暑すぎるという不満はさて置き、
初夏のカラリとした晴天を嫌いという人は、そうそう居ないだろう。
久々の休日に 朝から洗濯物を干していたオスカーも、その例にもれなかった。
空は青く高く、頬にあたる風は この時期特有の緑の香りを含んでいて 気持ち良い。
「おっ、フカフカで 良い匂い♪」
太陽をめいっぱい浴びて、乾いたばかりの洗濯物を取り込みつつ、
腕の中のシャツに顔を埋める。
柔らかな感覚と、暖かな匂いが心地よい。
「おや、洗濯ですか?」
幾分のんびりとした響きの声に顔をあげると、 ルヴァが庭先に立っていた。
「今日は良い天気ですものね」
「ああ、よく乾くから助かったよ。」
先ほどまで顔を埋めていた洗濯物を抱え直し、苦笑いを返すと、
ルヴァは、突然思い出したかのように 言葉を続ける。
「そういえば知ってますか?
一般的に太陽のにおいと云われているものは、
洗濯で落としきれなかった皮脂が太陽の熱で溶かされた匂いらしいんですよ」
「えっ? …それって、つまり…」
「ええ、太陽のにおいと云うものは、人の匂いなんです。
太陽のにおいが落ち着く というのは、結局は 自分の匂いだから なんでしょうね」
「…///」
「どうしました?オスカー」
あくまでマイペースに尋ねるルヴァに、
何かむにゃむにゃとした唸りを残して
オスカーは両手いっぱいの洗濯物を抱えて家に入っていった…
***
よく晴れた日だというのに、そんなものには全く頓着しない
アリオスは、今日も部屋のソファーに寝そべっていた。
バタバタと部屋に入ってくるオスカーに気付いて顔を向けると、
アリオスは にやりと笑って言う。
「なに 赤くなってるんだ?」
とたんに 頭上からシャツが振りかけられる。
「…何するんだよ」
かけられたシャツを掻き分けて不満の声を出すと、
止めとばかりに顔面にシャツをぶつけられる。
「うるさい!洗ってやっただけでも ありがたいと思え!」
まわりくどい。
良い匂いと思って、くんかくんか嗅いでた匂いが、人の体臭だったらショックよね。って話ι
ショックといえば、匂いのメカニズムって、結構ショックな話でした。
…知らない人は知らない方が良いです。変な匂い嗅げなくなりますから(笑)