サウスパーク:無修正映画版
アメリカ北部の山間の小さな街サウスパークに、カナダからR指定の映画がやってきた。P&Tという下品な芸人たちが繰り広げる放送禁止用語の連発に、すっかり魅せられた子どもたちが汚い言葉を使うようになったことに心を痛めた大人たちは、カナダにP&T映画の差し押さえと本人達の逮捕を要求するが、サウスパークPTA代表の過激な要求によりそれはいつしか、アメリカ対カナダの戦争にまで発展してしまう……
アメリカで大人気……らしい、サウスパークというアニメの劇場版。無修正と名打っているだけあって、普段は自主規制したりするような言葉まで全てボカシもなんにも含まず出されている挙げ句に、それをミュージカルにしてしまっている時点で、すでにおっかしくて笑ってしまう。なんでミュージカルなんだ!?
この映画に笑えるポイントはいくつもあるのだけれど、自分はカナダ軍が最初に爆撃するのがボールドウィン邸(アレックとかウィリアムの、ボールドウィン三兄弟の家ですよ!)であるところとか、なぜかガンジーが地獄にいたりするところとか、「モンティパイソン」にも通じるところのある、有名人を小馬鹿にしているジョークとか、セリフの「間」だとかが、笑えてしょうがなかった。自分の笑いのツボは、こういうところにあるんだナと、再認識。認識したからといってどうなるものでもないんだが。
サウスパークの人気は、万人向けのジョークにあるんじゃないかと思う。社会風刺とかブラックジョークとか下品なところとかが槍玉にあげられがちだけど、笑えるポイントは他にもいくつもあるし、本当に宝箱のように、ポンポンと「笑い」が飛び出してくる。この構成の旨さは、そんじょそこらの人間ができることじゃない。褒められたことじゃないような気もするけど、でもこういうスケッチを書けるというのは素直に尊敬できる。
尊敬ついでに、ブラックジョークとかを一切取り除いてこの映画を見てみるとどうなるだろうかと考えてみた。どっちにせよ映画も後半になると、序盤の下品なギャグの連発からやや食傷気味になってきて、感覚が麻痺してきてしまうのだけれど(ここらへんも考えてやっていることなんだとしたら凄い)。
アメリカのヒステリックな大衆扇動の風潮。親の無責任な発育。子どもと親の関係。子どもなりの見栄や無知による悩み。メディアの扇動と言論弾圧。なーんだ。そこらへんにあるような、当たり前のことばっかりじゃないか。でも、当たり前のことには真実がある。皆が普段から感じていて、バーでニヤニヤ笑いながら話すような大げさな話をマジで捉えたのがこの映画なんだと思う。誰でも共感できるし、誰でもちょっと気まずいような思いをしながら、そうそうと笑って頷いてしまう。
サウスパークを見て啓発されるような人はいないと思う。けど、それでいいんじゃないかと思う。制作者側も、そんなことは考えていないだろうから。作りたかったのは面白い映画であって、そういう現実に立ち戻って考えてみれば、実にサウスパークというのはよくできた作品だなあと、思わずにいられないのです。
方法はどうあれ、エンターテイメントですな。まさに。