2人を知る者にとっては、その関係は気になるところであろう。
 主と守護者?
 お友達?
 恋人?
 ・・・・それとも?

 そして実は、ここにもその関係を羨む者がいることに、気付く人間はいるはずもなかったのである。

七梨太助「背水の陣」

作:納牧 緑


 万難地天(バンナンチテン)紀柳(キリュウ)。その短天扇を開くことができた主人に試練を課し、肉体的・精神的に成長を促す大地の精霊である。例によって太助がその扇を開いてしまい、七梨家に居候が1人増えてしまったという訳だ。
 それ以来、ことある毎に「試練」という名の苦しくも楽しいイベントを繰り広げているのだったが。

 そのキリュウが最近、学校について来ない。
 それに真っ先に気付いたのは、太助でも、シャオでもない、ルーアンだった。
 フェンスを開け、学校へと向かう太助とシャオ。それを2階のベランダから見下ろすのは、気怠げなキリュウである。
 学校への「通学試練」を毎週月曜の朝と取り決めたために、月曜日を除く朝のキリュウは暇なのだ。
「あ、でも」
 太助は言った。
「忘れた頃に、俺の気が緩んだ頃に「突然の試練」ってのもいいかな」
 太助は笑った。
 今まで、キリュウはこんな顔で笑いかけてくれた主人に出会った事はなかった。たいがいは怒鳴り散らすか、恨みがましく睨まれるか、怯えて逃げ回るか、そんな主人ばかりだった。
 それが、太助は違う。
「逃げてばかりじゃ、試練にならないから」
 照れくさそうな顔で笑う。
「それを乗り越えてこその試練だよな」
 汗をかき、息を上げながらも笑う。
「試練による、建物と公共物の破壊は禁止!」
 怒りながらも、顔は笑っている。

「主殿・・・・」
 普段なら太助に近寄らず離れず、遠巻きに試練のチャンスを窺いながら同行するのだが、ここ最近はこうやって見送る事がほとんどであった。
 シャオと談笑しながら歩く太助を、姿が見えなくなるまで見送り、ため息をつくキリュウ。
「あ〜ら、キリュウ」
 ドッキ〜〜〜ン!!
 ひときわ大きな動悸の後、数秒の間をおいて激しい動悸が始まる。
 顔が真っ赤に染まっていくのがわかる。
 その内情を知られないよう、敢えて振り向かずにキリュウは「なんだ?」と応えた。
 ベランダ窓から半分、身を乗り出すようにルーアンは問う。
「たー様、知らない? さっきから見えないんだけど」
「主殿なら、先ほどシャオ殿と出られたが、何か?」
 自分の慌て様を気取られていない様子に、キリュウは少し安心して答える。
「ちっ、出遅れたわっ!」
 言い終わらないうちに階段を駆け下りるルーアン。玄関のドアを壊すような勢いで駆け出して行く。
 と、立ち止まり・・・・
「そういえばキリュウ、あなた最近、学校に来ないのね。どうしたのかしら?」
 そう言うと、ルーアンはベランダを見上げる。
 思わず目をそらすキリュウ。(しまった!)と思ったが、時すでに遅し。
 ルーアンは意味ありげな笑顔で、キリュウをねめる。
「まぁた、試練とやらでたー様を独り占めしようなんて、企んでるんでしょうけど」
 ビシッ! ルーアンの差し示す指が、嫉妬の熱意と共にキリュウを貫いた。
「今度たー様を独り占めするのは、類い希な美貌とあふれる色気のこのアタシだってこと、よーっく覚えておきなさいよっ!」
 そしてその場で高笑いを始める。
 キリュウはもはや「つきあってられない」状態で、ものも言わず、学校に向かう道を指差した。
「・・・・ほっほっ、おーっほっほっほ? え?」
 その方向が意図する事に気付いたルーアン。
 慌てて走り出す。
「いや〜ん、たー様、待ってぇ〜ん♪」
 そんなルーアンを見送って、いっそう大きなため息。
 呆れながらも、どこか羨ましく感じるキリュウ。
(どうしてあんなに臆面もなく、自分に正直に生きていけるんだろう?)
 それにひきかえ、自分は・・・・。
 キリュウはそこまでで考えるのをやめた。今までの歴代の主に対しても考えた事だ、いまさら思い悔やんでも仕方がない。
 今は七梨太助という、キリュウにとって心安らげる主に従事できているのだから。
「独り占め・・・・か」
「ほほぅ? キリュウも・・・・か?」
 いつの間にやら、那奈が隣にいる。
 突然の事で、その場に固まって動けないキリュウ。那奈はキリュウを見て、ニヤリと笑う。
「我が弟ながら、そんなにいいかねぇ? ま、主の事を大切に思わない精霊はいない、って事か」
「なっ、な、な、な・・・・」
 最上級の慌てようで、言葉にもならない。そんなキリュウを相手に、おしゃべりを続ける。
「でも、そんな事で試練に手を加えるようなあんたじゃないだろうし、主に好意を抱くくらい、いいんじゃない? 今なら脈もありそうだし、さ」
「な、な、那奈殿、それは、それは違う! 私は主殿に対してそんな・・・・」
 どんな否定の言葉も、今のキリュウにしてみれば『焼け石に水』のようなものだった。
「どっちしろ、今の太助には言わなきゃ通じやしない。ま、安心して見てられるかねぇ」
 そう言って、那奈はベランダを後にする。なんだかニコニコと上機嫌ではある。
 残されたのは真っ赤になっているキリュウだけだった。
「・・・・私は、私はただ・・・・」
 言葉にならない想いを紡ぐキリュウ。
 それに・・・・主殿には・・・・。
 また堂々巡りに陥るキリュウであった。

