3月
だらだら書いてたらえらい長文です。
映画の感想も久しぶりだ。。。
「ランド・オブ・プレンティ」
久々にみた映画は、久々に批評家ウケしてるヴィム・ヴェンダースの新作(笑)
なんかこういうしみじみした作品撮らせるとよいなーと思います。
多分このひとはちゃんとストーリーのある話を描くのには向いてないのかな。
ストーリーテーラーではないというか…悪い意味ではなくですよ。
「ブエナビスタ・ソシアル・クラブ」もそうだったし、「リスボン物語」もそうだしー。
なんか映画紹介では、伯父と姪がアメリカ横断の旅に出るロードムービーみたいな
カンジだったけど、どーこーがー?ってかんじです(笑)。
確かに最後にはニューヨーク目指して旅にでるけど、それはエンディングに
近いあつかいだし。旅の過程は早送りで回されて、車につけた星条旗がどんどん
ボロボロになっていく様子であらわされていくだけ
(これは「アメリカ」という「国家」の象徴だと思われ。←もっと言っちゃうなら
「伯父の中のアメリカ」の象徴ですな。反対に旗の向うに写る自然の風景は
とても美しくて、そのギャップがまた意味シンでよい)
話は、ロスで姪が母親の兄=伯父を探すトコロがメイン。
一切の状況説明もなく、彼女が何者で何のためにアメリカに来たのか、
とかいった情報が一切ないままダイアローグメインでどんどん話がすすんでいく方式は
とてもよいです。ちょっとサスペンス風味で、9.11であらわになったアメリカの、
正体のない他者に対する怯えというか、不信感というか、そんな不安な空気を
醸し出していて、その中で何か影を背負っていながらも、
根本的には素直で明るい主人公の存在感がまたグッドです。
だいたいのっけのオープニングからしてすごくいい。
響き渡るギターの音にかぶってサーモグラフィーみたいな映像がうつって、
それが丸くなって眠る女の子の映像に変わっていくのです。
話の途中からは、思わず笑っちゃうようなかわいい小ネタがポツポツ出始めて、
ヘビーな内容ながらも、なんかラブリーな印象に変化。というか
この主人公の女の子が凄くいいよ。ホントかわいい。いろいろ背負ってるのに、
そしてちゃんとどこか寂しそうなトコロはあるのに、それでもこちらに安心感を与える笑顔で笑うの。
それにしても、母親=奥さんに「父親はあてにならないから娘のことは
兄さんに頼みたいの」みたいなこと言われちゃう父親って…どうよ?(笑)
別にアル中でもヤク中でもなく、いちおう宣教師らしいんだけど(笑)
てゆーか、そのあてにされてる兄(伯父)も、かなりアレなんですけど(笑)
「クラッシュ」
なんか意外にもアカデミー賞とっちゃいましたね。
いや、すごくイイ作品なんだけど、群像劇だし、小さなエピソードが
積み重なって一つの話になっているスタイルなので、どうしても「大作です!」
という印象はなくて、ぶっちゃけ賞レース向きの作品ではないよなーとか
思っていたのですが。なんかゲイ映画はアカデミーとれないみたいなジンクスも
そうだけど、前哨戦で「ブローク〜」一人勝ちしすぎたかな〜という印象もあり(おい)
まあ、それはともかく(ホントだよ)
映画自体はよくできております。期待して見に行って正解。
もともと「ER」とか群像劇好きなので。見終わった後は誰かに話したくて
話したくて、という感じでした(笑)。監督はテレビドラマの脚本家で名前が売れた方
なのかな?個人的にいま米国のテレビドラマの水準って世界一だと思います。
米国のテレビ業界の人々は映画業界に対して強烈な劣等感を
持っているらしいのですが、ハッキリ言ってテレビの方がぜんぜんレベル上だと思う
(笑。あくまで私見ですよ!)アカデミー賞はお祭りとしては面白いけど、
あてにしてるのはエミー賞(アメリカのテレビドラマにおくられる賞)みたいな(笑)
とにかく脚本がよいのです!キレのある台詞まわしも、ゆるく持ち上げといて
思いきり突き落とす感覚も、ギリギリまで追い詰めて最後の最後で救いを
用意するやりかたも非常に秀逸。しかもそのエピソードがいちいちよく出来てるし。
私は基本ネタバレOKなんですが、これはネタバレなしで見たほうが
いいかと思われまする。妖精の透明マントの話はホントに秀逸。
黒のリンカーンも。ホント大きい車だな…。
見終わったあとは、映画2、3本を一度に見た感じがします。
怒りと、哀しさと、やるせなさと、いとおしさと、そんな気分がごっちゃになった
鑑賞後感?で、誰かに「こんな映画みたよ!」と熱く語りたくなります
(私だけ?笑)でも、ネタバレはしたくないし、話は複雑(難解というわけではない。
ただ複数のエピソードが同時進行で進むので説明しにくい)だし、
どうすりゃいいんだーとなったあげく「すごくイイ映画だったからみて」
という地味なコメントしか出ないんですよね(笑。私だけ?)
