光夢さんカウンタ1000ゲットおめでとう企画

  Yellow Yellow Happy 4
 

「ただいま」
「マジック! おかえりなさい」
 少し遅れて帰ってきた長男を、ジュエルは笑顔で迎える。ルーザーに任せておけば双子もすぐに戻ると知っていたから、機嫌はすっかり直っていた。
「母さん、ひとりなの?」
 クッションを引き寄せ、マジックはホットカーペットに腰を下ろす。ジュエルはうなずいた。
「ハーレムとサービスが外に遊びに行ったから、ルーザーに迎えに行ってもらったの。あの二人、最近全然遊んでくれないのよ」
「ハーレムもサービスも、大きくなってきたから・・・」
「うー、やっぱり、また赤ちゃんが欲しい・・・」
 唇をとがらせて、ジュエルは上目遣いに長男を見上げる。マジックは苦笑した。
「母さん、赤ちゃんは、おもちゃじゃないんだからね」
「おもちゃだもん」
 まさしくジュエルにとってはそうらしい。自分もおもちゃだったのかと、マジックは半分呆れながらも母の無邪気さを愛しく思う。
「今日はクリスマスイヴだね。パーティーの準備は?」
「ガナッシュに頼んであるわ」
 ガナッシュというのは、ガンマ団員の一人で、昔からジュエルの世話役だった男だ。
 クリスマスという単語で、母の瞳にきらめきが戻ったのを見て、安心する。子供の機嫌取りと同じだ。これではどちらが親で、どちらが子供なのか分からない。
「早く帰ってこないかな」
 つぶやいたら、ちょうど窓の外で子供たちのはしゃぐ声が聞こえてきた。
「ほら、帰ってきたみたいだよ、母さん」
 マジックが立ち上がって、窓の外を覗く。ハーレムとサービスが先に立って駆け、その後ろをルーザーが歩いてきた。
「あれ?」
 思わず声を上げる。弟たちに混じって、見知らぬ女の子が満面の笑顔を見せている。
「誰だろう、あの子は」
「え?」
 ジュエルもマジックの隣に立って外を見た。女の子と犬を見て、ぱちんと両手を合わせる。
「お友達ね! あんなかわいいワンちゃんも一緒に!」
 退屈が紛れるとなれば、ジュエルはどんな人の訪問でも歓迎するのだった。早速、お茶の用意をさせようと、部屋を出てガナッシュを捜す。お嬢様育ちのため、決して自分で入れようとは思いつかないのがジュエルだった。
「女の子連れてくるとは・・・ルーザーも隅に置けないな」
 マジックはくすっ、と笑いをこぼした。

「ナナちゃん、紅茶のおかわりいかが?」
 母は遊び相手が増えたことで、上機嫌だった。
 ナナも思いがけない歓迎を、はにかみながらも嬉しそうに受けている。
「本当に、ハッピーをうちで飼ってもいいの?」
「はい。おばさまさえ、よければ・・・」
「やった!」
 ジュエルは黄色い子犬を、いたく気に入ったらしい。さっきから膝の上に抱きかかえて、放そうとしない。ハッピーも新しいご主人を好きになったのか、キューンと鳴いたり頬をなめたりして、じゃれついている。
「本当にかわいいワンちゃんだね」
 動物好きのマジックも、目を細めている。本当は抱き上げたり撫でたりしたいのだが、母から奪い取るわけにもいかないので、後にすることにした。
「ナナちゃんも、うちに時々遊びに来てください。ハッピーの顔を見に・・」
 そう言うルーザーの口調は、どことなく硬い。理由が唯一分かるマジックは、密かに笑っていた。
「ありがとう!」
「ナナ、あそびにきてね」
「ぼくたちともあそんでね」
 双子が両側からくっついてくる。まるで子犬と同じ動作をナナはおもしろがって、わきをくすぐったりしてやった。
「きゃはは・・」
 もだえて、サービスはホットカーペットの上に転がる。ハーレムも隣に転がって、更に弟をくすぐり続けた。
「あはは・・やだよ、ハーレム・・」
「あははは・・・」
「こらこら。ちゃんと起きなさい」
 やんわりと、マジックは双子をいさめた。弟たちも長兄の言うことはよく聞くので、笑いが落ち着くとちゃんと起きあがって並んで座るのだった。
「ナナちゃんは、何年生?」
「一ねんせいです」
「そう。しっかりしてるね」
 マジックの笑顔を受けて、ナナは少しうつむいた。素敵な人だな、と思い、どきどきする。
 ルーザーはナナに一目惚れをしたわけだが、そのナナは、兄のマジックにときめきを感じたようだ。
 何年かにわたる長い三角関係は、ここがスタート地点だった。

 色とりどりの光が点滅する、クリスマスツリー。大きなケーキ、七面鳥。テーブルにはキャンドルと、食べきれないくらいのごちそう。
 三角のぼうしと、クラッカーと、明るい笑い声。
 楽しいクリスマスパーティーが始まっていた。
「ナナちゃんも来ればよかったのにね」
「ナナちゃんだって、今頃自分の家でパーティーしてるんだよ、母さん」
 マジックは、ケーキを上手に切り分けながら答えた。
「あたし、サンタさんのお家がついたとこね」
「ぼく、チョコレート!」
「ぼくも!」
「分かった分かった」
 ケーキの上の飾りを、言われたとおりに載せてやる。食べられる飾りは三つだけだったので、ルーザーには小さなクリスマスツリーをさしてやり、自分のには、トナカイの飾りをのっけた。ハッピーの分には何もないが、イチゴもちゃんとついているので、許してもらおう。
「ナナちゃんって、かわいい子よねえ。あたし、娘も欲しかったわ。あんな娘だったら、よかったのに」
「お嫁さんにするってテもあるよ、母さん」
 いたずらっぽく言って、マジックはルーザーを見た。げほげほと、急にむせたルーザーがおもしろい。こんなに単純な弟だとは思わなかったので、マジックは楽しくてしょうがなかった。
「誰のお嫁さんにする?」
「ぼく!」
 二つの声が重なった。ハーレムとサービスが一緒に名乗りを上げたので、ジュエルは慌てて止めに入る。
「だーめ! ハーレムとサービスは、だめーっ!」
「キャンキャン」
「ハッピーも、だめー!」
 かなり本気の母に、みんなの笑い声がかぶさる。
 今年は家族が一人・・いや、一匹増えて、更に賑やかなパーティーになった。
 
 
 
 

 つづく



 
 

Yellow Yellow Happy 5
 
 
 


 
 
 

Yellow Yellow Happy トップへ         「南国少年パプワくん」のページへ
 
 
 


  H10.12.29
H13.1.11修正