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「なあ、まだ探すのかよ?」 一心不乱に草を掻き分ける私を尻目に、 彼が欠伸を噛み殺しながらそう言った。 「だって、まだ、見つけてない・・・かも」 呆れを含んだ目線から逃げる様に背中を向ける。 (背中にじりじりと注がれる目線が痛いのだけれど) 『四葉のクローバーを探したい』 そう言うと「面倒くさい」とかブツブツ言いながらも 付いて来てくれた。 本当に付いて来てくれただけだったけれども。 (ちょっとは一緒に探してくれてもいい・・・かも) そんな事を冗談でもする様な人間ではないと、 分かってはいるのに期待をせずには居られない。 「あーあーもう面倒くせえなあ」 心底呆れたと言うよりは飽きたと言った方が正しいのか、 (兎に角明らかに楽しいという気持ちが込められていないのは確かだ) そんな気持ちを多分に込めた言葉を溜息と共に吐きつつ、 彼が今まで座っていたベンチから立ち上がった。 思わず自分の肩がひくり、と揺れるのが分かった。 (飽きられて、しまっただろうか) 否、自分が怖れているのは飽きられる事より嫌われる事だ。 一体何を言われるのか戦々恐々としながら 只管四葉のクローバーを探す振りを続けた。 と。 「だーから、何時まで探す積もりなんだてめえは」 等とぶつくさ言いながら彼が隣に腰を下ろした。 四葉探しを手伝ってくれるのか、と思い 彼の骨張った手を目で追う。 「四葉なんてわざわざ探さなくてもよー」 と言って三つ葉のクローバーをぶちぶちと引っこ抜いた。 手伝ってくれる訳ではないようだが、彼の意図が見えない。 私の怪訝な視線を無視して、手に持った三つ葉で何かを作っている彼。 「おらっ、これでいーだろが」 そう言って、ずいっと私の前に出されたのは、 「よつば・・・・・・?」 三つ葉にもう一本の三つ葉を足して作られた、四葉のクローバーだった。 少々(というかかなり)不恰好なそれは、 彼の不器用な性格も表していた。 「どーせ見つかりっこねえし、もうそれでいいだろ」 なんて憎まれ口を叩きながら公園を後にする彼を追って。 (普通のよつばよりもこっちの方が100倍嬉しい・・・かも) と思ったのは、彼には秘密にしておく。 |