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Scene14
『こちら、02。…−663コロニー、…答せよ』 待ちかねていた連絡が入ったのは、一方的にこちらが多くの被害を出した銃撃戦から、十数分が経過した頃の事だった。 「こちらX−663、サブコンピュータ室」 02、状況を報告せよ。 周波数と画像の調整を行ないながら、臨時のオペレーターが、マイクに向かう。 カトル達が宇宙に飛び出したという報告は、直に中央管制室にも届けられた。 メインコンピューターの復旧は、時間が掛る。 だが、コロニーの他の機能が正常に動いている事を鑑みれば、恐らく、管制権は、現在サブが保有しているのだろう。 住人が宇宙に出た今、其処を制圧するのは容易い筈、と、だから彼等は直ぐに行動を開始して。 『02及び05に拠る…作戦は成功…』 カトル・ラバーバ・ウィナー及…その協力者と…われる…の、…獲に成功した。 今から……換し、ドックに戻る。 ハッチをオープンして…て…い。 先日、業を煮やしたアムルより派遣された、増援部隊の一人であった、印象的な容貌の少年の声に、しんとしていた室がわっと沸く。 ざざっと歪む画像の中、帽子を目深に被った三つ編の少年の向こうで、忌々しい二人組が、矢張り増援部隊として送られてきたばかりの少年の手で縛り上げられている。 年齢に見合わぬ鮮やかな手際に感心しながら、けれど、然程遠くに行っていないにも拘わらず、良くない通信状況に、眉を顰めた者もいて。 「通信状況が良くないようだが、どうかしたのか?」 『コックピットで…をぶっ…された』 運悪く…れたらし…。 それより、…の方を頼む。 報告は戻っ…から、ゆっくり…るさ。 軽い調子の声に、大した事はなさそうだと、全員が判断する。 その場にいる者、全員が同じ結論を出した事を視線だけで確認しあうと、オペレーターが先ず必要事項を確認した。 「燃料は如何だ?暫く保ちそうか」 『…れは、大丈…だ。この侭、中央までだって…る』 「では悪いが、その侭依頼主の元へ向かってくれ」 言われた言葉に、しかし、少年は意味を取りかねているようだった。 不審な思いを表す沈黙に、オペレーターが補足する。 「其処にいる坊や達が、何か細工をしたらしい」 サブコン室を占拠したは良いが、何度やってもドックの管制権だけが戻って来ない。 いまいましげな様子で、画面の向こうの二人を睨むが、当の相手が気付く様子はない。 シャトルの燃料や時間を考え、敢えてそれ以上その事については何も触れず、彼は続けて説明した。 「そいつが飛び出した緊急脱出場の方も、一度閉まったら二度と開かん様に設定されているそうだ」 解除は可能ではあるだろうが、今は時間がない。 遅くとも、明日の昼までに依頼人の元まで、そこにいる片割れを連れて行かねばならん。 あんたには悪いが、此の侭あちらに向かって欲しい。 開かされたこちらの事情に、漸く納得したのだろう。 歳にはそぐわぬプロの男の表情を浮かべ、少年は力強く頷いて。 『了解…た。だが、向こうへの…は、取り敢えずそっちに…るぜ』 直すのに少し…うだからな。 ざざっと不快な音と共に、ぷつ、と通信が途切れる。 漸く面目を保てた事に安堵しながら、彼等は後始末の為に、休む間もなく動き出していた。
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