 その夜。
 楽しい食事を済ませ、皆は分かれた。
 シャオは台所で後片付けに、ルーアンと那奈姉は居間でTV番組に、太助は何事か考えながら自室に。キリュウは・・・・先に風呂をいただいた。

 ノックの後、カチャリと静かにキリュウが部屋に入ってくる。
 そのまま後ろ手でドアを閉めた。
 風呂上がりにスウェットの上下、慌てて乾かしたようなくしゃくしゃの髪。もっとも自分で切っているのであろうキリュウの短めの髪は、特に手入れをしている訳でもなさそうで普段から雑髪ではあるが。
 どことなく顔が火照っているようなのは、風呂上がりだからだろうか。
「どうした? 試練なら、もう少し後にしてくれるとありがたいんだけどな」
 そう言って、いつもの照れくさそうな笑顔をキリュウに少しだけ向けると、太助はそのまま机の用事に向かった。
 それに答える訳でもなく、キリュウは部屋の四隅に何やらを置くと、やや緊張気味に太助のベッドに座る。
 トクン、トクン、トクン、トクン・・・・。
 太助を待つ間、身体中を駆け巡る心臓の音に耐えていた。
 これは試練なのだ、と自問自答しながら。
「あ、あのね(汗)」
 不意に太助が振り返る。
 ビクンと反応するキリュウ。
「あ、主殿!」
「キリュウがいると・・・・集中できないんだけど」
「あ・・・・」
 その一瞬の悲しそうな顔を、見逃すような太助ではない。
 慌てて部屋を出ようとするキリュウを、太助は呼び止める。
「ま、いいや。急ぎでもないし」
 振り返り気丈なふりをするキリュウに、優しく笑いかける太助。
「今夜は、試練を受けるよ。準備も整っているみたいだし、な?」
 四隅の石らしきものを見る。
 その笑顔こそが、キリュウを心苦しくさせていることに気付いてはいない。
「・・・・主殿にとって辛い試練になるぞ」
 うつむいて、微かに聞こえるような声でそれだけ言う。
「辛かったり、苦しかったりしなけりゃ、試練にならないんじゃ?」
「ゔ・・・・」
 太助の突っ込みに、キリュウの額に大きな汗が流れる。
「覚悟はいいな、主殿!」
 ごまかすように大きな振りで短天扇をかまえるキリュウ。
『大乱万象』
 その声と共に、部屋の四隅に置かれた物が巨大化を始める。それは部屋の壁に沿って大きくなり、部屋を囲むように広がっていく。そして、部屋は石に囲まれ、逃げ出せなくなってしまった。
「こ、これは?」
「主殿、これが試練だ」
 ベッドに腰掛け、うつむいたまま訴える。
「私を絶頂させてみよ」
「・・・・は?(汗)」

