残 影

 

-------鮮やかにそれは瞳に焼き付いた-----------

「ああ、ここまでで良いから」男が笑う                 「そりゃ、ないんじゃあない?」かえしてやる。゛ここまで良い゛と言った彼の思惑に対してではなく、その笑みに。それを受ける者が、本来笑みを得る者は別にいるだろうに、と。                    最後までこの男と運命を共にしたがっていた…。            が、創造主はそんな小さな、しかし己の組み上げた生命の心を理解していたのか。

「いいんだ、アレに笑むモノはちゃんといるから。」今頃命じた通りに、一番最後の作品と出会っているだろう。

本来の対なる者と。

「俺がうらまれますっつーの、ヤツはあんたの最後を見届けたかったと思いますけど?まぁ下手すりゃ一緒にぐらいはと想ってるかもしれませんがね」「それじゃ『意味』が無いんだよ、それより、お前も急いで戻らないといけないだろう。」言われてここで待っていろと念を押して言い聞かせ置いて来たちびの泣き出しそうな顔を思い出し、ふわりと静かに男から離れた。   「で、あんたはただのオトリとして終るのか?」            「---------。」                          「いいのか?」                          「--------------これで」

男の目は決してあきらめて投げやりになっている様には見えない、それを見て取りそばを離れる決心をすした、

「終われるか?」                          瞬間、いくつもの光弾をあびせかけられ、男ははじけとんだ。      共にいた気配は自分の対なる者の所へとかろうじて去っていた。

ぐずぐずとした肉片へと。自分が昔実験にでも使っていたような゛モノ゛へと自分という生き物が他人の暴力によって変化して行く様を感じ取りながら

最後まで繋げておいた網膜に、意識を向ける、『彼』の存在を焼き付けようとして。


ザブリ、と羊水のごとき純水から意識と共に引き上げられ        真直ぐ見据えた先、目の前に、始めてみる存在、消えてしまいそうに儚げな

「オレは、、、ねぇあんたは誰?」 

生まれたばかりの命が、目の前の者に問いかける、その相手の黒髪がゆれて口が開き、言葉をつむぐ、それは始めて受け取る言葉。

「俺は、お前の対なる者。」                     「そう、なの?」逆に問われて黙ってしまう、何をどう伝えるべきなのか。と、生まれたばかりの存在であるのにどこで覚えたのか濡れた身体のことも考えずに、目の前の儚げな者に手をのばし、抱きしめた。        その存在を確認するかの様に。そしてほがらかに笑って、        「そう、そうなんだ!」                       「!?」                              「お待たせ!」


やがてダミーの心臓も砕けて、もっと視ていたかったヴィジョンが切れてしまった、そのセリフを聞いた時の顔も見たかったのにな。        本物は隠してある、ひとつは遠く離れた故郷の地、あの湿った匂いのする国愛しい人の眠る場所。

もうひとつは。

「じきじきに義兄殿からも頼まれたしな。」              

守っていたいのだ、愛しい人の一片なりとも。

肉塊は、思考をやめた。                       自分が人間で無い限りまたこの世へ『自分として』い出ることもあるだろう

また会えるその想いだけが全てを支える

------------------------すべての物語はここからはじまる。


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