鳥人界英雄のバードは、故郷に帰るのをいやがって、元のように人間界で暮らしていた。鳥人界で彼女作れの、早く結婚しろのと母たちに急かされるよりは、親友のシンタローやその息子のヒーローたちがいるこの人間界で、タイガーをからかい相手にのんぴりと生活する方がずっと良い。
人間界は今日もまたぴかぴかの青空で、バードの誕生日を祝っているかのようだった。
「バードも26才かー。彼女イナイ歴を更新しちまったな」
ごちそうをほおばりながら、パーパがからかう。
「ふん、今年こそは彼女作るぜー」
いつものように、バードの言葉には力が入っていた。
パーティというほどでもないが、誕生日にかこつけてみんなはバードの家に集まっていた。料理は全て主役であるバードの手作りという辺りが、何とも物悲しい。しかし料理は彼の趣味みたいなもので、味はお墨付き。ヒーローもタイガーもみんな喜んで食べている。その顔を見れば、バードも心密かに満足を覚えるのだった。
「愚弟ッツ!」
いきなりの怒鳴り声に、我に返る。
「ミ、ミヤコ姉さん!?」
招かざる客がドアをけやぶらんかという勢いで入ってきた。姉のミヤコが、腕組みをして見下ろしている。相変わらず男同士でいる弟をふがいなく思う気持ちと、それを何とかしろと母にプレッシャーをかけられ、自身も必死なことで、その目は血走っていた。
「誕生日だというのに、変わり映えしないメンバーで自分の手料理囲んでいるなんて・・・。姉さん情けないわッツ!!」
「カンケーねーだろ。いきなり来るなよ」
何をしに来たのかは、分かりすぎるほど分かっていたので、バードはめちゃくちゃブルーな気持ちになった。
案の定、ミヤコは厳しい調子で一方的に告げたのだ。
「お母様からの伝言よ。彼女がいないのだったら、来週には見合いをさせるからね!」
「見合いかよォ・・・」
せっかくの誕生日が、台無しだ。
姉は言いたいことを言うとさっさと帰ってしまい、後には肩でため息をつくバードと、仲間たちが残された。
彼女とか結婚とか、それ系のことでは今までメチャクチャなことばかりあったような気がするのだが、まだ母や姉は諦めていないらしい。
「見合い、いいじゃないか」
お気楽にパーパが言う。
「もしかして、いい人と出会えるかも知れないし」
「ガウ」
タイガーも同意を示しているが、バードは激しく頭を振った。
「いいや、そんなはずはない。見合いなんて、相手はきっと婚期を逃したバーサンに決まっている!」
バードの頭の中にはすっかりそんな見合い相手のイメージが出来上がっているらしい。
「でも、どうするんですのォ?」
「もう彼女のフリじゃごまかせないぞ」
チビっこたちに両側から言われて、それでも何の根拠でか、バードは不敵に笑い出したのだった。
「ふっふっふっ・・・こうなったら、彼女を今すぐモノにするしかないだろうな」
「彼女って、まさかおまえ、また海人界に行く気か?」
シンタローは眉をひそめる。バードは最近、海人の女の子に貢ぎまくっているのだ。海人界に足繁く通い、ねだられるままに宝石などさまざまプレゼントをしているらしい。これは昔、サクラにだまされたときと同じパターンなのだが、本人はそんなことには気付いている様子もなかった。
「よーし、早速行くぞぉ。彼女なら、誰も文句は言えないはずだ」
かなりイケてる女の子らしい。バードはメンクイだから、かわいい女の子にはすぐひっかかってしまうのだ。
「いやしかし、彼女の気持ちは・・・」
「待っててねー、マーメイちゃん!」
シンタローの言葉も最後まで聞かず、早速鳥に変身すると、大空に舞い上がった。
目指すは海人界。大好きなマーメイちゃんのところまで。
H11.7.10