アアル(r.)を支持できません。
【1999/02/22版】
ソフ倫に喧嘩売って脱退二号サンのアアル(r.)ですが、一部に見られる「勇気ある行動」「支持する」と云う意見に異を唱えたい。
今回の一連の行動はアアルの「身勝手な行動」であり、到底「支持できない」と考えるからである。以下に検証をしてみよう。
・事件概要
発端は1998年12月4日に発売されたソフト「コ・コ・ロ…」である。発売後、内容に問題ありとして
ソフ倫は審査の無効を通知、それに伴う回収指示に抗議して
アアルがソフ倫を脱退。1999年1月29日に「コ・コ・ロ…」修正版を自主審査で発売して現在に至る。
・Webなどでの反応
この騒動に関して、各所Web掲示板などでソフ倫批判の声が上がった。
曰く、『一旦審査を通した物を一方的に無効とするのは横暴だ』
曰く、『ザル審査のツケをメーカーの責任に転嫁している無責任団体』
曰く、『アアルの勇気ある行動を讃えたい』
‥…などなど、あたかもアアル側に一切の責任が無いかのような発言が目立った。
・検証
では、本当にアアルに責任は無いのか?ソフ倫の取った措置は横暴な物かを検証していきたい。
0)問題とされた点は何か?
まず、件のソフトの何が問題とされたかを把握する必要があるだろう。
Web上に流れた情報ならびに、実際に自分が「ソフ倫審査版」を入手して内容を見た限りでは、以下の点であろうと推察される。
a)近親相姦:主人公と妹の性的関係が直接描写。
b)近親相姦:剣道部の女主将と弟(実姉弟)に性的関係を結ばせる描写。
c)児童虐待:主人公のトラウマとして描かれる悪夢での父母による性的虐待描写。
d)モザイク:一部CGの消しが甘い。
18禁ゲームをPLAYしている人間なら承知の通り、現在のソフ倫の規定では「近親相姦」を描写する事は許されていない(※1)。その為、多くのソフトでは「義姉・義妹」や「義父・義母」と云った形を取って、規定に抵触しない様に心掛けている。中には「注意書き」として、発売間際に慌てて形を整えたものもある。
※1:PCソフトでは無い、ビデオCDなどにも適用されているかどうかは不明。
この様な形式上の規制を「意味がない」と云って軽んじる傾向は、昔からユーザーの中にあったものだが、最近は作り手の中にも居るらしい。それら制作側に居る一部の不満分子は、「倫理規定」を蔑ろに考え、出来る事なら「有名無実」としたいと考えるものの様だ。
上記 d項については自分が見た範囲では確認できなかった。都市伝説の類と思われる。また、c項に関しては今回の「問題部分」には該当しない模様。
現在のソフ倫の規定では「近親相姦は絶対駄目」だそうである。これに対して「じゃあレイプは良いのか?」「義理なら良いのか?」と問う声もネット上ではあった。しかし、これは愚かな論点のすり替えである。
1)「18禁」の意味する物は何か?
先ず「18禁」と云う規制の意味を再考してみる必要があるだろう。
上に挙げた「近親相姦」などは「官能小説」や「映画(TV映画)」の世界では比較的自由に描写することが可能である。それなのに『PCソフト』では何故出来ないのか?簡単に云ってしまえば、それは歴史の差であろう。過去の「猥褻論争」は文学の世界から始まり、映画やビデオなど個人が手にするメディアの主軸が移る度に繰り返されてきた
さて、形骸の「倫理規定」は不要だと主張する人間は多い。先に挙げた「不満分子」ならずとも「自由に創作を行いたい」と思うあまり、これら「規制」を「手枷・足枷」と感じる人間は実際多い。
しかし、基本的に「18禁」ゲーム業界は「風俗産業」である。存在そのものがPTAや婦人団体、宗教団体などと軋轢を産む業界なのである。行き過ぎれば「世間の良識」を敵に回す事態になる。規制(倫理規定)とは、これら異なる価値観・倫理観と共存していく為の「合意事項」であり「境界線」なのだ。
その「線引き」を移動するには、様々な社会的コンセンサスを得て行かねばならない。むやみに越境することは、相手側に「攻撃」する口実を与えるだけである。一度問題が発生すれば、分が悪いのは「風俗産業」の方である。業界に働く人間であっても、普段は「一般社会の良識」に住まう父親であり母親であり若者なのだ。それはソフ倫発足の原因となった事件の後に、業界全体が経験した冬の時代を思い起こせば充分だろう。
だから、一見馬鹿げている様に見える「義理の家族」と云う装飾も、述べている事が明瞭な「伏せ字」も用いなければならない。そんな一見「馬鹿げた」理由であっても受け入れ、抵触しない範囲で知恵を絞ってみせる。そして遊ぶ方も
そんな「事情」を理解して 制作側の意図を汲み取り翻訳する。それが出来るのが大人の考えであり振る舞いなのだ。一旦引かれた「境界線」を移動させるには、たかが一人や一社の独善や先走りをして「既成事実」とは出来ない事を理解するべきであろう。
倫理規程は決して「手枷・足枷」ではない。それは自らが守ってみせるべき「戒め」なのだから。それが出来ない「子供」は18禁ゲーム業界に居て欲しくないし、それが解らない「子供」は18禁ゲームを遊ぶ資格は無いのである。
2)ザル審査?
