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島原の乱



1998年夏に公開した久音のシナノオ『島原の乱』の予告編&総集編なのデス。
緒事情により本編が掲載できなくて、ゴメンなさいなのデス。

【零.索引】

壱.島原の乱〜予告編
弐.島原の乱〜総集編
参.島原の乱〜本編(シナリオ)

【壱.島原の乱〜予告編

  寛永14年10月25日、圧政とキリシタン弾圧に耐え切れなくなった島原の農民が一斉蜂起、領主松倉勝家の居城島原城を襲撃、それに呼応するように天草でも蜂起、寺沢氏の富岡城を襲撃。対する幕府は、板倉重昌を司令官に任命し九州諸藩の兵4万5千を派遣。幕府軍襲来を知った一揆軍は、廃墟と化していた原城に立てこもり、これに対抗、甘く見ていた幕府軍を撃退、板倉重昌をも討ち取る。幕府はさらに老中『知恵伊豆』松平信綱を派遣。松平信綱は一揆軍に解散を求めるものの一揆軍これを受け入れず、翌寛永15身年2月27日に始まる幕府軍12万5千の総攻撃の前に、一揆軍3万7千は皆殺しで鎮圧された。
 これが、世に言う≪島原の乱≫である。

          * * * * *

壱.幕府の命令で、キリスト教布教のためにはるばる異郷の地を訪れていた宣教師たちは日本の外へと追放された。
   一人の宣教師が、去り際に一つの≪予言書≫を残していった。
   『今から25年の後、東西の雲が焼け、海が荒れ狂い、国中が動鳴する時、
    聖なる地≪アマクサ≫に、聖なる御子降臨し給うであろう。
    御子は、十字架を掲げ、人々を永遠の楽園に導くであろう。

    ≪セイハイ≫の奇跡は、必ずや御子と共に訪れん―――――』

弐.原城は、三方を断崖絶壁の海に囲まれた自然の要塞、打ち捨てられたる城であった。
   その原城から、海を望む青年。海上に朧に霞んで島―談合島―が見える。
   青年の名は、益田四郎――天草四郎時貞その人であった。
   「奇跡は、≪セイハイ≫の奇跡は、本当に起こるのだろうか」
   その顔に、憂いが満ちる。

参.江戸城の奥にて、天海は、闇を見つめていた。
   その瞳は、今を映さず、過ぎ去りし時を映す。
   赤く燃え盛る炎。すべてを燃やし尽くす炎。炎の中で死にゆく多くの人々。
   「≪あの男≫を蘇らすわけにはいかないのだよ」
   復活の兆しを見せ始めた天台宗比叡山は、静かに、勢力を拡大すべく、胎動を始めていた。
   「それに、≪セイハイ≫だ。あれだけは、なんとしても手に入れねばな」
   天海は、我知らず、にやりと笑みを浮かべていた。

四.目の前に、二刀流の漢が立っていた。
   凄まじいほどの剣気に圧倒される。
   「あ、貴方は!?」
   だが、漢の瞳は何も映してはいない。
   そこにあるのは、吸い込まれそうな虚無しかなかった。

伍.遥か遠くにあるはずの幕府軍の陣内がよく見えた。
   磔になっている女性の姿が、はっきりと見えた。
   「は、母上」
   天草四郎は、動揺を隠し切れなかった。

六.絶壁の上にある原城からは、生活の匂いを感じさせる煙が上がっていた。
   数多くの村から村ぐるみでやってきて、城の中に立てこもり、もはや後戻りできぬ異常なる生活を続けていた。
   風の具合によっては、子供たちの遊び戯れる笑い声が聞こえてくる。
   『知恵伊豆』松平信綱は、城の中で生活している人々を思っていた。
   「なぜ、投降しない。投降しなければ、どうなるのか、わかっていないのか」
   幕府軍内の軍議は、総攻撃、老若男女皆殺しに傾き始めていた。

七.「お、お前は!? し、しかし、お前は、死んだはずでは」
   男は、狂ったように笑った。
   「私があの程度で死ぬとお思いですか。私は死にません。死ぬわけにはいかないのですよ」
   禍禍しき気が暴風となって荒れ狂う。
   その手には、≪セイハイ≫が、あった。

八.絶壁に大きく亀裂が走っていく。原城の下から、巨大な姿が現われ出でようとしていた。
   「な、なぜあんなものがここにあるのだ!?」
   すべての現実を薙ぎ倒し、戦乱の行方は大きく変わろうとしていた。

   「ば、幕府はあんなものまで、この戦に投入するというのか。一体どういうつもりなのだ」
   「大きな戦乱はこれ以後起きそうもありませんからね。ちょうどいいテストですよ。幕府の力を九州の外様に見せつけるね」

   「奴を止めろ! なんとしても食い止めるのだ!!」
   「こ、これが末鑑に記されていた≪セイハイ≫の力なのか!?」
   暗雲を切り裂き、一条の神々しい光が、地上に降り注いだ――――――