個人的には刑事役やってたドン・チードルがすごいよかったです。
頭がいいぶんナイーブで心を閉ざして周りと距離を置いてしまう役。
母親のトドメの一言がざっくり凄くてまたよし。じつはドン・チードルはERにも
短期ゲストで出ていたんですよねー(そのときは知らなかった。
気になる俳優だなあとは思っていたけど。笑。ちなみに「トラフィック」にも
出ていたらしいのですが、この時はあまり印象には残らず。
←ベニチオ・デル・トロしか見てなかったってことか。笑)
「ホテル・ルワンダ」
いまや個人が活動することで映画が公開される時代なんだなーと。
「ゴッズ・アンド・モンスター」なんかもそうですが。
まあそれはよくも悪くもですけど、すごい時代であるには違いないよ。
一応、前評どおり、直接的に描かれた凄惨なシーンはほとんどありません
(怖いのダメなので有り難いです。戦争物は最大苦手)それでも充分凄惨ですけど。
途中、ドン・チードルが機転とコネと培ったホテルマントークで
ピンチを切り抜けていくのは圧巻で、爽快ですらありますが、
それもホテルの敷地を出るまで。ホテルの外の世界はホントに地獄絵図なんで…(よろよろ)
多分一番怖いよ〜と思ったのは、冒頭から混乱に陥るまでのプロセス。
一見平和そうに思えるのに、いつの間にか事態は進行していて、
気が付くとどうしようもないトコロまできてる。それは、いまでもどこででも、
大なり小なり起きつつあることだろうな〜と。
ドン・チードルは相変わらず素敵です。個人的には血のついた服を
着替えようとして取り乱すシーンが一番お気に入り(はいはい)
あと、国連軍が外国人だけ救出して行くシーンは
すごく印象的な名シーンになっています。スコールの降るなか、
雨を避けるためにホテルのひさしの下にはいってひしめいている人々の、
放心状態というか、哀しさとかやるせなさとか。映画を象徴する名シーンなのです。
いっぱい語りたいような、でも何を言ってもありきたりな感想しかでないような。
書こうとすると説教めいたことしか言えない気がするのでやめとくかな〜(おい)
あ、そういえば主人公が立てこもる外資系ホテルチェーンの社長…
ジャン・レノにみえたんですけど気のせい?パンフには何も書いてないよ…。
「ヒストリー・オブ・ヴァイオレンス」
基本的にはいい映画でした。ラスト明確なオチが示されず、
ある意味尻切れトンボで終わるところが不満といえば不満でしたが
(個人的に、キッチリ落ちがつかないと気が済まないので)
それはそれで、そういうもんだと思えばいいかなと。
パンフを見ると、やはりあのラストは、(よくも悪くも)ぶつ切り状態で投げ出して、
観客に問題提起して終わりってことらしいです。ちなみにこのパンフは
無用にハードカバーだし1000円もするしどうよ!って思ったけど、
中身は相当濃いです。ライターさん何人も書いているし。
みんな文章上手いし。クローネンバーグはコアなファンが多いので、
マニアにありがちな自己満足的視野狭窄におちいった文章ばかりだと嫌だなあ
とか思ってたけど、全然そんなことはなく、
普通に(というかかなり)面白かったです。
チラシとか見ていると、もっと虚々実々な内容で、夫の過去がどうだったのかは
結局曖昧なままで終わるのかと思ってました。そんで、奥さんが
旦那を信じられず、ノイローゼぽくなったあげく家庭が崩壊するのかと(うわー。
でも監督クローネンバーグだし。笑)思ってましたが、かなり早い段階で
夫は自分の過去をあっさり認めてしまいます(笑)
というかこれ、何よりタイトル「ヒストリー・オブ・ヴァイオレンス」が
テーマとして映画のど真ん中にずっしり据えてあって、それを「家族」とか
「夫婦」とか「父子」とかの視点で切ってあると取れるのかなー。
なんというか、「平和な家庭が偶然におきた強盗事件によって崩壊する」
みたいな書かれ方されてますけど、私に言わせれば、その一見「平和に見える」家庭にも
すぐ隣には暴力が存在するし(息子のスクールライフが一番切実;;)、
なによりフツーに「ショットガン」が家に常備されて(!)、
それを奥さんだけならまだしも息子が使えちゃう(!!)って時点ですでに
どこが平和なん?というか、この家にも「暴力の歴史」はしっかり
存在しているわけだし…。
さらに言っちゃうなら、「暴力」は「平和な家庭」に外から入ってきたと
いうよりは、もともとこの家庭/家族の中に内在されていて、それが
ダイナー襲撃事件がきっかけで急速に表面化していくっていうか。そーゆー感じ。
パンフにも書いてある通り、局所的なディテールはかなり佳いです。
(このパンフはホントいいできです)。冒頭のモーテルのシーンとかもうもう…
ドキドキ(つかビクビク)ですし。なんにもない静かなシーンで、