「もうっ、何よコレ!」
 肩で息をしながら、ルーアンが愚痴たれる。
 食後のお茶を大福と共に楽しんでいたところを、2階からの騒音で邪魔されたのである。しかも騒音元が太助の部屋であり、その場にいなかったのが太助とキリュウとくれば、これは試練によるたー様の危機とばかりに駆け上がってきたのであった。
「あら、何事ですか?」
 こちらはシャオ。相も変わらずのんびりマイペースで、その場の状況を計りかねている。
 ルーアンは慌てて自室からハンマー君(笑)を従えて戻り、太助の部屋を塞ぐ石の壁に立ち向かうが、全く歯が立たない。
 後ろでは那奈がニヤリと笑っている。
「あの・・・・ルーアンさん?」
「キリュウよ! 試練とやらでたー様を閉じこめて、また苦しめているんだわ! ・・・・ハッ、それともこの中で2人っきりなのをいいことに、あ〜んなコトやこ〜んなコトをっ!」
「大丈夫ですよ」
 カリカリのルーアンに対して、シャオは落ち着いたものである。
「キリュウさんも太助様の為にやってるんですから、大丈夫ですよ」
 にっこり笑うシャオに対して、頭痛を覚えるルーアンであった。
「あぁ、たー様。キリュウなんかに惑わされていませんように。あんな小娘なんかより、オトナで、ダイナマイトバディで、経験豊富な、このルーアンがお待ち申し上げておりますものを・・・・」
 まさしく、閉ざされた室内ではその様子を窺わせていたのだが。

「あのな〜〜〜(汗)。ガンガン誌上連載作品のSSで、しかもオレはまだ中学生だぞ! そんな事・・・・」
「私では役不足か?」
 顔を上げたキリュウの目は潤み、頬を真っ赤に染め上げていた。
 ドキッ。
 必死なキリュウの姿は、太助の心にヒビを入れる。
「何度も言わせるな。これは試練だ、私をイかせてくれ」
 再びうつむき、いつもの醒めた言葉ではなく、熱い言葉を振り絞るキリュウ。
 太助は動けなかった。
 手を伸ばせば、すぐそこにキリュウがいるのだが、太助にはそれを止める事が出来なかった。
 キリュウは首元に手をやり、左右に引っ張る。
 スウェットの前掛けのボタン穴が悲鳴を上げ、その身ごろを開いた。
 白い胸肌が露わになる。
 ビクッ。
 うつむき恥じらうキリュウと、開かれた胸元は、太助の心のヒビを大きく開く。
 そのヒビから、得体の知れない感情がわきだして来るのを感じる太助。
 もう、その感情に逆らうことはできない。いや、逆らう気もなかった。
「いつかは主殿もシャオ殿を抱くのであろう。その練習だと思って・・・・」
 自然とキリュウに手が伸びる。
 その細い肩を抱き寄せ、抱き留めた。
「あ・・・・」
「そんな、そんな苦しいこと言うなよ」
「・・・・・・・・」
 何も答えず、抱かれるままに身体を預けるキリュウ。
「な、1つだけ教えてくれ。これは本当に試練なのか? 俺のためなのか? それとも・・・・」
 太助の背中に手を回し、しばらく考えるように間を取ってキリュウは答えた。
「主殿のため・・・・だ」

 太助は知っている、キリュウはいつも一生懸命だ。
 キリュウを抱く手に力がこもり、求められるままに唇を重ねる。
「・・・・うん、くふぅ・・・・、ん・・・・」
 太助にとって初めてのキス。長い時間ふれ合っていたそこから、キリュウが舌を差し入れてきた。
 おずおずとそれに応じて、からませ、吸い上げる。
 太助の背中に回されたキリュウの手が、太助の背中をまさぐる。
 キリュウの甘い声が、鼻から抜けるように漏れる。
「ん・・・・、んん・・・・」
 太助は知っている、キリュウは人付き合いが不器用だ。
 長い、長いくちづけが終わり、キリュウはベッドに横たわる。
 太助はそれに覆い被さるように、今度は太助から唇を求めた。
 そして攻めるように、キリュウの口の中を全て確かめるように味わう。
 溢れ、漏れる、太助の唾液は全てキリュウに吸い取られていく。
 太助の口の周りまで全て舐め取り、その滑らかな唇でニッコリと笑うキリュウ。
 太助は知っている、キリュウは口べただ。
 そっと手を伸ばし、太助の頬に手を添え、キリュウはその唇を重ねる。軽く、優しい、暖かいキス。
「サービスはここまでだ。ここから先は・・・・自分で試されよ。これは、試練なのだから・・・・」
 そして太助は知った、キリュウはウソをつくのが下手だ。
 ・・・・その想いも。
「・・・・でも俺、その、初めてだから、その・・・・」
「大丈夫、今宵の私は主殿のものだ。時間はまだたっぷりある」
 そう笑ったキリュウの笑顔は、今までになくまぶしかった。

