「交渉人」

人質事件の際に一人の死者を出すこともなく、事件を解決する。それがネゴシエーター(交渉人)である。シカゴ市警が誇る優秀な交渉人であるダニーは、ある時相棒から、署内に横領事件が起きていることを知らされる。しかし間もなく相棒は何者かに殺害され、ダニーはたちまちその犯人として祭り上げられてしまう。誰も彼の話を聞く人間はいない。周囲は誰も信用できない。八方ふさがりとなったとき、ダニーは自ら人質をとってビルに立てこもり、自らの潔白を証明するために決死の覚悟で「交渉」を始めた! そしてその相手役として、一人の優秀な交渉人・クリスが呼び出されることになった―――

エディマーフィーが、「ネゴシエーター」というタイトルの映画を作っていなければ、きっとこちらが邦題も「ネゴシエーター」になっていたんだろーなーと思わずにいられない作品って、そんなこたぁどーでもいいんですが。

今度「英雄の条件」を見に行こうと思っていて、どんな映画なのかを会社の人に聞いたところ、「ああ、なんかまたサミュエルLジャクソンが容疑かけられてるんでしょ」という答えが帰ってきた。仮にもジェダイである彼が、「また」っていったい……と思いつつ、これのことかなと見てみた次第。

有り体に言ってしまうと、警官が他の警官の汚職に気付いて、消されそうになりながら頑張るという話。「夜の大捜査線」から、延々と続いている、汚職警官シリーズですね。是非とも日本でも実写ドキュメンタリーとして映画化していただきたいところ。でも、ダニーが汚名を着せられて、次第に追い詰められていく場面を見ていると、つくづく警察にゃあ逆らわないほうがいーよなと思ってしまいます。というか、逆らいようがない。訴えでても、誰が犯人かわからないので、信用できない。怖いです。

でも、自分の今まで過ごしてきた世界観が崩壊して、究極まで追い詰められた男が窮鼠猫を噛むといった風ではないのが残念。なんだか急に逆上して人質事件を起こしてしまったように見えるんですよね。冷静だったはずの交渉人が、急にブチ切れてしまったように見えるし、交渉人VS交渉人の、息を呑むような頭脳戦が展開されるのかと思ったらそうでもない。

追い詰められた状況で、それでも自分自身を立証するためにあがく根拠が薄いんす。確かに相棒を殺されて、その罪を被らされそうになっているなんていう状況まで追い詰められいるのはわかるんだけど、なんか危機感が薄い。多分それは、相棒が殺されるキッカケになった事件の概要がぼんやりとしすぎているからなんじゃないかと。聞いていて横領事件だってことはわかるんだけど、主人公はそれをちょっと聞いただけで、完全に巻き添えだしねえ…

あと、登場人物一人一人の印象が薄すぎて、犯人像が絞り込めないこと。ロロ・トマシと言ったときの緊張感が感じられない。犯人探しだかなんだか、シナリオの軸もだんだんブレていっちゃうし……

見るべき所がどこなのかさっぱりわからない、緊張感もヘッタクレもない映画でした。「L.A.コンフィデンシャル」と比べてはむべなるかなとも思いますが、追い詰められる男の話なのか、犯人探しのサスペンスなのか、アクションなのか、コンゲームなのか、それとも妻を愛し続ける男の話なのか、どれか一つ、はっきりさせて欲しかったです。