今回のアアルの事件では「明らかに倫理規程に抵触する描写」があるにも関わらず、一旦は審査が通ってしまっている。これをして「ザル審査」と呼ぶ人間も居る。だが、今回の件は本当に審査側の責任であろうか?
ソフ倫で審査を担当する人間が、我々素人でも気付くような「問題点」を見落とすとは俄には信じ難い。
そこでソフ倫に於ける審査資料は何かを見てみよう。完成品審査となるビデ倫と異なり、ソフ倫の審査は「タイトル」「作品概要」「過激な中からCG10枚(動画含む)」「動作環境」である。細かい部分は基本的にメーカー任せなのだ。
# この点をして「自主審査と変わらない審査を口実に不正利益を稼いでいる」「いざと云う時に責任を取ってくれない審査機関に何故審査料を払わなければならないのか」と云う声が「ソフ倫批判派」からは聞こえる。この点に関しては次項で考察する。
基本的にソフ倫の審査体制は「メーカーの良心を信じる」仕組みである。自社内で内容を討議し、その上で、なお自社内ではチェックできない妥当性を補完するのに「メーカーが利用する」為の制度である。その結果を「ザル」にするもしないも、利用するメーカー次第なのだ。
さて、「基本的にメーカー任せ」であるから、審査漏れが発生するとすれば
a)メーカーが提出時に規定に抵触しそうな部分を隠蔽した
b)ソフ倫の審査担当者が意図的に規定に抵触した部分を見逃した
の何れかだろう。b)項に関してはソフ倫側にメリットは何も無いので考えなくても良いだろう。常識的に考えてみると、審査漏れの原因は
a)項しか考えられないのである。それともアアルは「ソフ倫役員メーカー」に疎まれる存在で、故意に審査漏れをしかけられた被害者なのだろうか?過去のアアル作品を見るに、それもありえないと思える。取るに足る作品は、今回の「コ・コ・ロ…」も含めてだが、一つも無いのであるから。
では、メーカー側に a)項を取るメリットはあるのか?あるのだ。
先に挙げた様に制作者の中には規制を「押しつけられた足枷」と考えている人間が多い。また近年の傾向として、従来より過激な表現・内容を謳う事で売り上げが伸びる傾向にある。手っ取り早く「金を稼ぐ」には、「背徳な内容」を打ち出すのが一番容易なのだ。
では今回のアアルの場合はどうだろう?
一般に「アアル」と云うブランドは【地雷】量産ブランドとして確たる位置にある。実際、前作「lag.」までのユーザー評価は「最低」と呼んで差し支えないものである。今回問題となった「コ・コ・ロ…」にしても『絵柄は惹かれるものの、アアルだから…‥』と購入を見送る、または最初から購入対象と見なさない人間が大半であった。自分の地元(地方都市)のショップでは「予約注文分以外は在庫を取らない」店ばかりであった。
おそらく再三、採算割れを起こしていたハズである。この不況下、融資元(流通業者)からは
いつ三行半を突きつけられてもおかしくはなかったのでは無いか?
ユーザーに対するブランドイメージの回復を狙って、一か八かの賭けに出た可能性は否定できない。昨日今日のメーカーでも、18禁デビュー作でもない。何が問題になるかは重々承知の上での制作・発売であったハズ。つまりアアルは「問題になる」事を狙って発売をしたフシが伺える。これは「ソフ倫を脱退」しても商品を扱ってもらえる流通が背後にいる事を前提にしての「売名行為=宣伝」であると推測できる。
3)ソフ倫=悪の組織?
