お土産一波乱4
 


「怒られちゃったよ。」 さしてショックでもない風につぶやくが、ほんとの所はどうなのだろうか。相変わらず真意の計れない女である。
「文字どおり、追い出されたわね。」 同じセリフを焔が言ったなら黙ってはいないだろうが、桃姫なので気にも止まらなかったらしい。「そっかー、アヤっち刺激物厳禁かー。知らなかったよ。覚えておこうっと。」 と言っても必要最小限のことも、最近覚えていないひな乃のことだ。案外すぐに忘れてしまいそうだ。そしてまたきっと同じように怒りを買うに違いない。
 

「あーあ、怒られちゃったなー。まーた嫌われちゃったよ・・・。」 しゅんとなるが、何を根拠にまたなのか。それは過去に同じような事をやった覚えがあるということなのだろうか、
 

「それにしても、赤が青に食わせさえしなければ良かった話だろう。それくらいのことで怒るあの主人もどうかと・・・。」 暗に赤護法を責める焔。彼は何故だか赤護法が気に入らないらしい。端から見ると、根本的な所は似ている2人なので、それが気に入らないんだろうと、やはり周りは思う訳である。しかしその言葉はひな乃には違った意味合いで聞こえたらしい。
 

「何てこと言うの!」 逆ギレ?唐突に焔を怒鳴り付ける。身に覚えも無いのにいきなり叱られて焔は面食らった。「俊香さんはね、自分の子供のようにあの2人(護法)を可愛がっているのよ!!そりゃーもー目の中に入れても痛くないほどの溺愛っぷりでさ。(誉めてます)そんな護法に、間接的とはいえ危害を加えちゃったんだか ら、あたしはむしろ怒られて当然でしょう。護法を持つ身の苦労も分からない焔にそんな事言う権利はないの よ。(そりゃそうだ)まったくもー、ぷーだ。」 いつも通り、意味不明の口癖を残して彼女は駅へと向かう。やはり彼女は早歩きだった。
 

残された、多少腰の抜けた焔と、それを見ても無表情の桃姫の間に沈黙が流れる。しかし焔の言わんとしていたことはわかったらし く、彼に声を掛けてから彼女も主人の後を追う。
 

「慰め方、下手よね。」
 

毎度ながら図星を指す女だ、と思っているかどうかは知らないが彼にとって桃姫の一言は、ことごとく真実なのである。
「うるさい・・・。」 力なくそう言っても、答えた相手はもう既に声の届く場所にはいなかった。
 
 


夢は見た者勝ち

後日。
 

性懲りも無く俊香の家のドアを叩く音がする。
「俊香さーん、今度は『自称』日本一のカスタードプリンだよーぅ★」 前回同様にかにかと笑うひな乃だが、学習機能は無いのだろうか。恐らく本人は悪気が無いのだが、それがかえって不気味さを増しているのかもしれない。せめて「自称」から離れてはくれないかなと呆れながら俊香は答える、容赦なく。
 

「却下。」
 

 

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