「まだ午前10時なのにうだるように暑く」て、わんわんセミが鳴いてて、
カーラジオで音楽がなっていて、男2人(どうみてもヤバめ)が、
淡々と平凡な会話してて。…それだけ。それだけで。
で、めちゃめちゃ怖い(;;)…この冒頭だけでもかなりの名場面ですよ。ホント。
階段のセックスシーンもかなり佳い出来でした。そうとう
入念に計算して演出しているのかと思いきや、ここは俳優まかせだったらしい。
かなりのカット数は撮ったらしいですが。だろうなー。
すごい完成度です。どんどんお互いの心理とか、それによる力関係とかが、
入り混じって影響して複雑に変化していく様子が、ホンの数分の中に
凝縮されているのですよ。(むろん台詞はナシだし!凄い!)圧巻です。
あと、個人的に好きだったのは、病室での、名前に関するエピソードと
「あなたにとっては私も手近な女だったんだ」という奥さんの台詞。
夫の正体がわかって最大のショックが「自分は100%愛されてなかった
(利用されてた)んだ」ってことなのか〜というのがよかった(笑)
ダンナは奥さんのこと、もちろん愛してたのも事実だろうけど、
利用していた面もまた本当だろうしな〜という事実。
その夫の、うしろめたさとか、否定されてしまう哀しさとか、
すがりつきたい弱さとか、傷つけられたことへの怒りとか、
さらに言っちゃうと支配欲だとか、うらはらの愛しさだとか…が
全部複雑に表現されるのが前述の階段シーンなんですよ。
名前のシーンは、これもまたタイトルに直結というか…
結婚して夫の名前「ストール」になった奥さんが、その名前が実は
手近にあったIDからとられた(盗まれた)名前で、偽名で、
なんの歴史(ヒストリー)もないぺラっぺラの名前だと知ってしまう
残酷なシーン。さらにその「にせもの」の名前を自分の子どもに
冠してしまったというとこがまた…情け容赦ないです(涙)。
一方で、本当の名前は=捨てたくても捨てられないもの=暴力
の歴史そのものってことだし。
他にも、息子が初めて人を殺すシーンとか、クラスメイトとの力関係とか、
父親と息子の関係とか、いろいろ好きなシーンはあるのですが
キリがないのでこれで。ホントにパンフに書かれているとおり、
かなり計算された構造だなーという気がします。
じつは、個人的には後半の展開が結構「ええー?」な感じで唖然なんですが
(パンフ読んで少しは解消されましたけど。笑)長くなったのでイマイチなトコロは割愛(笑)。
あ、ヴィゴ・モーテンセンは凄くいいです。チラシのスチルとか
みてるとただの貧相なおやじ(うわーすみません。好きなんですよ。
ファンなんですってば)にしか見えないのに、実際映画の中で動くと
めちゃめちゃ魅力的です。前半の「善き夫」のときは居心地
悪そうなのに、後半「ジョーイ・キューザック」にもどり始めると
がぜん地に足がつくというが、自然に息をしてるカンジがして
「これってホント演技…だよね?(地だとまずいだろう。笑)」
って言いたくなります(笑)殺陣のシーンは本当にキレイ
(というのもヘンですが)というかイキイキしててかっこいいよ…(おいおい)。
ますますの活躍を期待したいですねー
「青い棘」
なんというか…ベタベタなタイトルだし(いや好きですけど。笑)
ギムナジウムものだし、ポスターがシャツをはだけた男優2人
(いや好きですけど。笑。すごくキレイですよ)だし、つまり、
これでもかって言うくらいベタベタのコテコテな感じで、お約束まっしぐらで、
期待半分不安半分と言うカンジで見に行ったのですが…
想像していたのとは違うかたちでよかったです。
つか、この宣伝路線どうなの…悪くはないけど…耽美っぽい方向を
強調しすぎのような…気がする。映画の伝えたい(と思われる)
ことと、宣伝路線が微妙にずれているのは実はよくあることだし、
そもそも、宣伝の本質は映画のテーマを伝えることではなく
「客を呼ぶ」ことだと思うのでまあいいのですが。
(つか呼ばれた一人だし。笑)
愚痴はともかく(のっけからすみません;;)
映画は、ホント意外な方向にこちらの予想を裏切る展開で面白かったです。
一応この映画は実話なんですけど、みていて「そこをそう設定すると確かに急激に話は
面白くなる。そして登場人物は進むことも戻ることもできなくなり、
身動きもとれなくなった挙げ句、最終的に相手を殺して自分も死ぬ、という
狂気の選択肢しか残らない」という事態に、ものすごく説得力を持たせてくれます。
あーもーしょうがないよね、そこで諦められたら恋じゃないよね、みたいな。
私は、自分が基本ネタバレOKなんで、こういった感想もネタバレ前提なんですけど、
このネタはネタバレなしで見た方が断然おすすめかも。少なくとも私は
全然予測できませんでした。しかもこのネタのシーンは凄くよく撮れてる!