 スウェットの上着を全て開く。小振りな乳房があらわれ、ピンク色の乳首が控えめに座っている。
「そんなに見ないでくれ」
 キリュウは恥ずかしげに手で覆う。
「シャオ殿やルーアン殿と比べられると、ちょっと・・・・」
 ひょっとして・・・・、太助は思い当たる。
 いつもキリュウが前で手を組んでいるのは、そういうコトなのか?
 太助はクスッと笑い、キリュウの手をよけてその胸にすりついた。キリュウの胸は柔らかく、暖かく、優しく太助を受け入れる。
 もどかしげに袖だけ通ったスウェットを脱がし、吸い付くような柔肌を抱き締める。キリュウも太助の頭を抱きかかえるように、優しく受け止めてくれる。もう何も隔たりはない。
 震える手で、小振りだが形のいい乳房に触れる。たどたどしげに優しく揉んでみる。
「ん・・・・っく」
 抑えるようなキリュウの声が聞こえた。
 キリュウの心臓がドクドクと激しく鳴っているのがわかる。太助の心臓もさっきからオーバーヒート直前まで波打っていた。頭に血が上り、クラクラしている。
 柔らかく形を変える乳房を確かめるように揉み、片方をそっと口に含む。
「・・・・んっ」
 ピクンと反応するキリュウ。
 反応を探るようにその乳を舐め、揉み、吸い立て、優しく噛む。
「あっ・・・・、んんっ、くうぅ・・・・」
 背中に回した手も、キリュウを悶えさせる事を知り、両面で責め立てる。
 背中を、腰を、首筋を・・・・。
「あああっ! あはぁ・・・・」
 いつしか、キリュウの反応を楽しめるようになった太助は、スウェットのパンツで足をからめ、腰を押し付けているキリュウに気が付いた。
 そうなると彼も男の子。興味の対象は別に移る。
 背中から腰を抜け、その手はスウェットの中へ。尻にぴったりフィットした下着の上から、両の尻をなで回す。
 その度にキリュウの手が、足が、きつく太助を締め上げた。
「あん、ああっ、・・・・うっ、あはぁぁぁ・・・・」
 胸を、背中を、尻を攻められ、いつもは寡黙なキリュウが大きく悩ましげな声を上げる。
 その声に太助のバロメータは急上昇。興味の対象は一点に絞られ、手はその部分を目指してまっすぐ進む。
 スウェットのパンツの腰ゴムをくぐり、その中に隠れた下着の中に割って入る。
 柔らかな陰毛を越えると、すでにそぼ濡れた谷間を捉えた。
 本当に女の娘のこの部分には何もないのだと、いささか奇妙な感動を覚えつつも、その指は谷間をなぞるように探る。と、不意にキリュウが。
「・・・・痛っ」
「え?」
「・・・・主殿、もっと、もっと優しく・・・・」
「ご、ごめん」
 慌てて手を放す太助のその手を取り、キリュウは口に含む。そしてしっかりと湿らせ、下腹部に導いた。
「これでいい」
 そうして再び太助に抱きつく。
 濡らされた指を再び下着の中に差し入れる。そして今度はゆっくりとその谷間をなぞり上げる。
「・・・・んっ」
 谷間の内側はネットリと粘つき、濡れた指と相まってなめらかに指を誘う。
 誘われるままに太助は、前端の芯を探り当てた。
「あああぁぁぁ・・・・」
 一層の力を込め、キリュウが手と足で太助を締め上げる。
 太助も負けじと、キリュウの芯を探るように上下にこすり上げる。
「ああ、あ、主・・・・殿・・・・だめ、そんな・・・・」
 言葉とはうらはらに、強く腰をすり付けてくるキリュウ。
「あっ、あ、ある・・・・主殿、もっと、もっと奥・・・・ああっ」
 奥? 太助が言われるままに指を奥に這わせると、そこに・・・・指を誘い込むような液体に溢れた泉があった。
 苦もなく、その泉は太助の指を誘い込み、さらに奥へと誘う。
 そこは柔らかく、暖かく、太助を包み込むように優しく締めつけた。
「あああっ、主殿、主・・・・殿・・・・」
 キリュウは何かに耐えるように身を固くすると、しばらくして太助に身を預けるように脱力する。

