梅雨入り<東北地方>

雨である。梅雨入り宣言がされようがされまいが雨は気分で降り続くものである。
彼女の住む家は本人同様年期が入っているので、雨や風に弱い。しかし正確に言うと、彼女の住む家は複数あり、今この家が特に雨風に弱いのであるが。



「そんならお前が直せばいーだろー!適当に妖力でも使えばいいじゃねーか!」
「だぁって直したってどうせまた壊れるもーん。力の無駄使いはしたくないの。」
前述の通りあちこちにガタが来ているので当然のように雨漏りもし、そして彼女はその修繕を焔と言う名のしもべに指示したのだった。

自分が拾われるまで、こいつはどうやって過ごしてきたのか疑問になるほど、自分の(不本意だが)主人はなんでもかんでも(以下略)。納得できないが命令されたことには従わなければならない、それが宿命。どうにもやりきれないので不満も思わず口に出る。それもいつもの話だが。
「ったく、雨漏りくらいでガタガタ言いやがって。何も今じゃなくても雨が止んでからでもいーじゃねーか。」
どうやら、雨が止んだらやってくれる気はあったらしい。

「ご主人のご指名なんだから、観念なさいよ。」
「焔さまー、あったかいお茶用意してますからねー★」
唯一人、みーに暖かく見送られて外に出ようとした瞬間、
「台風来てますから、気をつけてくださいね★」
がっくり。とどめである。
背後の3人(便宜上)に色々と言ってやりたいことはあるのだが、今はそんな気力も無く、焔はその場を後にした。

「みーは悪気もその気も無く言えちゃうからすごいよね。」
「しかも焔に一番効果あるのはみーの一言ですから。」
「?桃姫様、みー、誉められてるんですか?」
「うんそう、誉めちぎり。」
答えたのはひな乃であったが、桃姫としても同じようなことを言うつもりだったらしい。単純に誉められたと思って喜ぶみーだが、今の所彼女に勝てるものは多分誰もいない。



焔には女難の相が見えると誰かが言ったような気がするが、それはいつのことだっただろうか。



「ぶひゃーくしょぃっ!」
もちろん、わかりやすいくしゃみをしたのも焔である。
 
 
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