アウグスト・ディール(ギュンター役の俳優)すばらしいです。
かなりドキドキします(私だけ…だったらどうしよう。笑)
映画は問題の殺人事件が起こる3日前からの出来事に限定して展開(これも意外)。
主人公の苦学生パウルと、その友人で貴族の子弟ギュンターの学校生活とか、
パウルがギュンターの妹ヒルデと初めて出会ったエピソードとか一切なし
(←この時点でギムナジウムものという予想が覆ります)
ストーリーの全体の展開とか、最終的に辿り着く結末なんかは予定調和内なんですが、
キャラ設定が自分の予想と違っている部分が多くて、それがイイ方向に
転んでくれています。特にこの話のオムファタールとなるコック見習いのハンスは…
この俳優さん眉毛ないし(笑)ハンサムでもない(私の価値観では、ですよ)
正直ヘンな顔…なのにエロい。性格悪いし、知的でもないし、
階級も低い(コック見習いということはそういう事かと)し、ぶっちゃけチンピラ?
みたいな、そもそも全然イイ男じゃない…のにすごくエロくて、
散々ひどいことやってるのに離れることもできない、
オムファタールの残酷さをすごく納得させてくれます(笑)。
もう1人、ギュンターの妹でファムファタールにあたるヒルデも
予想を裏切る意外なキャラ設計。もっとこう、お約束におバカで軽いキャラに
しているのかと思いきや、すごく賢くて、聡明で、傷付き易くて、
世界の嘘が全部見えてしまうようなそういうお嬢さん。
見た目もっとケバいのかと思ってたら、ぜんぜん少女っぽくて
(目が大きくてまつげバサバサ〜)、でもどこかとても年をとった老人みたいで、
どんな乱痴気騒ぎの中でも、常に周囲から一歩引いた場所で醒めた目で世界を見ていて、
口元はいつも笑っているのに、目はぜんぜん笑ってない、みたいな、
そーゆーキャラ。登場人物のうち、一番ギリギリのところに立っていたのは
実は彼女だったんじゃないか、とさえ思わせてくれます。
まわりの同世代の男達では(子ども過ぎて)彼女を受け入れることはできなかったのかなーと。
この女優さんホントいいです。なんかお耽美な方向に流れていて、
パンフとかでも扱いが小さいんですけど、映画ではかなり描き込まれていて
深いキャラになっています。自分の役についてのコメントがまたよくて、
「最初は兄とのゲームだった(←このへんツボだよ。ホント)のが
思いがけず恋におちた」と言っていて、めちゃくちゃ納得しました。
このギュンター兄妹の関係もすごくいいです。もっとベタベタなのかと思いきや
意外にもクール。でもお互いをすごく想い合っている。この絶妙な距離感が
いいのですよ〜。この兄妹はホントいろいろ想像させてくれて、かなり妄想モードです(笑)
あとは、最後までわからなかったのが主人公パウルとギュンターの関係かなー。
(というかヒルデのキャラ描写に重点が行った分、この2人の関係描写は
薄くなった気がする…)なぜギュンターはパウルを手許に置きたがったんだろう。
もちろんホントに気が合ったというのもあるだろうけど…本気で妹と
くっつけるつもりだったとは思えないし。…叶わない恋をしているという点で、
自分と同じ立場のパウルに共感した(そして同盟者が欲しかった)と
解釈していいのかなあ。あの無垢さに憧れたというのも事実だろうけどなー。
最終的にパウルをひきとめたのが、シビアな現実であるエリ(ヒルデの女友達)
なのでしょうかねー。このキャラもよく出来てますよ〜。愛されない、
選ばれなかった者の哀しみを象徴するキャラ?みたいな。でもその「みじめさ」が
結局パウルを現実に引き戻したのかなーと。現実はみんな、みじめで
みっともなくてじたばたして、パウルの書くロマンチックな詩のようにはいかないけど、
でも、どんなにみっともなくても朝は来て、お腹は空いて、月曜日で、
学校に行かなきゃね、というみじめで、でも愛おしい(悲しくもあるんだけど)
現実が。エリには作中「私を哀れまないで」と言わせているので哀れみではないと…思いたい。
期間を3日に限定しているのでちょっと物足りないところもあるのですが、
それはそれでよいかなと。ギュンター視点の話とか見てみたいですけど
(笑。結局そこか)
「夜に逃れて」
以前映画祭でみていて今回は二回目視聴。一般公開andDVD発売等のない作品なので
詳しいあらすじ付きでどーぞー。*あらすじは途中から反転してます。
前半はゆるくBLの香りを漂わせつつ、どこの昼ドラやねんってカンジのベタな展開です。
舞台は第二次世界大戦前夜の中国天津。裕福な旧家の1人娘、英兒(インアー)
には子どものころ親同士が決めた婚約者、少東(シャオトゥ)がいる。
