第二話  試練


 つまんなかった!
 誕生パーティーはいいけど、今日はぼくが主役だから子供同士でしゃべることができなかった。それに、いつまで経ってもサンダーストライデント見せてくんないんだもん。ちょっとトイレっていって抜け出してきちゃった。このまま、サンダースを見に行こうっと。服は、この晴れ着じゃうまく動けないから町に行くときの服を着る。中庭に隠してあるから、部屋に戻らずにすむ。途中で着がえよう。それはそうと、サンダースは宝物庫だから鍵が必要なんだよね。鍵は衛兵の詰め所にあるから、服を取りに行くついでに取りに行こうっと。

 詰め所についた。はいる前に外からのぞいてっと(衛兵が残ってたら連れ戻されるもん)…………あった!けど、中に衛兵が残っていたな。誰だかわかんなかったけど、作戦は考えてある。服(町用)から缶状の物を取り出して扉の透き間から放り投げ、詰め所の床に落とす。かあん、と大きい音がしてから、どおんと爆発音がする。と、同時にすごい量の煙が中から浮き出してきた。
「お坊ちゃんですね!?こんな事するのは!今日は町に行かせませんよ!」
 衛兵が扉を開けて出てきて、裏門の方に駆けていく。多分、いつも裏門から町に逃げるからだろう。けど今日はちがう。衛兵が扉を開けるのと同時に中へ入り込んだからだ。憶えていた鍵束のところへ行き、それを引っ掴んで急いで外へ出る。外へ出ると、宝物庫の方へ走る。途中のトイレで着がえて、指にはめてた指輪を取り、身軽になってから宝物庫に向かった。

 宝物庫にはいつも鍵が掛かっている鉄の扉がある。多分、これがサンダースのしまわれている場所なのだろう。鍵束の鍵をいろいろ試してみても、すべての鍵が合わなかった。
「くそ!どうして開かないんだよ!?」
いらついて殴ってみると、殴った場所が激しく光り、そこからから波紋が門にひろがったあと、かちゃっと言う音がして元に戻った。開いたみたいだ。ドキドキ言う胸を押さえられず、急いで扉のとってを握る。と、視界がぐにゃにとゆがんだ。その事を不思議がる事もできないほど早く、ぼくの意識は飛んでいった。

「お主が契約者か?」
 そんな声が聞こえ、僕は目を覚ました。
 その部屋は、高い空の上にいるように感じられる部屋だった。上を見ても、下を見てもなにも見えずただただ空色が見えるだけ。その上どこからともなく強い風が吹いている。
 そこに「それ」は浮いていた。「それ」を見る事はできないが、「それ」は確実にそこに「在った」。言葉も「それ」がはっしたようだ。
「お主が契約者か?」
もう一度それは聞いてきた。
「そうだ!オレが契約者だ!」
突然、そんな言葉が口から漏れた。どうなってるんだ?
「ふむ、お主にはその資格があるようだ。しかし、契約者には資格があるだけでは慣れぬ。この意味が分かるな?」
「分かっている!」
「よかろう。しかし、この試練に耐える事ができなくばお主の魂は未来永劫、苦痛味わうことになる。それでもお主の決心は変わらぬか?」
「絶対にかわらん!」
自分の意志とは違うなにかが、口を動かし喋る。
「それではゆくぞ。自分の意志をしっかりたもっておれ」
「それ」がそう言ったとたん、なにか別の意志が僕の中に入り込み、僕から体をとしてきた。僕は必死にそれを拒み、逆にそれを取り込もうとする。
 それは静かな戦いだった。互いに、強い意志をもって相手を弱らせようとする。一瞬でも意志が弱まれば、敵に取り込まれる。
 戦いは長く続いたが、終わりは案外あっけなかった。急に「敵」は力を失い、僕に取り込まれた。
「見事じゃ!」
「それ」がそう言ったのを聞きながら、またぼくの意識はまたとんでいった


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