「主殿・・・・もっと、もっと・・・・」
 力無く、キリュウは太助の手を取り、スウェットのパンツを脱がすよう促した。
 何を「もっと」なのか計りかねた太助ではあったが、とりあえずキリュウを全部脱がすことに異論はなかった。異論あるどころか、興奮とともにはぎ取るように取り去る。
 キリュウの手は太助のシャツを探り、ボタンを外そうとしていた。
 その手を掴み、そのままベッドに組み敷く太助。自分の服を脱ぎながら、キリュウの唇を襲う。
「気持ちいい」
 自分も裸になり、キリュウに抱きついて唇を吸う太助。そう言って笑うと、キリュウも少しだけ嬉しそうにキスを返してきた。
 唇を重ねたまま、キリュウをなで回す。乳房を、腰を、背中を、尻を、太股を、内股を。その度にキリュウの甘い吐息が鼻に抜け、太助の興奮をあおる。
 改めて見るキリュウの裸体は、太助にはまぶしかった。
 今までに幾度もシャオのヌードを想像してはいたが、恥じらいながらも太助に全てをさらしているキリュウの仕草、小振りだが充分に魅力的な胸、色気を湛えた腰のライン、染めたわけではない茶色の控えめな下の毛、恥ずかしそうに閉じられた健康的な足、その全てが現実として目の前にある。その事実には勝てなかった。
 初めて見る女性の裸体。それを目の前にして興奮しない男がいるだろうか。
 少なくとも太助は、キリュウの全てが見たかった。そしてキリュウはそれを許してくれた。
 もう太助の欲望を遮るものは何もない。
 キリュウの両足を掴み、左右に開く。恥じらいながらもキリュウはされるがままに足を開く。太助はまっすぐにその中心へと向かう。キリュウは露骨に狙われている事を知り、恥ずかしさに横を向いた。
 もっとも、太助がそれに気付く事はなかったが。
 その中心は、すでに太助に奥深くまで探られ、いつでも受け入れられる準備が整っていた。しかし太助は興味と共に、キリュウの濡れそぼった肉ひだをそっと開く。
 太助の息がかかるほど間近に見られていると感じたキリュウは、恥ずかしさに足を閉じようとしたが、それは太助の頭に阻まれた。
 太助の開いたそこは、キリュウの湧き出す露に濡れててらてらと光っている。ピンク色の肉のひだが隠そうとするその奥まで、太助は開き覗き込んだ。頂点にはかわいい芽が顔をのぞかせ、小用をたすための口が控えめに鎮座している。露を溢れさせるような蜜壺が誘うように口を開き、そこで肉ひだは合わせ閉じ、後ろへと続いていた。
 ほうっ、と太助が見惚れているとキリュウは恥ずかしさもあいまって、立て続けに露を溢れさせる。太助はそれを漏らすまいと口をつけた。
 これが女性の香り、とも言うのだろうか。ツンと鼻を刺激する、甘く何かをかきたてるような、そんな香りが太助を夢中にさせる。
「うっ・・・・ああっ! ああっ、あっ、あっ・・・・」
 露をすすり、あとから湧き出す全てを逃すまいと、奥深くまで舌を差し入れ吸いたてる。
「あっ・・・・やっ、あっ、うっ、あはぁ・・・・」
 蜜壷を激しく責められ、肉芽を舐め上げられ、肉ひだ全体に口づけられ、キリュウは甘くせつなく、時に激しく声を漏らす。
 真っ白になってしまった頭の中で、キリュウはただひとつの事だけを欲していた。しかし、それだけは言ってはいけないと、かすかに残った理性が押し留める。だが、それがまたキリュウを快楽の絶頂へ押し上げようとする一因ともなっていた。
 太助がその指を蜜にからませ、蜜壷へ深く差し入れる。
 それに応じて、キリュウは太助の指を絞め上げた。激しい波紋がキリュウを内部から、腰から背中から、断続的に襲う。
「ああっ、ある・・・・主殿・・・・もう・・・・」
 キリュウは身体をよじらせ、太助から逃げようとする。しかし、太助は逃さない。
 キリュウの秘所を責めていた窮屈な場所から、キリュウの背中という広い場所へと移動して、抱きついた。
「あ、主ど・・・・ああっ!」
 首筋に口づけられ、胸をまさぐられたキリュウは、それ以上なにも言えなかった。ただ快楽に耐えるように、甘い声を上げるだけだった。
 太助も、キリュウとのふれあいをむさぼるかのように、執拗に背後からまさぐり続ける。首筋を、背中を、胸を、腰を、そして手を伸ばした所にある秘裂を・・・・。
 それは徐々にではあるが確実に、キリュウを追い詰め、理性の壁を突き崩していく。
「うっく・・・・はぁぁ・・・・ん・・・・」
 そして崩壊は実に早かった。
 蜜壷に差し入れられた太助の指が、肉芽の根元を捉え、こすり上げたのである。
 その刺激に、キリュウは一気に押し上げられ、上り詰めた。