同じく裕福な銀行家の1人息子である少東は、親の意向で英語と経済学を学ぶため
8才でニューヨークに留学。英兒とは会ったことはないが文通を続けている
(この文通は後半またきいてきます)。
英兒と父親は2人そろって芝居狂で(笑)劇場まで経営するほど。
その劇場にやってきた地方回りの劇団が定宿を火事でやけだされたため、
一時的に英兒の家に逗留することに。その劇団の看板役者が、最近売り出し中の
林沖(リンチョン)。どこか影のある林沖に英兒は一目で心を動かされることに…。
これで主要登場人物3人が登場〜。林沖←両思い→少東、林沖←片思いー英兒、
少東=友情=英兒となります(笑。お約束ですから)。少東と英兒は子どもの頃から
ずっと文通していたのでいいカンジに仲良し(友情というか幼馴染み)。
そして両思いにもかかわらず、ずっと留学していたせいか、
そーゆー世界に全く免疫のない少東は、林沖の想い(かなり積極アピールしてるのに!)
にも、自分の想いにも全然気付きもしません(これが後々かなり響くことに…)
このあと、4人目の登場人物=敵キャラ登場〜(ホントに前半はコテコテです)
海外から帰国した少東は、父親が学ばせたかった経済学よりチェロに御執心で
両親はタメイキ顔。ただ、許嫁の英兒とはすぐに仲良しになり、
彼女の父親の劇場に連れていかれる。西洋のクラシック音楽(チェロ)は好きだが
中国の伝統音楽には興味がなかった少東は、上演される昆劇
(京劇に似た舞台芸術)も困惑気味。英兒の顔をたてた、おつきあい半分で来た
劇場だったが、舞台で歌う林沖の声を聞いて一目惚れすることに
(笑。お約束ですから)。しかし林沖にはパトロンとして、天津の海運業を牛耳る
黄一族の黄子雷(ワン・ツーライ)がついていた。少東(シャオトゥ)は、
黄(ワン)が林沖に屋敷に来るよう強要していることを非難し、2人の対立は決定的になる…
この映画、前半はホントに何もかもがベタなんですが、その中でも
黄子雷(ワン・ツーライ)はベタベタの敵役で、顔はいいんだけど(コラコラ)
この超ステレオタイプなキャラはどうなの…とか思っていたら後半大化けします。
といってもホンのワンシーンなんですけど、でもその短いエピソードが非常に
印象的で、好きなシーンナンバーワンというか(これは後述)…というか後半は
印象的なエピソードばっかりで…ホント凄い映画です。
といって、前半がつまらない訳ではないのですけど(笑)
少東、英兒、林沖の三人はすっかり仲良くなるが、劇団はパトロンである
黄子雷の援助がなければやっていけず、林沖は黄の招待を断ることはできなかった。
心は少東にありながら黄と肉体関係を持つ林沖。そして英兒(インアー)の屋敷に
逗留していた劇団もまた新しい宿舎が見付かり出て行く。そうして一旦は
切れかけた三人の関係は、林沖と少東が偶然再会して思わぬ方向へ展開する。
この黄と林沖のベッドシーンから急速に話は面白くなりはじめます。
ここからは監督変わった?っていうくらい(笑)息も付かせぬ大展開で、
話自体もめちゃくちゃ切ないし…恋愛物としてもホントよくできてるのですよっ。
…ここから先はあらすじは反転してます…
↓ここから↓
再会した林沖がいまだに黄の元にいると知った少東は、
衝動的に彼を連れ出してしまう。しかし2人に行くあてはなく、
雪が降り始めた夜の田舎道で車はガス欠で立ち往生し、
2人は車内で向き合うことになる。パトロンの目の前で違う相手と逃げた上に、
舞台にも穴をあけ、もう後戻りできない林沖は少東を頼るしかないが、
少東は林沖の想いを拒絶してしまう…。少東が車外で必死に動揺を
しずめて車に戻った時、そこに林沖の姿はなかった。
↑ここまで↑
少東というキャラは…ホント洋行帰りのいいとこ坊ちゃんで、
青二才で、なまぬるくて、半端に(そして罪作りに)優しくて、
理想論ふりかざすだけで、実際にはなんにもできないハンパ者で、
もうホントにどうしようもない、まあぶっちゃけヘタレなんですけど
(言いたい放題だな。笑)、でもいいやつで、憎めなくて、あけっぴろげで、
真直ぐで、ものおじしなくて、ずっと厳しい環境で生きてきた林沖には
信じられないくらい別世界の存在で、きっと砂漠の中のオアシス
みたいに、きらきら輝いて見えたのかなあという説得力は満点です。
林沖にとって彼は別世界の人間で、手を出してはいけない、
そうすればこの関係は壊れてしまうとわかっていても手を伸ばさずには
いられなかった、雪の中の温かい灯のような存在…だったのかなあ。
つか、素地もない素人さんにいきなり手を出したらそりゃ逃げられるよ。
そこまでやったならいっそ押し倒すぐらいのほうが上手くいったのにー!
