ヒカルはむくっとベッドの中に身を起こした。
夢を見ていたのだ。
どんな夢かは覚えていないけれど・・・ かたちの無いものだから思い出そうとすればするほど逃げていく。
(・・・・・・。)
後に残るのは漠然としたイメージの断片とその時に感じた事だけ。
(・・・前髪しか生えてないからタイミングが悪いとのがしてしまうのは・・・ チャンスの女神様だったっけ・・?って、女神様と夢は何も関係無いだろー。)
寝起きの頭でちっとも関係無いことをぼんやりと思ってしまったものだから、 さらに内容を忘れてしまった。
ただとても・・・寂しかったような?
ふと時計を見れば起きる予定の時刻にはまだまだ余裕がある。
「どうかしましたかヒカル殿。」
ヒカルの起きた気配に気がついたのかベットの隣で寝ていたロクショウが目を覚ました。
「んーん、何でも無いよ・・・。」
そうですか・・・?と、言いながらまだじーっとロクショウは見つめてくる。
ちょっと視線がよそへ向いていたことを見ぬかれていたらしい。
ふーっと一つ息を吐くとヒカルは答えた。
「・・・夢を、見ていたような気がするだけ。内容は覚えてないけど・・・」
「そうですか。」
その答えにロクショウは少し考えこむと、 自分の寝ていた布団から抜け出し枕を抱えてお邪魔します、とヒカルの隣に潜りこんだ。
「・・・え?」
「もう少し寝たほうが良いですよ、ヒカル殿。」
そう言うとロクショウは寝心地の良い様に枕を整えなおし、頭を乗せると目を閉じた。
何がなんだか判らないでいるうちに隣を占領されてしまい、 しばらくベットに身を起こした状態で見ていた。
(・・・何で判ったのかな。)
夢を見た本人がよくわかっていないというのに。
何も言わなかったけれどロクショウには見透かされていたらしい。
こういう所も凄いなあ、と思う。・・・・・・わざわざ言ったりしないけれど。
少し笑ってもう一度ベットに潜りこむ。きちんと上掛けを引っ張り上げて目を閉じた。
(次の夢では会えそうな気がする。)
根拠の無い勝手な希望ではあったけれど、そう考えながら眠りに落ちていく間は楽しくて。
夢で会えなくても次に目が覚めた時に見れるものはきっと彼だろうなどと考えて、 また眠りの海へと戻っていったのだった。






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