| 次月祭(つきなみのまつり) |
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ガラガラガラッ 先程から物の落下音が止まらない「焔(ほむら)め!これじゃあたしがやってもおんなじだったかもしれないじゃんか」そうつぶやく先からまだ出来たばかりでお披露目もすんでいない建物は崩壊を続けていた。 事は1週間前まで遡る、青森は三沢に居をかまえる繭里こと土師谷繭里(はじやまゆり)の家に元気な宅配の兄ちゃんの声が響いた。「猿便でーす!土師谷さーんお届物でーす」いつも元気だ、彼らはいつも笑顔を絶やさない、ちょっと不気味、いや、それは置いておいて、差出人を見る、そこには見なれた字。 「あれ、俊香さんからだー何だろうお中元には遅いしお歳暮には早いよね、」そこまで考えてふと手を止める「今、がさって、音、、、、」ふと包にかけようとした手をひっこめ「このまま送り返したら怒られるかなーなどと考える、しかし所詮繭里に選択指は無い。しょうがないのでベリベリと包装紙を剥がし始めた、 すると「まゆりちゃーん?」ああ、やっぱり、知らない人が近くにいたら仰天するであろうその声は『箱の中から』聞こえた「そうだよー」元来の性格もあるだろうがもうどうとにでもなれだった、「護法?」「うん、どいてて」繭里があわてて箱から飛び退くと同時にしゅぱっと小気味いいくらいの音と共に梱包材が弾けた。 「あぶないなぁ、」箱の中から出て来たのは、15センチくらいの人間。 ファンタジー好きなら「妖精」くらいは言ってもらえるかもしれないが、それにしては時代錯誤な格好をしている、赤を基調とした鎌倉時代の狩り衣とでもいうのか、を着たやんちゃそうな顔両手には今梱包材を取り払うのに使ったと見られる(彼サイズにおいてのナイフといったところか。)をポーズを決めて両手に構えている。そして、「こんの馬鹿っ」ぼこっ包みを破って出て来た後ろからこれもまた青を基調に小袖袴、ほうのような衣服の衣でたちのこちらは秀目美麗とでもいうのだろうか奇麗な顔立ちをしているが眉間に青すじでも立てそうな口調で自分の前でかっこつけている赤いのを後ろから拳でなぐっている。 「痛いよーアヤぁ」頭を抱え込んでうずくまる、アヤと呼ばれたその小さき者は、そんな相棒を無視して繭里に怪我はありませんか?と1通の手紙を差し出した。差し出すとはいってもそのサイズなので抱えて渡す状態。 「あ、大丈夫大丈夫、ありがとう、えーと、たっちゃん平気かな?」「うん、へーき」頭を抱えながらえへっと立ち上がるのに、「あ、ここの和菓子食べていいから、」茶ぶ台を指さして、お茶を持って来るねと手紙を持って台所に行く。 手紙の内容はいたってシンプル 『斑鳩(いかるが)と温泉行って来るからその間護法をよろしくねv』半分嘘、半分本当であろう、たぶん妖怪事件関係でたまたま行く先が温泉場なのだろうが、彼氏と温泉というシュチエーションによろこんでいるのも思いうかんでしまうので、ちょっと怨んでもいいかなぁと控え目に思ってしまう繭里なのであった。 「すいませーん黒パンダ宅急便でーす」なんだか荷物の多い日だ、荷物というのは来るのも珍しいものなので、二回来れば多いい、という事になる。どうでもいいかそんな事。 今度はなんだろう、と思いながら玄関に走ると、「繭里ちゃーんハンコどこ?」あああ、でかくなってる〜玄関には先程の人なつっこい、しかし伸長は180センチを越えるだろう青年が荷物を受け取っていた。着ているのは着物では無く黒のジーンズ、黒のタートル、黒のジャケット黒ずくめである。 興味深げに黒ずくめの男を見上げる運送屋さんは、地域の情報通だ、繭里はびくびくしながら判子をさしだす。 「座敷に運んでおくねー」 人の気も知らんとたっちゃんは荷物を運んで座敷の方に戻って行った。「彼氏?バンドかなんかやってるの?」あんのじょう興味部深げに聞いて来る運送屋さんにどう答えようか考えつつ、とりあえず心の中で俊香さん〜と泣きながら叫んでみた。 そして災害は拡大してゆく、「繭里ちゃーん開けてもいい?」まずい物は別に無いだろうが一応聞いてみる「誰から?」「舞っ!」「ま、舞さん?」新たに悪寒が繭里を襲う、いや、まさかまさかね、いちるの望みをかけてアヤの方をちらっとかえり見る、たっちゃんと一緒に人間サイズになった美青年は気の毒そうにこちらを見ていた、 どうやらまたもや、らしい。とほほ〜舞さんまでーと頭を抱え込みながらたっちゃんに開けてもいいよ〜と力無く促す。 そして中身は…いびきをかいて寝ていた。 |