サルサ!
ショパンの再来とまで言われていた天才ピアニスト、レミ・ボネはラテンへの想いを断ちれきれず、キャリアも将来も棒に振って、ラテン音楽の道を歩むことを決心する。しかしキューバ人の親友は言う。「お前の肌はバニラ色だ。客が欲しがってるのは、チョコラータ。本物のラテン男なのさ――」。そしてレミは、肌を焼き髪を染め、新しい自分"モンゴ"と名乗るキューバ人に華麗な変身をとげ、サルサ・ダンス教室を開いて自分の生きる道を確立したかに見えた。一人の美しい女性に恋するまでは―――
「オルフェ」といい、「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」といい、これといい、ラテンブームでもやってきているんでしょうか。ラテン音楽大好きな自分としては嬉しくってしょーがないけどねッ!で、オルフェはブラジルなんですが、こっちはキューバです。サルサですよ、サルサッ! サルサ♪ ♪ (唄うな)
でも舞台はフランス。フランス映画。実際にラテンブームがフランスであったそうなのです。
音楽を題材にした映画ってのはよくあるけど、大抵は音楽か、ストーリーか、どちらかに偏ってしまっているんですよね。
でもサルサ! は違うっす。この音楽がどのようにキューバ人たちに根付いているのか。黒人がなぜ陽気にサルサを奏で続けるのか。唄うこととは、踊ることとは。そして愛とはどれほど素晴らしいことなのかを、陽気なサルサのリズムとともに我々に語りかけてきてくれます。まるで、この映画自体が一つのサルサの曲の歌詞のよう。
ストーリーにすごい意外性があるわけではありません。予定調和の繰り返し。けど、シエラ・マエストラ(これは実在のグルーポ=バンドですよ)の素晴らしい演奏とサルサのリズムは退屈なんてどこの言葉? って感じだし、ときおり、はっ! とさせられるシーンがあるのです。とくに、40年来離ればなれになっていた恋人同士が再会する場面は、涙なしには見られません。これを陳腐という奴がいたら、目ン玉くり抜いてやる!!
そして、主人公レミ=モンゴもすごい。トム・クルーズ似の、金髪碧眼。肌の色は雪のような美形が、突然セクシーなキューバ人に変身してしまうのも見物ですが、決して彼は「なんで白人じゃいけないんだ!?」と言わない。自分から何もしないまま文句だけ垂れ流すなんてことは絶対にしない。言い訳をしない、いい男なんですよ。何でもチャレンジしてみる。―――ただ、ピアニストだったはずなのに、ややその設定が活かされていないような気もするんですけどね―――
見た後、ロビーの購買に出来ていた人だかりにびっくりしました。ラテン音楽はあんまり知らないとか、あんまり好きじゃないって人にも是非見て欲しい。見た後で、思わずサントラを購入してしまっている自分がいるはず! この明るさは、昨今のヒーリングミュージックとかいうクソッタレなブームメントを吹っ飛ばす、本当の意味での「癒し」ですよ。
ディズニーのような、病的な明るさではない。ちゃんと黒人への偏見や彼らの苦悩や悩みを描いた上で、サルサを奏でている。だからこそ、陽気な太陽はもっと輝くんです。唄って踊れば、自分の中の陽気な部分を、ポジティブな部分を再発見することができる! ラテン人だったら、苦しみは笑顔で隠せ!! はいッ! そうします!!(え、あんた何人?)