「キリュウ?」
 ぐったりとして、太助の問い掛けにもまともに応えられず肩で息をするだけのキリュウは、太助の腕の中で背中に暖かさを、心に充足と不満を感じながら、最後の選択をせざるを得なかった。
 しばらくの休息のあと、優しく抱かれた腕の中で太助に向き直ったキリュウは、まだ息を上げながら甘えるようにねだった。
「主殿・・・・来て」
「本当にいいのかな。俺・・・・」
 キリュウをまっすぐ見つめながら、太助は最後の確認を求めた。
 そこで初めてキリュウは、太助が最後の一線をまだ迷い、踏みとどまっている事を知る。そして自身の快楽と使命に揺れ動いていたことを後悔した。
 早く来て欲しい。しかし主殿を思えば急かしてはいけない、自由にさせてあげたい。
「私を絶頂させることが試練だ。早く来て、イかせてくれ」
 後悔に涙が潤む。
「でもキリュウ、何度かイかなかったか?」
 太助はいたずらっぽく笑った。
「なっ、何をバカなことを!」
 キリュウは顔を真っ赤に染め、うつむいた。頭に流れる大きな汗は隠しきれない。
「・・・・キリュウがいいと思うなら、行くよ」
 軽く口づける太助。
 太助の首に手を回し、口づけ返すキリュウ。
「・・・・来て」
 太助は身体を放し、キリュウの足に手をかける。
 目を閉じ、従いながら、キリュウは太助を待った。
 足の間に太助が割って入り、キリュウの中心を目指す。
 いくばくかの迷いの後、キリュウは身体を突き抜ける心地よい感触を得た。受け入れる準備は万端で、奥底までの道のりは短くも滑らかに太助を包み込み、暖かく迎えられる。
 太助もその感触に感動を覚えた。
「あぁ・・・・」
「主殿・・・・」
 見ると、キリュウが瞳を潤ませ、太助を嬉しそうに見ていた。
 はにかみながらも、太助の腰をそのきれいな足で軽く絞めつけ、太助の埋め込んだ緊張感を柔らかく絞めつける。
「あっ、ああっ、キリュウ・・・・」
 その刺激に太助は一気に込み上げた。
 しかしキリュウは足を放さず、太助を抱き寄せる。
「主殿、そのまま・・・・」
 太助はそのままキリュウの中で跳ね上がり、熱いものをぶちまけた。太助の精を受けてさらに搾り上げるように、キリュウは太助を柔らかく絞めつける。
 どれくらいの時間が過ぎただろう、ぐったりと太助はキリュウの胸に抱かれていた。
「ごめん、キリュウ・・・・俺・・・・」
「主殿・・・・まだ・・・・」
 キリュウは優しく、まだキリュウの中に残った、少しばかり勢いの衰えた太助のそれを、絶妙の感触で揉むように断続的に絞めつける。たちまち復帰する太助。
 キリュウの中を押し広げるように、太助の緊張は最高調を取り戻す。
「ふふ・・・・主殿♪」
 キリュウの笑顔に、太助は張り切って前後運動を始めた。
「はっはっあっ・・・・うっ、うん・・・・あっあっあっ・・・・」
 走り始めたら止まらない、まるで機関車のように激しくキリュウを責めたてる太助。キリュウもそれに応えるように、恥ずかしさをうち捨てたように、激しくあられもない声を上げている。
「うっ・・・・くふぅ・・・・あぁん、あん、あっ、あっ・・・・」
 キリュウの中を押し広げ、差し戻し、奥を手前を、右を左を、こすり上げる。
 太助を必死で抱き締めるキリュウ。そんなキリュウに太助は、激しく熱い愛しさを感じ、抱き締め返し、唇をむさぼった。
 寝転んだままの相手を心地よく抱き締めるのは難しい。
 太助が戸惑っていると、キリュウはそっと身を放し、太助を座らせて自分も向かい合うようにそのひざに乗る。
 そして抱き合い、唇を求めた。
 柔らかな肢体が太助の腕の中で吸い付くようにくねる。舌がふれ合い、お互いの口内を確かめるようにまさぐる。キリュウは太助に手を添え、そっと自分の中に導いた。
「ん・・・・んっ・・・・」
 再び太助は柔らかな肉壁に包まれ、締め上げられる。
「・・・・んはぁ」
 キリュウの腰を引き寄せ、その奥の奥まで探るように差し入れる太助。
 不慣れな腰使いで前後にキリュウをかき回す太助。太助の刺激に身体をそらせ、その頭を抱き締めて自らの胸に押し付けて恥ずかしい声を上げるキリュウ。
「あぁん、あん、あっ、あっ、はっ・・・・ああっ!」
 位置を変え、ベッドに這いつくばらせたキリュウを後ろから貫く。
 そのままキリュウを抱き上げ、キリュウを後ろから貫いたまま、胸を、秘裂をまさぐり、刺激する。
「ああっ、ある・・・・あああああっ!」
 太助の指が肉芽を捉え、転がすように弄ぶ。
「・・・・だっ、ダメ・・・・壊れる、壊れて・・・・あぁ!」
 後ろから深々と貫かれた上、キリュウの隅々まで弄んだ指が前から秘裂を探り、太助の緊張に割り込んでキリュウの中をこね回す。
 キリュウは再びベッドにひれ伏し、シーツを握りしめて新たな刺激の波に呑まれていた。
「イヤ、やめて・・・・ある・・・・主ど・・・・ダメ、そんな所・・・・」
 そんな言葉も太助のイタズラ心をかき立てるばかりで、キリュウの哀願は次第に怒濤の快楽に消え失せていく。
 横向きに寝かせたキリュウの片足を抱えるように持ち上げ、その中に埋め込むように進む太助。キリュウは既に声も出せず、ただ息を荒げたまま太助の腕に抱きつくしかなかった。
 様々な向きから様々な快楽を受け、キリュウはとうとう上り詰めるところまで上り詰めるしかなくなっていく。
 そして、ついに快感の大波がキリュウを押し流していった・・・・
「ああっ! あぁーーー・・・・・・・・!」
    ・
    ・
    ・