   予言書≪末鑑≫… …天草四郎時貞… …≪聖杯≫という言霊… … … …
   全ての答えは天草にある。
   きみは今、時の涙を見る――――――

【弐.島原の乱〜総集編

  寛永14年10月25日、圧政とキリシタン弾圧に耐え切れなくなった島原の農民が一斉蜂起、領主松倉勝家の居城島原城を襲撃、それに呼応するように天草でも蜂起、寺沢氏の富岡城を襲撃。対する幕府は、板倉重昌を司令官に任命し九州諸藩の兵4万5千を派遣。幕府軍襲来を知った一揆軍は、廃墟と化していた原城に立てこもり、これに対抗、甘く見ていた幕府軍を撃退、板倉重昌をも討ち取る。幕府はさらに老中『知恵伊豆』松平信綱を派遣。松平信綱は一揆軍に解散を求めるものの一揆軍これを受け入れず、翌寛永15身年2月27日に始まる幕府軍12万5千の総攻撃の前に、一揆軍3万7千は皆殺しで鎮圧された。
 これが、世に言う≪島原の乱≫である。

          * * * * *

壱.幕府の命令で、キリスト教布教のためにはるばる異郷の地を訪れていた宣教師たちは日本の外へと追放された。
   一人の宣教師が、去り際に一つの≪予言書≫を残していった。
   『今から25年の後、東西の雲が焼け、海が荒れ狂い、国中が動鳴する時、
    聖なる地≪アマクサ≫に、聖なる御子降臨し給うであろう。
    御子は、十字架を掲げ、人々を永遠の楽園に導くであろう。

    ≪セイハイ≫の奇跡は、必ずや御子と共に訪れん―――――』

   しかし、予言書≪末鑑≫には隠された一文があった。
   『もし御子がデウスとしての道を断たれし時、御子は≪サタン≫として復活するであろう。
    ≪サタン≫復活せし時、天は怒り、血の涙を流し、月を深紅に染上げ、全てを無に帰すであろう』

弐.原城は、三方を断崖絶壁の海に囲まれた自然の要塞、打ち捨てられたる城であった。
   その原城から、海を望む青年。海上に朧に霞んで島―談合島―が見える。
   青年の名は、益田四郎――天草四郎時貞その人であった。
   「奇跡は、≪セイハイ≫の奇跡は、本当に起こるのだろうか」
   その顔に、憂いが満ちる。

参.一揆軍指導者の一人、森宗意軒は確かめるように訊いた。
   「伴天連殿、約束は守っていただけるのでありましょうな」
   伴天連は、ワイングラスを揺らしながら、
   「もちろんでありんすよ」
   にやりと笑った。
   家臣たちが闇の中に消えたあと、一人残りし伴天連のその顔に、酷薄な笑みが刻まれた。
   伴天連の背後の闇が踊る。そこには、二人の≪天使≫が立っていた。
   「それでは、≪セイハイ≫の儀式を始めるでありんすか」
   闇の中に、伴天連の笑い声がこだましていた。

四.江戸城の奥にて、天海は、闇を見つめていた。
   その瞳は、今を映さず、過ぎ去りし時を映す。
   赤く燃え盛る炎。すべてを燃やし尽くす炎。炎の中で死にゆく多くの人々。
   「≪あの男≫を蘇らすわけにはいかないのだよ」
   復活の兆しを見せ始めた天台宗比叡山は、静かに、勢力を拡大すべく、胎動を始めていた。
   「それに、≪セイハイ≫だ。あれだけは、なんとしても手に入れねばな」
   天海は、我知らず、にやりと笑みを浮かべていた

伍.「天台宗と伴天連の争いに参加しない話はないであろう」
   陰陽師は、言った。
   「なんとしてもここで恩を売り、朝廷に対するお金の支給をアップし、堂上人の生活に潤いをもたらさなければならないのだぁ。それは、つまり陰陽寮の予算アップ、私の給料アップにつながるのだぁ」
   「え、≪セイハイ≫を求めてるんじゃないんすか?」
   「あーあー、そーいやそんなのもありましたね」

六.島原藩藩主松倉勝家は、頭を抱え、もだえ苦しんでいた。
   「私が悪いわけでない」
   「ほほう、悪くはないんですか」
   「私は幕府の命に従っただけだ」
   「幕府が怖かったからでしょう。だから、媚びるように、言われるがままだったのでしょう」
   「父が手に入れた折角の地位を失うわけにはいかなかったのだ」
   「己の私利私欲のために、多くのキリシタンを雲仙の火口に投げ込み、農民が到底払えないほどの年貢を納めさせ、 自分はのうのうとその農民たちに作らせた城の中で暮らしていたというわけですか」
   「私が悪いわけではない」
   「ですが、このような事態になった今、どうなってしまうかは、おわかりでしょう?」
   「私が悪いわけではない!!」
   「私の言う通りにしなさい。さすれば、貴方は救われます」