とかおもっちゃダメなのね(アホですみません…)
↓ここから↓
翌日の新聞には少東が昆劇役者(林沖)と駆け落ちしたという
スキャンダルが載る。それは逆上した黄子雷(ワン・ツーライ)が
手を廻したものだった。怒った父親に少東は自宅軟禁状態にされる。
一方、林沖は雪道を徒歩で劇団の宿舎まで帰ったために
ひどい風邪をひき寝込んでいた。
そのまま事態は沈静化するかと思われたが、数日後の深夜、
英兒(インアー)の部屋に突然林沖があらわれる。林沖は、年少の弟子に
手を出していた団長に激怒し衝動的に彼を殺して逃げる途中だった。
最後の暇乞い来た林沖に、換金できそうな物をあるだけ渡して抱きしめる
しかできない英兒は、最後にクリスタルのチェロ(またはバイオリン)
の置き物を渡す。それは少東が彼女にくれた贈り物。
彼女は最初から林沖の気持ちに気が付いていた。
↑ここまで↑
そして英兒…好いキャラです〜。前半は彼女の語り廻しで話が進むのですが、
天然キャラの少東と違って(笑)彼女はリアクションこそお茶目で
可愛いけど(あ、着てる服もめちゃ可愛いですよ。笑)じつは
しっかり者で、直感が鋭くて、聡明で、思慮深くて、強い正義感と同時に、
物事の裏側まで見透かすだけの深い洞察力をもっていて、
好きなのは少東だけど、頼るのは英兒みたいな林沖の選択も理解
出来るっちゅーか(笑)そんなキャラ。後半は彼女の賢明さで
話がもってるところもあるので…。
そして彼女が渡したこのクリスタルのチェロが、
後半からラストにかけて印象的に使われる強烈な小道具に…(涙)
↓ここから↓
林沖との一件で混乱する少東は英兒(インアー)に結婚を早めようと言うが、
彼女は、無理は禁物だと少東をさとすと婚約を解消したいと伝える。
しかし、自分の気持ちを肯定できない少東は、逃げるようにニューヨークへ舞い戻る。
やがて第二次世界大戦の勃発、日本軍の占領…激変する歴史の中で天津と
ニューヨークの間でかわされる英兒と少東の手紙によって
数奇な運命を辿る林沖の物語がつづられていく…
↑ここまで↑
ここから先はホントに凄い名シーンばかりで…最後のネタバレはしません。
そのネタバレに直接関係ない名エピソードだけ以下に
前述の黄子雷のエピソード
英兒(インアー)は長い間消息不明だった林沖を占領下の天津で見つける。
彼は苦力(クーリー:日雇い労働者)をして以前のパトロンだった黄子雷を
養っていた…というもの。
戦争により利権を失った黄一族はおちぶれて、横暴な専制君主だった黄も
アヘンにおかされ寝たきりになってる。完全に立場が入れ替わる2人の力関係も衝撃的だけど、
あれほど憎んでいた黄を林沖が養っているというのがまた…この2人の関係は
元々サドマゾが入れ替わる複雑な関係だったけど…
どこまで凄いんだこの映画はって感じです。一応、以前逃亡中だったときに
林沖を黄が助けたみたいな説明は入りますが(笑)すでにこっちは妄想モードですよ。
じつはこのエピソード、時間的にも短いうえに、英兒のモノローグのみで
話が進んで2人に台詞はないんですよね…。にもかかわらずインパクト大で、
非常に印象的です。死期を悟った黄が髪を洗わせるシーンとか…もうもう…すごすぎ。
林沖は黄を好きではなかったけれど、結局彼を一番理解して受け入れて
くれたのは黄だったのだろうか…みたいな妄想がね(黄は林沖にベタ惚れだったしね)
黄のために、恐らくは最後まで手離さずにいたクリスタルのチェロ
(!少東のですよ)を林沖が換金しようとするくだりは圧巻です。
もう一つはニューヨークの中国人街でレコードから流れてくる
「夜奔」の曲(林沖が舞台で歌っていた曲)を聞いて少東が号泣するシーン。
ホント切ない話です。でもこれよりせつないオチが…待ってるのですよ。ラスト。
以上〜。後半はもう、前半ののんびりモードとはうって変わって怒濤の展開です。
しかもエピソードの一つ一つが秀逸。悲恋ものなんですけど、私は
この映画ほどよくできた悲恋ものをちょっと思い出せません。
ホントこれを劇場公開もDVD発売もなしとは…もったいないのう。
「ナイト・ウォッチ」
ロシア製ダークファンタジーという売り文句で、すでに見に行く気
満々だった映画(笑)。どうだろうと思っていた設定も展開も予想以上にベタベタで、