 太助の腕の中でキリュウは目覚めた。
 いつの間にか眠ってしまっていたのである。
 ついと見れば、太助が優しく見ていた。キリュウも恥ずかしげに笑顔を返す。
「試練は、終わりかな?」
「・・・・」
 キリュウは言葉を返さず、曖昧に笑うだけでおもむろに起き上がった。
「・・・・服」
 毛布を胸にまとわせ、太助に問う。
「主殿も何か着たほうがいいと思うが」
 下着を、スウェットを着ながら、キリュウは言った。
 キリュウがベッドをならし、短天扇を持つ間に、太助はその意を解して慌てたように服を着る。
 つい、とキリュウが太助の頬に触れ、そしてそっと唇を重ねる。
「主殿・・・・試練は終わりだ。・・・・その・・・・お疲れさま、っていうのも何かヘンだな」
 テレテレと、真っ赤になってうつむくキリュウ。
 やにわに、部屋を覆っていた石壁が轟音と共に小石に戻っていく。その様子に太助が驚いている間に、キリュウは巨大化した短天扇に乗り、窓から外に飛び出す。
 太助は窓を抜け、ベランダの手すりに飛び付いた。
「キリュウ!」
 宙を舞うキリュウが振り返る。
「あ・・・・ありがとう!」
 何か言いたいのに、ありきたりな感謝しか示せない太助の言葉だったが、キリュウは嬉しそうに微笑み、屋根の上に消えていった。
 はぁ・・・・、今さらながらキリュウをその手に抱いた事に感動を覚える太助は、後悔でもなく、未練でもなく、その名残を反すうするかのようにため息をもらす。
 しばらく、そうして肌寒い夜空を見上げていたが、何かの気配に部屋を振り返った。

