第64話 抱き合うだけの小さな二人・・・
- 龍介:
- (瞳が・・・・・・転校───?)
- 龍介は動揺を隠せなかった。岡部に今日、瞳は来ているのかと尋ねるが、岡部はもう瞳は転校先に行ってしまったんではないか?と。
- 龍介:
- (瞳がまた遠くへ行ってしまう───今度こそ二度と会うこともない。話すこともできなくなる───あれが別れの言葉のつもりだったのか!?またオレに黙って・・・行くつもりだったのか───瞳───)
- 龍介は突然席を立ち上がって教室から出ていった。
- 瞳の家には、「関係者各位 この度都合により転居することになりました 七穂」と張り紙が貼られていた。龍介は瞳の部屋を見上げると、瞳の部屋だけ雨戸が閉まってないことに気付き、必死になってインターホンを鳴らした。応答がないことに龍介はあきらめて戻ろうとした瞬間に、ドアが開いた音がした。振り返ってみると瞳が玄関から出てきていた。
- 龍介:
- ひと・・・・・・み。
- 瞳:
- 龍ちゃん・・・
- 龍介:
- ・・・・・・まだ・・・行ってなかったのか?
- 瞳:
- あ、あたしだけ学校の手続きとかあったから後からでるの。
- も、もう出るとこ・・・少しも時間もないくらい・・・
- 龍介:
- 急いでんのか・・・
- 瞳はすっと振り返って、
- 瞳:
- ・・・・・・どうぞ今日はちらかってないわ・・・
- ──────
- 龍介:
- (この家にあがるのは何年ぶりだろう・・・)
- 龍介は過去の記憶、・・・(なんで九州の高校なんか行ったんですか。)・・・を思い出していた。
- 瞳:
- あたしの部屋よ。
- 龍介は何もなくなってしまった瞳の部屋を見て唖然としてしまった。
- 瞳:
- ふふっ、見事に何もないでしょ。
- けっこう広い部屋だったと我ながら驚いてるわ。
- 龍介:
- (中学時代、何度か入ったことのある部屋、この部屋でして瞳とのキス───)
- た、大変だったな・・・。
- 瞳:
- ・・・・・・別に。
- 龍介:
- どこに引っ越すの?
- 瞳:
- 父さん病院やめたし・・・母方の実家の方に仕事あるっていうからそっちで暮らそうって・・・
- 龍介:
- どこ?・・・
- 瞳:
- すっごい田舎!!
- 龍介:
- 手紙だすよ。連絡先くらい教えてくれるんだろ?
- 瞳:
- ・・・・・・・・・・・・うん・・・後でね・・・・・・
- 龍介:
- ・・・・・・・・・・・・
- 瞳:
- ・・・・・・・・・
- 龍介:
- ヒデーな・・・また黙って行くつもりだったのかよ?
- 瞳:
- ・・・・・・・・・・・・もう・・・行かなきゃ・・・・・・
- 龍介:
- (瞳が行ってしまう・・・オレの前から姿を消してしまう・・・・・・もう二度と会えなくなる───瞳───)
- 瞳!!
- 行くな───瞳!!
- 龍介は瞳の後ろから瞳の肩を抱きしめていた。
- 瞳:
- ・・・・・・・・・・・・
- 龍介:
- もういやだ・・・瞳がまたいなくなるなんて。
- もう耐えられない。
- ずっと・・・・・・ずっと・・・・・・好きだった───
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