ソフ倫に対する「負のイメージ」は主にマイクロデザイン出版局が発行する「ゲーム批評」誌によって醸成されたものである。その記事で描かれるソフ倫のイメージは大体以下のようなものであろう。
a)D.O.代表の佐藤氏が独裁体制を敷き、好き放題をしている。
b)審査基準が曖昧で、理事(監事)会社に有利な運営がなされている。
c)会計が不明瞭。一部役員が審査費用を着服している。
一方、(株)メディアックス発行の「Newdie(ニューディ)」誌(隔月刊)は、攻略情報主体の雑誌構成であるが、創刊以来、読者のソフ倫やビデ倫を取り巻く疑問に答えるべく積極的に取材を行っている。最新号では、脱退後「自主審査」で商品を発売し続けているソニア(サイレンス)への取材も行っている。
よく、引き合いに出される「ビデ倫」についても1999年1月に発行された号で取材している。その中でソフ倫とビデ倫、それぞれの加盟や審査に掛かる費用の違いなども挙げている。審査手順の違いなど含めて、ソフ倫を巡る疑惑に興味を持つ人間は目を通しておきたい。
一連の記事の中では b)項とc)項に関しては疑惑そのものを否定する内容が紹介されている。実際に挙げられている数字を見る限りにおいて、ソフ倫の役員が審査料から不正に財を成すのは不可能と云えそうだ。審査についても役員会社の人間が審査過程に関与する事はないと云う。
また、これはあるメーカー(※2)関係者から聞いた話であるが、会計報告はじめ議事内容や決定事項なども加盟各社には必ず報告がなされていると云う。むしろ「忙しいから」と目も通さずに済ませている会社代表も多く、問題を起こしたり、不満を口にするのは「大抵はそんな連中」とも云っていた。
※2:比較的老舗ではあるが、現在に至るまで理事や役員とは無縁の会社だ。
またa)項に関しては、自分が聞き及んだ範囲の情報では、佐藤氏の人となりは「ゲーム批評」で伝えられる様な「卑劣漢」とは程遠い人物である。実際に
お逢いした事は無いので、どちらが「佐藤氏の実像」に近いのか断定するのは危険である。が、自分としては、話を聞かせてくれた知り合いの言葉を信じたい。
4)回収指示は「責任転嫁」か?
審査に際しての落ち度がソフ倫とメーカーのどちらにあったにせよ、「問題の起きた商品」を市場に放置は出来ない。これはゲームソフトに限らず、食品や薬品などでも同様である。
その意味で、ソフ倫からの「審査通過の無効」や「回収指示」は不当な物ではない。特に、今回の様に「明らかな規定違反」を指摘されている場合には、むしろ回収に抗議する方がおかしいのである。例えが適切でないかも知れないが、問題を知りながら製品回収をせず、罪なき被害者を徒に増やした「非加熱製剤による薬害エイズ事件」を考えてみて欲しい。問題の起きた商品を回収するのは企業に課せられた義務なのだ。
実は1998年夏頃にも「みせたがり」と云うタイトルが製品回収されている。音声部分に「卑猥語」がそのまま収録されている事が問題とされた。この時はメーカー側が「自主的に回収を決定」している。当時、音声部分には明確な規定が無く、メーカー側が「規定違反では無い」と強弁する事も可能であった。
それが、アアルの取った行動は「審査通過の無効」や「回収指示」に抗議しての「ソフ倫脱退」である。正気の沙汰ではないだろう。
自主審査による作品を発売しつづけて行くと云う事だが、「自主審査となんら変わらない(とも云われる)ソフ倫審査の規定に抵触する作品を発売し」「問題が起きた商品の回収指示に抗議する」メーカーが、今後発売する商品で同様の問題を起こさないと信じることが出来るだろうか?そして問題が起きた際に「自ら回収」する事が出来るだろうか?
こうして考えると、むしろ「責任転嫁」をしているのは、アアル側なのである。審査無効や回収に異を唱えるので有れば「修正版」など、問題とされた部分に修正を施す必要は無いだろう(※3)。
※3:もっとも「修正」を施さねば何処も扱ってはくれないだろう事も確かである。
回収騒動に於ける「ソフ倫の罰則規定」が如何なる内容かは部外者の自分には解らない。以前のソニアの件などを考えると「審査ならびに審査済み作品の出荷を6ヶ月間停止」あたりか?
