虹を見ること
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7.デート日和
その後はゲーセンに行ってアキラのゲームの腕を見せてもらったが、腕は十分分かったと言っているのになかなかやめてくれない格闘ゲームを無理矢理終わらせるのに骨を折った。全く、デートとか言ってゲームに夢中になってるんだから。
二人でやれるゲームをやろうということになって、銃を持って画面に出てくる敵を打ったり、ボートに乗り込んで力一杯オールを漕いだりした。また「サンバDEアミーゴ!」というゲームではマラカスを振って途中でポーズ取ったりするのが面白かった。
UFOキャッチャーで「どこでもいっしょ」のロボットのぬいぐるみを取ってもらう。ネコが良かったが、どうにも取りづらい所にあったので無理だったのだ。ロボットは四角い頭の四面それぞれに表情がついていて、それはそれで面白いキャラだ。
ヒトミはコンビニキャッチャーでキーホルダーを取ってみせた。「ジバクくん」のキーホルダーがコンビニキャッチャーにあったら、絶対欲しいと常日頃思っている。
そんなこんなで楽しく遊んでいるうちに、お腹が空いてきた。ヒトミの腹時計はかなり正確だ。お昼時間になったのに違いない。
学生同士なのであまりお金をかけずに、お昼はファーストフードにした。ここならずっとおしゃべりしてても平気だし。
午後はショッピング。途中でアキラ行きつけのお店にも入った。そんなに広いお店ではないが、流行りの服や小物が置いてあり、レディス用もある。
「こんちは、サトシさん」
「おー、アキラくん」
お店のおにーさんとは仲良しだった。20代半ばくらいのサトシさんはすっきり短髪をツンツンさせてて、いっぱいピアスもしている。ブレスレットや銀の指輪も光らせているが男っぽくおしゃれな感じの人だった。
「この間話してた彼女? カワイーね」
「だろ」
やっぱり「カワイイ」と言われるのには抵抗がある。ヒトミはまた黙ってしまった。
「レディス物も置いてるよ。見ていって」
「は、はい・・・」
促されて店の中に入る。どれから見たものか迷っていると、サトシさんが棚からシャツを取って広げてみせた。
「これ、どう? こんなのもかわいいよ」
次々出されても・・・。
「アキラくんと同い年だったよね? ちょっと大人っぽいのもいいかも。こんなのとか」
黒いロングのワンピースを出してきて、体に当ててくれる。鏡の中にしっとりめの自分がいた。
「いいじゃん。試着してみたら?」
横からアキラが口を出す。あまり着たことがないタイプの服なので、ヒトミも着てみたくなった。
「いいですか? 試着」
「もちろん。どうぞどうぞ」
試着室で着ている服を脱いで畳んで、黒いワンピースに袖を通す。半袖で、全体に模様が入っていた。
「おー」
「いい、いい」
男二人からの賛辞に頬を染める。今までとは全く違うイメージだけれど、着てみるとそんなに違和感はなかった。
案外そんなものかも。似合わないなんて思っているのは、自分だけだったりして。
色々試してみれば、また新しい自分が見つかるよね。
街をあちこち見て、買い物もして、お茶もして。いつの間にか夕方になっていたから、一緒にご飯も食べて。
いっぱい遊んだらもう夜になってしまった。
「じゃそろそろ帰るか。送ってくよ」
「駅まででいいよ」
二人並んで歩くのも、もう慣れた位置で。まだまだ賑やかな街の中をくぐり抜けてゆく。
「なー、今日のって・・・」
「んー?」
「デート、だよなー」
恥ずかしいのか、振り向こうともしないアキラの黒髪を見て、笑いたい気持ちになってしまう。
それからかなりの勇気を持って、ヒトミは手を伸ばした。先を行く相手の手をつかむ。
「・・・うん!」
それなら、手をつないで歩こう。
あの虹からもらった、たくさんの力。
なりたい自分になれること。
信じる夢はかなうこと。
きっと・・・きっとね!
