷり三十秒は見てから声をかけた。

「ドラゴン?ちょっといいか?」

「…………」

「ドラゴン……?」

答えがない。
(どうしたんだ?こっちの故障か?)
人間の呼びかけに対して、『無視する』という行動だけは絶対に取らない彼が、今は全く反応しない。
フリーズしたかのごとく本当にぴくりとも動かない。
だからスバルはボイスチャットの調子が悪いのでは、と思っていろいろしてみる……が、こちらはいたって正常。
しかし画面向こうの彼からは、確かに声が返ってこない。

「あの……ドラゴン?」

やはり応えはなし。
頼み事があったスバルは、連絡の手段を不意に失ってちょっぴり途方に暮れかけてしまった。

「どうしよう……」

「何が?」

「!」

割って入ったほぼ真後ろよりの声に、あからさまにびくりとしてスバルは振り向いた。
さり気に構えているのは本当に驚いたからだろう。
それでも表情にあまり驚きが出ないというのは一種の才能か――と、こちらも鉄面皮よろしく完全無表情のバイパーは、ある意味のほほんとした感想を抱いてそこに立っていた。 「びっ、びっくりした……」

「そんなつもりではなかったのだが。――で、何が『どうしよう』なのだ?」

気紛れにアルクトスに来るデータウェポンは、影を引かずにディスプレイの前まで行く。
黒い画面の中央では、バイパーに負けず劣らずアルクトスに来る回数の多いドラゴンの姿。 「ドラゴンに聞きたい事があったのだけど……反応してくれないんだ」
「誰が?」

「ドラゴンが」

ありのままを告げたスバルの言葉は、即刻眼の前で実証される。
彼の操作でカーソルは自由に動くのに、中のドラゴンは全然、完璧に、本気で動いていない。

「……これは……ちょっとなにかツボにはまっているのではなかろうか……?」

じいっと眺めて約一分、あっさりバイパーはそう結論を出した。

「ツボ?」

「それも多分『何かに凝り過ぎて悩んでいる』系のツボだな。ドラゴンは妥協しないから」

だから結論がでない限り反応は期待できん、と匙を投げる様に締めてしまう。
それに困ったのはスバルの方だ。

「そんなぁ……」

「ああ、用事があったのだったな、スバルは」

結構落胆しているその姿に、顎に手を当てて、ちょっと考える様にしていたバイパーが言った。

「私で良ければ聞こうか?」
「え?」

「ドラゴンほど守備範囲は広くないが、こうして居合わせた事だし」

「いいのか?」

「モノによるが一応構わない。――で、何を聞きたかったのだ?」

それに椅子を引いてきてちょこんと座り、スバルはいくつかの資料をノートパソコンの方の画面に開いて見せた。

「十月の誕生石とはオパールなのだろう?」

「そうだな」

「これを贈りたいのだけど」

「ほう」

「贈って良いものなのだろうか?」

「ん?」

「どうも地域によっては嫌われる石らしいのだ」

示した一つのウィンドウには、オパールの石にまつわる説明文が、石の画像と共にべらんと載っていた。



誕生日祝い返しに頂きましたv
しっかり収めさせていただきました、ありがとうございます。
夜都様の所のお嬢様好きです〜。
むぅ、オパールとは地域によっては嫌われる石なのですか……個人的には好きですが。
色綺麗ですし。
関係無いですけれど。昔、読んだ童話に関係した宝石の話が載った本を思い出します。
あれのカタチは二枚貝の形をしてました。やっぱり綺麗でした。

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