以下、その推測を前提に述べる。
半年のあいだ新商品を発売できないのは厳しい措置かも知れない。しかしソフ倫の審査は既に述べた通り、「メーカーの良心を信じる」ことが大前提である。審査を簡便にする代償に罰則は厳しいのだ。これは決して「弱い者いじめ」ではない。
5)再販版の内容
入手いたしました「自主審査」版。何とも泥棒に追い銭気分。
変更点:
a)ソフ倫の「18」シール無し、独自の「18禁 AdultOnly」シール
b)マニュアルの「妹」が→「義妹」に
c)実行ファイルと一部データファイルのタイムスタンプが
1998/11/07 01:00 → 1998/12/16 16:00 になっている。
d)起動時に以下のような断り書きが表示される。
|
この物語はフィクションです。 ゲーム中に登場する人物どうしの血のつながりは まったくなく、近親はすべて義理のものです。 |
変更点の考察:
回収の指示は発売後、二週間以内に行われている。アアルへの通達は修正版のタイムスタンプから察するに一週間といったところか?また、発売の一ヶ月前にはマスターアップしていたであろう事も伺える。
この一ヶ月の余裕は何を意味するのだろうか?予定通りだとすれば、アアル規模のソフトハウスとしては非常に余裕を持って製作が行えた事を意味する。この期間にアアル社内の誰も「起こり得るべき問題」に気付かなかったのだろうか?気付いていれば、他社の様に「親子・兄弟などは全て義理の関係です。」との『断り書き』を封入する余裕はあったハズである。また、気付かなかったのであれば益々、今後アアルの【自主審査】は信頼出来ないものとなる。
問題が起きてから修正版CD-ROMのマスタ出しまで一週間掛かっていないだろう点も気に掛かる。手際が良すぎるのだ。この騒動を利用して「売れるだけ売ってやれ」な思惑は無かったのだろうか?
6)本当の問題点は何か?
今回の件で痛切に感じたのが「ソフ倫発足の原因となった事件」の風化である。作り手、買い手、その間に位置する流通や販売店に携わる人間なども含めて、「自主審査の危うさ」を認識できない人間が多くなった様だ。Web上に溢れる無責任な「ソフ倫不要論」などは、あの「えろげぇむ冬の時代」を知らないからとも思える。あるいは、そんな「無知な世代」を煽って「ソフ倫=悪者」に仕立てようとする人間たちの思惑も一部に感じられる。一種の情報戦である。こうなってくると例え正しかろうが間違っていようが「多くの情報を流した方が正義」になりかねない。特にWeb上には流れてくる情報を鵜呑みに信じて「正義の尖兵」として「正しい情報の拡大再生産」を行ってくれる初な「子供」が多いのだ。各所で騒ぎ立てるのは大抵、これら「賢しいつもりの子供」である。
ソフ倫側からの情報発信が極端に少ない事もあって、ソフ倫批判派には好都合な環境が労せずに眼前に転がっているのだ。ソフ倫としては無益な情報戦(=消耗線である)には立ち入らず、厳として本来の実務に専念する姿勢のようである。自分が一番歯痒く感じる部分でもあるが、ある程度納得もいくのでややこしい。
なにせWebなどに溢れ暴れる「子供」を説き伏せるのは非常に面倒なのだ。特に「賢しいつもりの子供」は端から聞く耳なんぞ持っては居ない。そんな連中が「大人の世界」に口を挟む。こんな滑稽な構図こそが問題なのかも知れない。
7)結論
アアルがソフ倫脱退と云う行動に出たのは全くもって【愚か】としか言い様がない。今回の脱退劇を「ソフ倫批判派」は声高にわめきたてて利用するだろう。むしろ「ソフ倫」攻撃に利用する為に、ある人物が仕組んだ茶番劇と読むことも出来る。彼にとっては「脱退」の実績を作ること、それこそが必要なのだ。
アアルと云う会社は、今回の脱退劇で「勇気ある行動」によって、それなりに
この人物に遇されるだろう。しかし彼にとってアアルと云う会社は単なる駒である。融資を打ち切って潰しても痛くもないだろう。むしろ「横暴なソフ倫によって消滅せざるを得なかった被害者」として墓碑銘を利用されるのが落ちかも知れない。
自主審査商品は都市部ならいざ知らず、地方では一切扱われない。ま、【地雷】量産ブランドとして名を馳せたアアルであるから実勢に変化はないのかも知れないが。
今回の件で、自分はソフ倫を信頼する事に決めた。もちろん全幅の信頼ではない。だが、批判勢力よりは信頼に足る組織と考える。
【少なくとも「アアル」は信頼できるメーカーでは無い】
これが自分の結論である。
今回は真面目
何か、唯一まともな内容かも(自嘲)