あとがき
カウンタ11111ゲットの名乗りがまたまたなくて。一番近い11110を教えてくださったサトシさんからリクエストいただきました。
いろいろあったようですが、私が「ムリ」と言ったのを省いていただいて(本気でリクエストに応えていないと言われそうだ・・・)、「アキラくんに彼女ができる話」ということでいただきました。
しかし・・・「マーガレット」で、ドリームネットPAPAネタは手こずるぞ、というのが分かっていたのでドキドキものでした。結果的にはそれほど手こずりはしなかったけど。
本当は心の中でちょっぴりだけど、「ヒデハルとアキラとコユキで三角関係にしよう」などとヨコシマなことを思ってもいたのですが、そこは割り切って新キャラを作りました。
あの目玉落ちモノゲームといい、恋愛シュミレーションゲーム「凝視」といい、アキラくんの作るゲームはどうも瞳に関係深いようなので名前はすぐ「ヒトミ」に決定しました。当初高校生の設定だったけど「同い年くらいがいい」ということでしたので大学生に。いや、短大生かもしれないし専門学校生かもしれないのですが・・・。
話は戻って、何故ドリームネットPAPAネタは手こずるかということですが、パプワとかHEROと違って、すっごく現実味があるんですよね。時代とか文化とかの背景が。だから話にも現実味を持たせてしまいたくなる。そうすると、おのずと自分の考え方とか入っちゃうんですよ。
何て言えばいいんだろう。
いつもだったらコンプレックスのこととか書かないのに、そんなの出してしまう。
そう、コユキもヒトミも私自身。
だから書きにくい・・・。
私もコンプレックスは強いんです。今はコユキの考え方にかなり近いんですが、それでも時々「やっぱり美人は得だよなー」とか思ってしまう。
学生時代はもっとすごいコンプレックスに悩んでいたような・・・。まあ暗くなるからそういう話はやめよう。
でも笑顔と自信と少しの努力ってのは本当だと思うよ。
ヒトミをちょっとふっくら体型にしたのは、痩せている子がキレイ、みたいな現代の考え方が嫌いだから。
女性はいくらでも痩せたがる(私も含めて)けど、実際男の人に聞くとみんなちょっとぽっちゃりしている方が好みって言うんだよね。痩せてれば痩せているほどいい、って答えたのはたった一人だけだったよ(一人でもいるという事実にびっくりした私)。
もちろん体質とかあるから、もともと痩せ気味の人もいるけれど、普通の体型の人でも無理して痩せたくなるような今の風潮がなくなればいいなーって思ってる。
ゲームを出会いのきっかけにして欲しいとのリクエストでしたが、私ゲームってあんまり知らないんですよね。入院先で出会うというシチュエーションもいただいたのですが病気のこともさっぱり知識ないし。一体ヒトミの病気って何だったんだろう? 元気になったからいいけど。
ゲームのことについては、自分の知っている数少ないゲーム「テトリス」と「どこでもいっしょ」、あとはアキラくん自作のゲームでごまかしてしまいました。
どこでもいっしょは大好き。めちゃくちゃカワイイ!
んーと、好きなモノは好きって言っていいんだ、ってのも割と最近、知りました。
学生時代はマンガやアニメが好き、ってのも、趣味として小説を書いている、ということすらも、恥ずかしくて誰にも言えなかった。
けど今の同僚のおにーさんもアニメ好きで、それ別に隠してないのね。あ、そっか、別に言っていいんだって思った。
昔よりはそういうのが認められる時代になったってのもあるし。
今では机の上に車田マンガのしおりなど挟んでいます(笑)。
そして例え初対面の人にでも、趣味を聞かれたら胸張って答えられます。「小説を書くことです」って。
それが私の自信にもなっているよ。
タイトルは今回も遊佐未森の歌からです。
いつものようにモチーフが欲しくて、CD見ながら決めました。
虹はまだモチーフに使ってなかったなということで。
虹の七色に合わせて7話にまとめました。それぞれのバックの色も虹の七色(紫・藍・青・緑・黄・橙・赤)のイメージで。
H12.3.11