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a Little Stries
かなり前に書いて公開していた作品です。
公開時のタイムスタンプを見たら'95になっていました。
読むと上げるのが嫌になるので読まないで上げます。
そんなわけで解説はしません。
というか、いいわけになってしまいそうで、、、
怪盗 剣 綾之介
梶原 鈴香
綾之介ったら、私の隣ですやすやと眠って
いるわ。相変わらずいい顔ね。まあ、私が面
食いということもあるけれど。こんな男の子
がお隣でまして幼なじみで、なんて私ったら
ラッキ−なんでしょう。そのかわり、その他
の男運が、全くなっかんだけど。まあ綾之介
の顔に免じて許しちゃう。でも、何に対して
許すのかしら?まっ、どうでもいいわこんな
こと。
でも、綾之介とも明日でお別れね、明日は
私の結婚式。社長子息と結婚するの。言わば
玉の輿というやつね。玉の輿かー。もっと綾
之介がはっきりしてくれればねー、良かった
んだけど。まあ仕方ないわ、過ぎたことです
もの。
なんか、考えていたらむしゃくしゃしてき
ちゃった。
私は綾之介の首を両手でむんづと掴み、思
い切り揺さぶった。
「ちょ、ちょっと、や、やめてくれ。行き成
り何をするんだよ、まったく。」
「目が覚めた?」
「覚めた、覚めた。いったいどうしたんだ?」
綾之介の優しい顔が、目の前にくる。あん、
綾之介ったらやっぱりハンサム。ちょっと気
が引ける気がするけど聞いてみよう。
「聞いて怒んない?」
「怒らないよ。」
綾之介ったら、ちょっと困った顔をする。
たぶん私が、また無理なことを言うんじゃな
いかと思っているんだわ。まあ、今私たちが
ここにいるのだって、私が無理に最後の夜を
過ごしたいと言って頼み込んだのだけれど。
結果、こうなっているの。
綾之介は、私の頼みごとは大概聞いてくれ
るのだけれど、でも今日は、結婚式を明日に
控えた娘とは、と言って、なかなか首を縦に
は振ってくれなかったわ。当然よね。私のこ
とを、不埒な娘と思ったかしら?
「綾之介、心して聞いてね。」
今日の夜を最後にしないためにも思い切り
聞いてみることにした。
「綾之介は怪盗を名乗っているわよねえ。そ
こを見込んでの頼みなんだけど...」
綾之介ったらまた嫌な顔をする。
「明日、私を盗んでくれない?結婚式場から。」
「君を盗む!!結婚式場から?」
「そう。」
綾之介ったら本当に困り顔。そうよねえ。
こんなこと言ったら誰でも困るわよねえ、普
通は。
「俺に、卒業のラストシーンをやらせるつも
りか、君は。」
「卒業のラストシーン?」
「...そういえばそんなのあったわね。」
私はわざとらュ、しれっと言う。
「おい、頼むからそれだけは勘弁してくれよ。」
そんなこと言って、いつも頼まれるくせに。
でも、今日はいつもと様子がおかしいわ。断
られたらどうしよう。いつもの押しの一手で
何とかするしかないわね。
「貴方に盗めないものはないんじゃなかったっ
け?。」
綾之介のプライドを突くように私は言う。
「それとこれとは別さ!」
「別?」
私は聞き返す。
「別じゃないわ!」
思い切り、言い放つ。
「少なくとも綾之介にとっては、私は物なの
でしょうから。」
「物?」
今度は、綾之介が聞き返す。
「だってそうじゃない?」
「本当に私のことが好きなら、私が結婚するっ
て聞いたら止めるんじゃないの?」
綾之介ったら、本当に困ってしまったみた
い。さっきまで綾之介の瞳は私を見つめてい
たのに、それが今ではベットに寝ころがり虚
空を見つめている。
今度は私が起き上がり、綾之介の肩を揺す
る。
「ねえったら。」
「.....。」
綾之介は黙ったまま。
しばらくして口を開く。
「ああ、そうだね。」
「君の言うとおりだ。」
えっ、今なんて言ったの綾之介?
私の聞き違い?
あの優柔不断な綾之介がこんなことを言う
なんて、信じられない。
私は夢見心地で何も答えられない。綾之介
が、また口を開く。
「君に対しては、もっと積極的になるべきだっ
たね。」
「えっ?」
「じゃあ、私のお願い聞いてくれるのね。」
「いや。」
えーっ、さっきの言葉は何だったのよ−。
「えっ、でもさっき...」
「だから言ったじゃないか、なるべきだった
と。」
べき。...推量だったのね。
「今からでも遅くはないわ。綾之介、私のこ
とが嫌い?」
「嫌いじゃあないさ。」
「好きだよ。」
だったらなぜ、そんなことを言うの?私は
思う。
「なら、私のこと考えて。」
「私の幸せ考えて。」
矢継ぎ早に言う。
「私は、梶原鈴香は綾之介のことを愛してい
るわ、今でも。」
「...だから今だってこうして.....。」
「だったらなぜ、なぜあんな奴と一緒になる
なんて言いだしたんだよ。」
綾之介怒ってる。当然よね。私はそれだけ
のことをしたんだから。
「なら、貴方はどうしてここにいるの?」
.......沈黙。
「答えは出たようだね。」
おもむろに、綾之介が言う。
「わかった。明日君を盗んでやる。」
「ホント?本当なのね。」
「ああ。怪盗、剣綾之介、一世一代の獲物を
盗んでやる。」
獲物ね、私が。
「ていうと、綾之介がダスティン・ホフマン
で、私が...」
「なんて言ったっけ?あの女優。」
綾之介に聞いてみる。
「知らない。」
「ただ、ダスティン・ホフマンが主演で、サ
イモンアンドガゥファンクルが曲をやってい
たことだけは覚えている。」
「主演だけは覚えているのね。」
「彼は、有名だからね。」
「まあそうね。」
曖昧に返事を返す。まあ卒業に誰が出てい
たかなんて、この際関係はないわ。綾之介が
その気になったのだから。
「ねーえ、綾之介。」
私は、妙に甘ったるい声で綾之介に囁く。
「えっ。」
「しようっ、ねっ。」
言って、私は綾之介に思い切り腕を絡ませ
る。
その後は、.....
「怪盗、剣綾之介参上!!」
fin