早く戻っておいでよ


 その日、生まれてからずっと見慣れた城が炎にまかれ私たちは勝利した。
 帝国に生まれ、帝国のために働き、帝国の圧政のために離れた私が、帝国という故郷を失ったその日、坊ちゃんと一緒に城へ向かった仲間の2人が戻ってこなかった。

 城が赫々と燃えてる、その場で私は帰らない男をずっとずっと待っていた。いつだって人をからかってばかりで、面倒や、やっかいごとを持ち込むクセに、人をあまり近づけない男。仲間達の中心部にいるくせにどこか孤独な男。ばかだね、あんたは本当に・・・・・・。

「あんたなんか帰ってこなくても清々するよ」

 あの時の言葉が胸に微かな痛みを伴わせる。

 本当は別の言葉を言いたかったのに・・・・・・。

 ばかだね、私も・・・・・。

 素直になれなくて、思っているのとは違う言葉でしか、あんたに伝えられなかった。

 伝えられなかった言葉は風に乗り、どこへ飛んで行ってしまったんだろう。

 ねぇ、あんたがあのぐらいの火で死んでしまうなんて、間違っても思っていないからさ、早く戻っておいでよ。でなきゃ、あの日、あの夜の事、確かめられないじゃない。
 だから早く・・・・・・・・・。
 ビクトール・・・・・、あんたがいなきゃ、私は誰に文句をぶつければいいのさ。ねぇ・・・・。

 結局帰らない男たちを残し、解放軍の皆は、それぞれの道を歩いてく。それは長い間一緒に過ごした坊ちゃんも例外じゃない。
「クレオじゃあ行くよ。・・・・家を頼むね」
「えぇ、坊ちゃん。ここで待ってますから、いつか必ず戻ってきてくださいね」
 そして私はこの家で男達の帰りを待つ。いつか戻ってくる男達の為の家を守りながら・・・・・

To be continued



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