七.徳川忍軍を統べる服部半蔵が、闇の中から染み出すようにその姿を現わした。
   「難攻不落の城と化した原城を内側から落として見せましょう。なにしろ奴らは、烏合の衆。≪無理なりキリシタン≫などと呼ばれているキリシタンではない者も多くおります。そやつらをそそのかせば、内部崩壊も容易いものと存じます」
   現われた時と同じように、その姿は闇の中に溶けるように、消えていった。

八.柳生新陰流柳生十兵衛三厳は、崖の上から静かに成り行きを見守っていた。
   「これが、予言書……≪末鑑≫に記されていたことなのか。ならばこの先何が起こるというのだ」
   「むろん、楽しきことですよ」
   「うぬっ、お、おぬしはー!!」

九.目の前に、二刀流の漢が立っていた。
   凄まじいほどの剣気に圧倒される。
   「あ、貴方は!?」
   だが、漢の瞳は何も映してはいない。
   そこにあるのは、吸い込まれそうな虚無しかなかった。

壱拾.遥か遠くにあるはずの幕府軍の陣内がよく見えた。
    磔になっている女性の姿が、はっきりと見えた。
     「は、母上」
    天草四郎は、動揺を隠し切れなかった。

拾壱.絶壁の上にある原城からは、生活の匂いを感じさせる煙が上がっていた。
    数多くの村から村ぐるみでやってきて、城の中に立てこもり、もはや後戻りできぬ異常なる生活を続けていた。
    風の具合によっては、子供たちの遊び戯れる笑い声が聞こえてくる。
     『知恵伊豆』松平信綱は、城の中で生活している人々を思っていた。
     「なぜ、投降しない。投降しなければ、どうなるのか、わかっていないのか」
    幕府軍内の軍議は、総攻撃、老若男女皆殺しに傾き始めていた。

拾弐.「ば、幕府はあんなものまで、この戦に投入するというのか。一体どういうつもりなのだ」
    「大きな戦乱はこれ以後起きそうもありませんからね。ちょうどいいテストですよ。幕府の力を九州の外様に見せ つけるね」

拾参.絶壁に大きく亀裂が走っていく。原城の下から、巨大な姿が現われ出でようとしていた。
    「な、なぜあんなものがここにあるのだ!?」
    すべての現実を薙ぎ倒し、戦乱の行方は大きく変わろうとしていた。

拾四.「お、お前は!? し、しかし、お前は、死んだはずでは」
    男は、狂ったように笑った。
     「私があの程度で、死ぬとお思いですか。私は死にません。死ぬわけにはいかないのですよ」
    禍禍しき気が暴風となって荒れ狂う。
    狂った歯車が今、再び回り始めようとしていた。

拾伍.血で深紅に染まりし大地に、悲しみの雨が降り注ぐ。
    血は雨によりて洗われ、流れ、集まりて、血河とならん。
    血河は大海に注ぎ、碧海を血海と為さん。
    雨止み、雲流れ、下弦の月姿現わし、その身を血海に投じん。
    血海中にあるは、蘭丸が望みし血色の月。
    血海中に投影さるるは、燃え盛る寺。
    木瓜紋旗がはためき、寺内に一人の男が見ゆる。
    「蘭丸、≪セイハイ≫はまだか!!」
    「今しばし、ご辛抱を…」
    漆黒の闇より影、歩み出でる。
    「信長、貴公を蘇らせるわけにはいかないのだよ」
    血海中の男の顔が一変す。
    「また邪魔立てするというのか、光秀!!」

拾六. 2月28日正午、松平信綱の前に天草四郎時貞のものだと称する首が数多く並んでいた。
    「神の子、天草四郎が人に首を取られるはずがない。すでにパライゾ天国に昇ったか、南蛮かルソン呂宗に落ち延びたであろう」
    四郎の母は累々たる首を前に無表情に言い放ち、突きつけられる首を片っ端から投げ捨てていった。

拾七. 後日、あるポルトガル人がマカオの耶蘇会の神父Antonio.F.Cardim氏に送った報告書の中に、
     『ルソン呂宗にある日本町にて、≪デウス≫と名乗る少年が数々の奇蹟を行い、人々を救済している。』
      との一文を残している。

Written by HETO.
Produced by Kuonn.
Special thanks for HETO,YAMAKI,and you.

          * * * * *

[予言書≪末鑑≫原文]
『今より26年目にあたりて必ず善人一人生まれ出ずべし。
 その幼き子、習わずに諸字をきわめ、天にしるし現るべし。
 木に饅頭なり、野山に白旗を立て、諸人の頭にクルス(十字架)をたて申すべく候。
 東西に雲の焼き、必ずあるべし。
 諸人の住所皆焼け果つべし、野も山も草も木も皆、焼け申すべし。』

          * * * * *

[参考資料]
堂々日本史4(KTC中央出版),江戸時代新聞(別冊歴史人物読本78号,新人物往来社),クロニック世界全史(講談社) 天草キリシタン史(葦書房有限会社),天草時貞(株式会社広川弘文館),魔界転生

【参.島原の乱〜本編(シナリオ)】

本編が掲載できなくて、本当にゴメンなのデス。

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