唖然とするくらいだったけど(笑)でも、期待していたロシアンな薫りを
漂わせるエキゾチックな部分も沢山あって満足満足。
とりあえず俳優が…よいですー(笑。のっけからそれかよ)
いやこうね、全然美男美女じゃないところが好い(笑)美女は結構いるんだけど、
男優がね!おっさんばっかりでね!(笑)とっぽいおっさんの主人公
アントン・ゴロデツキーを筆頭にずらずらとオヤジばっかりですよ←褒めてます
(あ、アントンの隣人で面倒見のいいバンパイア君は若くてハンサム♪笑)
ヨーロッパの映画って観客に媚びないというのか、それとも、そもそも
観客の好みがそうなのか、普通に俳優ぽくない人をがんがん使ってくるので新鮮です。
ネット上の感想みてると、この「メインキャラが美男美女じゃない」という
ところに抵抗感があってダウンしてる人は多いみたいなので(笑)
やっぱりこれは慣れなのかな(ええ〜?笑)。私なんかは逆に美男美女が溢れる
画面のほうが違和感なんですけどね(いや、それはそれで好きなんですけど
美男美女群図(笑)…ただ、なんかこうCMぽいというかミュージックビデオぽい
というか。笑。時々ドラマに身が入らないのです)
ちなみに主人公アントンはもう本当に、のっけのストーカーまがいの旦那時代から
どうしようもないヘタレっぷりで(笑)、主人公なのに完全受けキャラで、
甘ったれで、かまって系で、ほっとけなくて、前述の面倒見のいいハンサムな
バンパイア君(ちなみに年下と思われ)を筆頭に、いろんな人に頼りまくりつつ、
面倒見てもらいつつで(←褒めてます。ステキなんですよ。でも外見はおっさん)、
ダメダメなのが素敵なキャラなんですけど(笑)きっとヒーローな主人公を
期待した向きにはショックなんだろうな〜。
彼は一応「光」サイドの中では戦闘能力高くて優秀という設定らしいんですけど…
そして実際活躍(主人公らしくね)しますけど…でもヘタレ(笑)
元奥さんを筆頭に、強気の(美人の)女性に振り回されている図が、この上もなく
よく似合います。サングラスかけると別人のようにかっこよく見えるのが不思議(笑)
子どもと一緒にいるのがすごく似合うというのもよし(笑)←保護者というよりは
同類にみえる(それって子どもっぽいってことか)…というか下手すると
しっかり者の子どもに面倒みてもらってそうで(笑)ゴハンとか掃除とか、
大人なんだからもっとしっかりしてよ!とか言われながらね。
あとゲッサー(光の当主)との関係もよいですね(笑)サドっぽくてね。
女性キャラも素敵ですよ。一番強烈なのは魔女のオリガかなあ。
ふくろうなんてお約束…●リー・ポッターかよ、とか思わせといて、もう飄々とした
毒舌炸裂で強烈な突っ込みキャラ。ここで主人公アントンとロマンス?とか
ちょっとでも思ったハリウッド的お約束は一瞬で吹き飛びます(笑)
完全受けキャラのアントンとは息もぴったりの名コンビですが。
本当にアントンのまわりにはイイカンジの美人さんがいるのに、全然恋愛
モードに展開しないのも素敵(笑)伝説の聖処女スヴェトラーナもアウトオブ眼中です。
(というかアントン途中からイゴール君しか目に入ってないし。笑)
バリバリのキャリアウーマンの元奥さんも、美人のタイガーも、スヴェトラーナも、
ヴァンパイアのお嬢さんも、意地悪黒犬のアリス(笑)も、女性キャラは
みんな好いカンジにキャラが立っていて素敵です。あ、冒頭アントンをハメる
魔女のおばちゃんも強烈でいいですよー(笑)
そんな強烈なキャラの中で、ヴァンパイアに狙われるイゴール君だけは
普通にかわいい少年キャラで、一服の清涼剤のようです(笑)。
アントンとのラブラブカップルっぷりがすごくお似合いでよかったのに…(涙)
これは展開上仕方ないんですけどねー。アントンは自業自得とはいえホントに哀れで、
そのへんの心理描写はよく描けています。ちゃんとこちらが共感できるので。
世界観も完全に光=善という訳ではなくて光≒善みたいな。
全体的なイメージは光=善、闇=悪でいいんですけど、異種は自己申請で
光か闇を決めるので極端な話、殺人犯でも「光です」と言ってしまえば光サイドにつく…
という解釈でいいのかな?そもそも、光側もいろいろあこぎな(協定ライン