「・・・・シャオ」
 浴衣姿のシャオが、部屋に入ってドアの鍵をかけていた。
「?」
「試練は、終わったのですね?」
 シャオの問いに少しばかり迷って、太助は「あぁ」と答える。
 するとシャオは嬉しそうに笑い、太助が部屋に戻るのを確認して、窓を閉めカーテンを閉じる。
 すれ違いざまに風呂上がりのいい香りがした。シャオの顔が火照っているのはそういう事だと太助は思ったが、それは大きな間違いである。
 シャオは太助に振り返り、潤んだ瞳で訴えた。
「あの・・・・私にも・・・・キリュウさんと同じ試練、して下さい」
「・・・・え?」
 その場に固まる太助。
「ちょっと待て! 同じ試練って・・・・なんでシャオがそんな事・・・・!」
 シャオはベッドに座り、チラッと机の上を見る。
 太助もつられて机を見ると、机の上には着乱れた璃珠が息も荒く、倒れていた。
 璃珠、何をしていたんだか。いや、そうじゃなくて。
「はうあぁぁぁ!」
 太助は気付いた。そうなのだ、机にいた璃珠を通じてシャオには何もかも知られていたのである。
「太助様、キリュウさんにはよくて、私にはダメなんですか?」
 涙を流しながら、シャオは胸元を左右に開いた。白い胸があらわになる。
「私にも・・・・キリュウさんのように・・・・その、気持ちよくして下さい」
 太助はもう、逃げられない。

「キリュウやシャオにはよくて、あたしにはダメのね? ・・・・か。いいわね、それ使わせてもらおっと」
 太助の部屋の様子が映っていたコンパクトを閉じ、ルーアンはニヤリと笑った。
「あたしがいちばん最後っていうのはちょっと何だけど、発育不良娘や天然ボケボケ娘の後ですもんね。最後に美味しいものがくれば、その味わいもわかろうってもんよ」
 ルーアンはぎっしりと詰まった衣装ケースの中から、色っぽいナイトドレスを選び出す。
「んふふ、たー様♪ 待ってて下さいね♪」
 ナイトドレスを身ごろに当てた子悪魔の微笑みが、衣装ケースの姿見に映えていた。

 太助の苦難(?)はまだまだ続く。
 七梨太助「背水の陣」でした♪

七梨太助「背水の陣」 終わり

あとがき

 やっと終わったぞ(汗)。
 あぁ、気軽に書き始めたはいいが、なんでこんなに苦労したんだろう(泣)。
 それもひとえに、キリュウのイメージが少し違うからに違いない。

 ホント、ネタ自体は大したこともないのにね、H描写が難儀だし、だだっ長いし、オチは3段オチのくせにインパクト弱いし、そもそも『ここまで必要だろうか』と思えるくらいの説明文。
 ま、そこは読み手にイメージしてもらうとして、いや、イメージしてもらってナンボのHネタだけどな(汗)。ちょい生々し過ぎるか? ・・・・そうでもないか(汗)。これぐらいなら、全然OKですよね♪

 さてさて、これがウチの「D研」初参加となる訳ですが、いかがだったでしょうか?>先輩方
 まだまだ修行が足りませんか?(苦笑)
 もっと、精進せねば(汗)。

 ナデシコ以外のSSを投稿するのは初めてだったりするのですが。
 初めてって、辛いものね(爆)。
 そうじゃなくて、まだ終わってない作品のSS書くって、気を遣います。
 なんせ、原作至上主義なんで、原作から外れるモノは書きたくないし。
 ・・・・もう外れてますね(涙)。
 外道と呼んで下さい。ゔゔゔ(泣)。
「本作は『まもって!守護月天』の影。文章にして原作の道を外れたる外道。全ては新たなるSSのため!」

 あぁ、冗談になってない(苦笑)。


  BY.次はリクエスト通りの「太助とシャオのラブラブ♪」が書きたい、納牧 緑

1999/10

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