| 次月祭(つきなみのまつり)2 |
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箱の中身は見た目だけは実にファンシーだった。 たっちゃんとアヤとはサイズこそ一緒だが違う世界をかもしだしている。緑を基調とした衣の帯であろうか、それを付けている本人がうつぶせになっているので、ふわっとまるで蝶のようにひろがっている、髪の毛も翠に近い水色。まさにファンタジーの世界へようこそだ。 それが、いびきによって目が覚める、いや、いびきを発してるのはその更に下、蝶ちょが止まる花のオレンジ、だといいのが、もう1人。 「・・・五月蝿い」ぴんっとアヤがいびきの元の広めのおでこを指ではじく「うごっ」わけのわからぬ叫びを上げてオレンジを基調にしたいびきの主が飛び起き、そしてまた寝る、感心する事にそこからずり落ちても蝶ちょはすぴょすぴょと起きない「いいよ、寝かせておこう」苦笑する繭里が言ったそばから、たっちゃんがまず緑の蝶ちょをそっと保護、そして、アヤによる更なるでこぴん「いってぇぇぇっ何だ舞っ!ありゃ?青かっ!てっ!今俺さまの神聖なるおでこを叩いたのはお前かっ?喧嘩売ってんのか!?買うぞ?! えっここ何処、何で繭里サンがいるの?????」混乱。 ーーーーーーーーーーーー説明ターイムーーーーーーーーーーーーーーーー 「あー送られるのも気がつかずに寝たまま起きなかったわけだ、」からからとたっちゃんと繭里が笑う、「緑じゃあるまいに、」とはアヤ。 申し開きもないだろう、宅配便ということは昨日の午後4時には荷物としてあずけられていたはずだ、朝10時の時間配達とはいえ19時間だ、普通そんなに寝ない、いや、寝れない、まぁ彼らはそういう意味では人間ではないのだけれど。 彼らの存在名は『護法』という、とある所で人為的に造られた存在、すでにそれは過去の事で在るのでここでは語らないが、その存在は6人それぞれ赤童子、青童子等色の名がついているが、「今」の持ち主がそれぞれ呼び名をつけていた、存在定義は一例を除き『仕えている主人を守る事』まぁ、それぞれ能力があるわけだが、それも置いておく、能力的に未熟な者は力のコントロールが旨くいかない、故に休息を多く必要とする、緑を名に持つこの護法は力バランスがあまりうまく無い為、見習い的立場におり、そんなわけでどの護法よりも寝るのであった、説明終り。 「それで、」「何がよ」「アヤはなんでここに送られたのか知りたいんだよねっ」先程進められた和菓子を両手にかかえ、悪戦苦闘しながら、たっちゃんは言葉数の少ない相棒のフォローを入れる。 「たっちゃん、なんで小さくなってんの、大きい方が食べやすいんじゃないの?」繭里はお手ふきを差し出しながら不思議そうに聞いた、とたん同じサイズのアヤがあきれた、というか諦めたような顔をする。 「何なに何で?」もごもごと口の中の和菓子をのみこむと繭里の差し出したお手拭きで顔をいぐいぐい拭きながら赤童子が嬉しそうに答えた。 「いっぱい食べられるからっ!」ごすっ小気味の良い音がまた響いた。 「別に俺らは始めてじゃねぇし、」「舞さんはねー半年に一回くらい送って来るよ、仕事の邪魔って」思い浮かぶようだ。まぁでも納得である、彼女は俊香のような会社勤めではなく、フリーのイラストレーターだ、よって1日中家にいる、自分が余裕のあるうちはともかく余裕が無いときに先程の様にごーごー寝られたり彼女のうちの猫と一緒になって、ぴーひゃらとはしゃがれれば仕事何処ろではないだろう。 「ふーん?別にどんどんだけでいいんじゃないのかなぁ」ゴスッたっちゃんの顔に黄色童子の裏拳が入る 「お前にその呼び名で呼ばれたくない」もっともだ。 「んじゃ黄童子、うーん黄色ー黄ーって呼びずらいなー」 「阿呆か、赤童子、黄だけ送って緑がおとなしくしてるわけないだろう」 もっともな意見だ、アヤーとたっちゃんが寂しそうな顔をする、赤童子ことたっちゃんはいたく自分の今の主人のつけた名前を気に入っている、青童子=綾瀬(あやせ)にも竜津也(たつや)と呼んで欲しいのだが呼んでもらえないのだ、まぁ産まれてから今までの癖を直せといわれても早々直るものではないのだが、 「んにゃーーーあ」猫のようなあくびが聞こえた「あっ!しーちゃん起きたか?」繭里がいそいそとしーちゃん事緑童子をのぞき込む、彼女はこの妖精じみた風貌の護法をいたく気に入っていた。 「うにゃ、」当の護法は目を開ききょろきょろ、おもむろに黄童子に向かって姿勢を正すと「お師匠さま、おはようございます」手を付いて挨拶をした、礼儀正しい、が、それが終るとまたきょろきょろ、「あれ?なんで赤童子さま青童子さままでいらっしゃるんですか?あ、繭里ちゃん、ごぶさたしております、」再度ふかぶか。 状況判断はまったくなされていなかった。 |
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