「えっ、またルーザー兄さんの髪の毛を?」
「はい。今度こそはお願いしますよサービス」
 あんな騒ぎを引き起こしたのに、まだ懲りていないとは。恐るべき執念だ。
「・・・まあいいけど」
 軽く腕を組んで、新緑を見上げる仕草を見せる。
「今夜は何かおいしいもの食べたいな」
「・・・御馳走させていただきますよ!」
 また札が飛んでいく・・・。
「ジャン! 高松が今夜おごってくれるってさ」
「え、ホント!? 悪いなー高松!」
 そしてまたどこからかボウフラのようにわいてくる、犬みたいなクラスメートの分まで払わなきゃならないのか・・・。
 だけど全てはルーザー様のクローンを作るため!
 お金を数えながら、再び妄想を走らせる高松だった。

「・・・はあ」
 外は眩しいほどピーカンなのに、どうしてため息なんだろう。
 何だか最近、ロクなことが起こらない。長兄のマジックには問答無用で小遣い削られるし、次兄のルーザーには実験室に連れこまれてあやうく研究材料にされるところだったし。ジャンには『またメシ作ってくれよー。部屋も散らかってきたし』と訳の分からない迫られ方されるし。
 いちいち怒っていられないほど次々色んなことがあって、さすがのハーレムも疲れ気味だった。
「何だろうなあ。おはらいでもしてもらった方がいいのかなあ」
 もう一度ため息をついていたら、弟のサービスがハサミ片手に近付いてきた。
「わっ、何だサービス、もう髪なんて切らせねえからな!」
「待ってよハーレム」
 頭をかばって避けようとする、その襟を捕まえて、サービスは兄にハサミを手渡した。
「僕の髪を切って欲しいんだ。ただし少しだけね」
「おまえの髪を・・・? どうするんだ?」
 ハサミを握って首をかしげるハーレムに、ちょっとお茶目に片目をつぶってみせる。
「ヒ・ミ・ツ」

 小ビンに入れた髪を目の前に掲げ、金の美しい輝きにサービスは満足げに微笑んでいた。
 後でこれを高松に渡そう。
 美しいものが増えるのは、良いことだ。

 新たなクローン・パニックが始まる。
 
 
 
 
 

 
−おわり−

 
 

あとがき


香那子さんのリクエストは、ハーレムのクローン話ということでした。
知る人ぞ知る、柴田先生ご自身が描かれた同人誌にその話があったのですねー。私もこの同人誌は人からお借りしたものだし、ご存知ない方も多いと思い、第1話はその同人誌の話「愛と狂気のサイエンス」をそのまま文章に起こしてみました。
マンガをノベライズするってのは昔からよくやっていたことなので、苦にもならず自然にやっちゃいましたー。
全体的に、同人的なノリで書いてみました。どんなのが同人的って言うのか、と聞かれると困るけど(笑)。
細かく書けばどこまでも長くなりそうなので、マンガの感じでごく簡単に書いてみた。お陰で楽しく書けました。
ルーザーも書けたし! 幸せだわ・・・。

今回はなんと夕月もみじさん&Tomokoさんより挿し絵もいただきました! 嬉しい!
お二人とも、ステキなイラストをありがとうございましたー♪

オリキャラなしの話でしたね。こんなのも良い。


 
 
 


 
 

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H13.5.13