■テレフォン・コール■
《メールが1件あります》
「・・・・・・何がメールだ、あの野郎・・」
甲児が不機嫌そうに、今コールされたばかりの携帯電話を睨みつける。
この前『やっとの思いで会えた』とか言って、あいつが無理やりおいていったもの。(しかもフリード製)
だいたいにして携帯なんてものは嫌いだし、どこでもかしこでもピーピー鳴りやがってうるせえし、拘束されるみたいで苛々するからいらねえって言ってたのに、君はすぐに行方不明になって、その度、こっちは気が気じゃなくて公務に支障がでるからと譲らなかったのはあっちの方だ。
訪日しているからというから、わざわざアメリカから帰ってきたというのに、なんだか軽く扱われているようで腹が立つ。
『今週中はこちらに居るから、食事でもどうだい。君の都合のいい日を連絡してくれ』
そう書かれた文字を目で追って、仕方なくそれに答えるべく、面倒くさそうに小さなキーを操作する。
「ええと・・・お、れ、は・・・あ、あれ? 変換まちがえちまった・・・ おい、記号じゃねえんだって。くそ!なんだよ、てめ・・・」
悪戦苦闘する甲児をあざ笑うかのように、ピーとエラー音が鳴り響く。
「くっそおおぉお!」
デュークはその頃、移動の車中にいた。物々しい警備の車に前後を囲まれ、なんだかそれだけで息苦しい気がする。しかも、地球上で一番、この国での公務は慌しい。1つ終わったと思えばすぐに移動で、移動自体が公務のようなものだなと苦笑が漏れる。
なんとかそれでも彼と過ごす時間だけはゆったりと持ちたいと、連絡を心待ちにして、携帯を肌身離さず持ち歩く自分がなんだか可笑しい。そんなデュークの手の中で、彼の携帯が怒ったように光を放った。相手のナンバーを確かめ、慌てて耳に押し当てる。
「甲児くん?」
甘い声で呼びかけると、超最大音量で返事が返ってきた。
『件名!明日の夜なら体あいてるから、連絡してこい! 本文!メールなんかしてこねえで、声きかせろ、馬鹿野郎!!本文終わり!』
そのまま切れてしまって電話にしばし呆然としていたデュークは、何が彼を怒らせたかようやく飲み込めて、さもおかしそうに体を折り曲げてくくっと笑った。
(甲児くんらしい・・・けど、どうせ電話くれるんだったら、普通に話してくれればいいんだけどね・・・)
そう心の中で呟いて、デュークはもう一度、彼のナンバーをコールした。メールは当分やめておこうと肝に銘じながら。甲児が出るまでに、側近に短く伝える。
「あ、明日の夜は、スケジュールをすべて白紙にしておいてくれ。全部だ」
END
9年ぶりくらいのグレンで〜す。ああ、この年月が恐ろしい。
なんとなくリハビリ気分で書いてみましたv
ちゃんとグレンになってますかね?大介さん。
原稿すること自体9年ぶりなので、なんだか新人さんのようで新鮮です;;
返品不可なので、貰っておいてくださいねv 前借分も入ってるから(笑)
海坂由布でした。