試合の合間に休憩しようとジョー君は飲み物を買って控え室に向かい歩いていました。
外に面した通路を歩いていると、外から楽しそうな話し声が聞こえてきました。
少し歩いた先にあった開いたままの扉から外を覗くと、一人の少年と2体のメダロットが木陰で座って談笑していたのでした。
ジョー君はその少年ととても仲良くなりたいと思っていたので、側に行こうと決めました。
近づいてくる足音に顔を上げた少年にむかいジョー君は話しかけました。
「楽シソウダネ。仲間ニ入レテクレナイカナ、ヒカル。」
「いいよ、こっちにおいでよ。」
にっこりと笑顔で答える少年はヒカルさん、側にいたメダロットはメタビーさんとロクショウさんでした。
ジョー君がヒカルさんの側に腰を下ろし、買ってきた飲み物に口をつけている間もヒカルさん達は楽しげに会話を続けています。
話の内容は先程していた試合のことのようです。
飲み物を飲みながらジョー君はなんとなしに2体のメダロットを見ていました。
(イツモ一緒ニイル・・・楽シソウダ。)
そんなことをふと思ったとたんに、ちょっとむかっとしてしまいました。
飲み物の缶を口から離し一息ついていると、ヒカルさんがジョー君に話かけてきました。
「さっきの試合凄かったよね。」
「ソウダネ、アノ一撃ハ綺麗ニ決マッテイタ。」
ジョー君とヒカルさんが楽しそうに話している間、側にいたメタビーさんとロクショウさんはちょっとつまらなさそうでした。
(・・・ナルホド。)
二人の様子を見てとったジョー君はちょっと意地悪をしてやることにしました。
もぎゅもぎゅとドーナツを食べているヒカルさんを見ると頬にドーナツのかけらがついていました。
「ヒカル、頬ッペタニクッツイテイル。」
ジョー君はヒカルさんの頬についていたお菓子のかけらをひょいっと取りました。
「あ、ありがと。」 するとジョー君はそのままぺろっとついていたかけらを食べてしまいました。
お礼を言っているヒカルさんの周りで、ロクショウさんとメタビーさんは動きが止まっていました。
「ドーイタシマシテ。ソレデハ、マタネ」
にっこりと笑いながらジョー君は建物の中へと戻っていきました。
「わざわざ取ってくれるなんて親切だねー・・・って、メタビー?ロクショウ?」
ジョー君を見送った後、ヒカルさんの見たものは何か静かに怖い雰囲気を漂わせながら
視線を交わしているメタビーさんとロクショウさんでした。
「・・・何でもねーよ。なぁ、ロクショウ?」
「ああ、何でも無い。それよりヒカル殿そろそろ戻らなくては・・・」
ロクショウさんの言葉にヒカルさんは腕にしていたメダロッチで時間を確認しました。
「え、もうそんな時間なの?」
慌てて残っていたドーナツを口の中に放り込み食べてしまうと、
ジュースを飲みほし周りに落ちていたゴミを拾いヒカルさん達は建物の中へ戻っていきました。
建物内を客席に向かい歩いていると、ロクショウさんはヒカルさんの持っていた空き缶とゴミをとって言いました。
「ヒカル殿は先に行っていて下さい、私はこの缶とゴミを捨ててから行きます。」
「え、そんな悪いよ。僕自分で・・・」
ロクショウさんの持っている空き缶を奪い取りながらメタビーさんも言いました。
「他のヤツの試合を見て作戦立てるのもメダロッターの仕事だろー?ロクショウの方は俺も手伝うから、ほらさっさと先行ってろよ。」
「そう?・・・・・じゃ、先行ってるから早く来てよ」
ヒカルさんとしても試合開始時間が気になるらしく、少し考えた後客席の方へ急いでいきました。
「さて、行くかロクショウ。」
「ああ、行こう。」
メタビーさんとロクショウさんは手に持ったゴミを近くのゴミ箱に捨てると、建物内を走り始めました。

その頃ジョー君も試合を見るために控え室から客席へと一人で向かっていました。
人のいない通路を急いでいると、不意に前に人影が踊り出ました。
「ナニっ!?」
慌てて止まると目の前にいるのは先ほどヒカルさんと一緒にいたメダロット・・・ロクショウさんでした。
「君ハサッキヒカルトイタメダロット・・・危ナイジャナイカ。」
ロクショウさんはつかつかとジョー君の目の前まで歩いて来ると、ちょいちょいと手招きしました。

「・・・?」
ロクショウさんは少し身をかがめたジョー君の喉元にチャンバラソードを突き付けました。
「・・・!?」
慌てて後ろに下がろうとしたジョー君の背中にごりっと筒状のものが当たりました。
何時の間にか後ろにはメタビーさんがいてリボルバーの銃口を押し付けていました。
「・・・いーか?必要以上にヒカルに馴れ馴れしくすんじゃねーぞ。」
「全く、不届きな奴だ・・・」
二人からは凄まじい殺気が放たれていました。
「ヒカルに手だそうとするなんて100年早いんだよ。」
「私達が居る限りそんなことは絶対にさせない・・・覚えておくんだな。」
二人は言い終わるとそれぞれの武器を収めました。
開放されてその場にへたり込んでしまったジョー君を見下ろし二人はさらに付け加えました。
「これは、他言無用だぞ?」
「ま、言ったらどーなるかは判ってると思うけどな。」
そう言い残しメタビーさんとロクショウさんは客席に向かい走っていきました。
リングの方からうるちさんのロボトル開始を告げる声が響いてきました。
(マ・・・負ケルモノカッ!!)
そしてその場に残されたジョー君は心の中で打倒メタビーさんとロクショウさんを誓っていたのでした。






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