ぎりぎりの)ことやってるみたいだし、隣人のヴァンパイアのキャラ描写や
台詞をみてると「闇」にもそれなりの共感をもって物語をつくってくれて
いるみたいなので、そのへんも今後期待です。
第一部の大筋となる聖処女エピソードのオチが「こんだけ大騒ぎ起こしてそれかよ!」
みたいな肩透かしなネタでちょっと微妙なんですけど(笑)それはそれ、
スヴェトラーナが強烈な力を持っていたってことでいいのかな(笑)
折角出て来たので彼女も今後活躍して欲しいですね。
映像も心象風景の使い方が秀逸でよかったです。冒頭、橋の上の全面戦争は
どうだろうねって感じだったんですけど(一見ものすごくありきたりで
ベタベタな映像で)、でも多分これは光と闇の抗争を象徴的に描くシンボリックな
映像表現なんだろーなーと思っていたら後半、しっかりそういう解釈で、
同じ橋の上のシーンがリンクしてきてお見事(というか安心した。笑)です。
現代の高層ビル群のど真ん中に「世界の中心の橋」があって夜景をバックに壮絶な
戦闘が行われているというヴィジョンは野心的で圧巻。
主人公アントンは予知の能力があってそれを映像で見るという設定なので、
こういった映像表現は随所に溢れてます。カラスの大群をバックに走る
地下鉄のヴィジョンとかめちゃくちゃ格好好いですよ〜。
「異界」の映像表現も斬新でおもしろいです。
全編に入っている英語字幕も、映像にあわせたタイポグラフィーになっていて
革新的です。第3作目は英語で撮っているらしいのですが、この
字幕はどうする気だろう…。ロシア語で入るのかな?あと、
聖処女伝説が白黒のペン画で描いたアート系アニメーションで語られるのも
キタキターって感じでチェコとかロシアアニメ好きにはツボです。
このアニメーションについてのデータが欲しくてパンフ買ったんですけど
ぜんぜん載ってませんよ(--;)。ちなみにこの映画パンフに関しては
イマイチです。HPに載ってることしか書いてないじゃん…まあ安いしいいんですけどね。
なんかこの映画は、「マトリックス」の影響を受けてると言うことで
よく引き合いに出されてますけど、そのたとえは(宣伝戦略としては)
微妙に間違えのような気がします。「マトリックス」的な映像は随所にあるし、
監督自身影響を受けたと公言してるけど、でもだからと言って「マトリックス」を
期待してこの映画をみた観客は満足しないと思う…。
というか友人が指摘してくれたんだけど、これ「マトリックス」というより
むしろジャン・ジュネの「デリカテッセン」のほうが断然似てます。
あの夜闇のマットな色合いとか、ざらついた金属のカンジとか。じつは結構
グロい描写とか、痛い描写とかあるんですけど(虫嫌いには厳しい描写なんかも)
そのへんのエグ味もデリカンテッセンのほうが遥かに近い血を感じます
(主人公が美男子じゃないのもね。笑)オリガの着こなす70年代風
ファッションも「アメリ」チックですし。←めちゃくちゃ可愛い(笑)
思わせぶりなまま放置されている台詞とか伏線とかもゴロゴロしてるので、
それを第2、第3作でどう拾っていくのかも興味津々です。
冒頭の全面戦争勃発時に光側に捕らえられていた魔女?らしき女性はなんなの〜
とか、その彼女が意味シンに目線を送る木こり風の男は何者?とか。
60年前に罪を犯して封印されていたオリガは体中傷跡だらけだし
(60年前つったら第二次世界大戦ですか?)「こんな強い呪は118年ぶり」
とか「1941年のほうがひどかった」とか気になる小ネタもびしばし
飛び交うし。世界史!1886年って何があってたの?!
そのうちチェルノブイリのネタとかも出るのかな。
アントン=イゴールのカップル(違う)が好きなこちらとしては、
最終的には丸く治めて欲しい気持ちです。第三作目のタイトルは
「黄昏を監視する者」という意味になる(ちなみに二作目は「デイ・
ウォッチ」で「光を監視する者」みたいな意味らしいよ)らしいので、
その辺も含めて中庸の世界観を(闇でも光でもなくね)期待したい〜
ナイトウォッチは原作本も出ているのですが、
映画とはかなり違うアプローチをしているらしく読んでみたいです。
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