たからもの


ティムカ&リュミエール


うららかな聖地の午後。今日も庭園では、リュミエールとオリヴィエがお茶会をひらき
午後のひとときを楽しんでいた。
「このお茶おいしー☆ほーんとっ、リュミエールがいれるお茶って、おいしーよ。
私とどう違うのかねぇ、いれ方がそんなにちがうよーには、見えないんだけどねえ〜?」
きれいに手入れされた爪先で、カップのふちを、オリヴィエはなぞった。
「もう一杯いかがですか?オリヴィエ?」リュミエールは、穏やかに微笑みかける。
その優しい微笑みに、、、いつも見慣れているとはいえ、オリヴィエは、自分にはない
美しさにハッとして、胸がときめいてしまう。

「ありがとう。じゃあ、もう一杯もらうわ。」

この瞬間が永遠に続けばいいのに、、、。今のこの時間は、私が彼を独り占めできる
唯一の時間、、、。執務に戻ればまた、彼の心はあいつのことでいっぱいになってしまうだろう。
「うらやましいな。」
「えっ?何か言いましたか?」リュミエールは、お茶を注ぐ手を止め目の前に居るオリヴィエに
問いかけた。>
「ううん、なぁんでもないの。」と、オリヴィエは、寂しく
笑って答えた。リュミエールが、おかわりをいれてくれたハーブティのカップにレモンを絞ると、レモンの香りが広がり
紅茶の表面が薔薇色に染まってゆく。 「ほーんと、きれいな色☆んねっ、リュミエール!」 「ええ、ほんとうに、、、。」 ふたりは、カップを見つめた。 「リュミエール様、オリヴィエ様。こんにちわ!わあ、きれいなお茶ですね? これも、ハーブティなんですか?」丁度、通りかかったティムカが覗きこんできた。 「えっ?ええ。そうですよ。ティムカも、飲んでいきませんか?」リュミエールがそう言うのは、 オリヴィエには分かっていたので、小さく「フウ。」とため息をつき、両肩を少しあげて 「おいし〜わよ。飲んでいく?」と、ティムカに言った。 少々、ふたりの間を邪魔されて不機嫌な声で、、、。 「じゃあ、いただきます!」ティムカは、さっさと、椅子に腰かけた。 「お邪魔してごめんなさい。オリヴィエ様。」 少年は申し訳なさそうに、オリヴィエに言う。一瞬、自分の心を見透かされたようで、 戸惑ったが、すぐにリュミエールが、 「いいのですよ。そんなに遠慮しなくても、、、私のお茶を楽しんでもらえれば、、、おや? あれは、ヴィクトールではありませんか?ほら、こちらへやって来るようですねえ、、、 ヴィクトール!」研究院から出て、学芸館へと向かおうとしていたところに、リュミエールから 呼び止められた。 彼が軽く会釈をすると、リュミエールは続けて、「よかったら、お茶でも飲みませんか?」と 言うと、ヴィクトールは、頷き、彼らの方へと近づいて来た。 「おやおや、今日のお茶会は、賑やかになりそうだねえ。んっ?何がおかしいのさ、ティムカ?」 オリヴィェが怪訝そうに、聞いた。ティムカは無邪気に笑いながら、 「くすっ。いえ、ただ、、、ヴィクトール様って、紅茶は、あまりお好きじゃなかったこと思い出 して、、、。」 「ええっ!?そうなのですか?、、、申し訳ないことをしましたねえ。彼は、きっと嫌いなのに、 私に気を使って?!」 リュミエールが落ち込んでいると、ヴィクトールが彼らの所に、歩きついた。 草の茂みで分からなかったが、そこには、リュミエールとオリヴィエ、そして、、、ティムカが居た。 「こんにちわ!ヴィクトールさま。」少年は、にっこりと彼に微笑んだ。ヴィクトールは、 そんな彼のことを無視して、リュミエールに話しかける。 「こんにちわ、リュミエール様。御招きありがとうございます。、、、どうかなさったのですか?」 「いえね、ティムカが、リュミエールがあんたに声をかけた後に、あんたがお茶は嫌いだ、 ていうもんだからさ。気にしてんのよ。」 オリヴィエが、澄ました顔をしているティムカを睨みつけながら言った。ヴィクトールは、 少年が、何を言いたかったのかすぐに分かり、カッとなった。 以前、変な薬を混ぜたお茶を、ティムカに飲まされたのだ。 そして、、、。 「一体、どうしてそんなことを言うんだ?リュミエール様、私は嫌いではありませんよ。本当に!」
「、、、そうですか?では、どうぞおかけ下さい。」少々、気まずい雰囲気で4人のお茶会が、 始まった、、、。 ティムカの視線が、始終ヴィクトールに注がれていることに、リュミエールも、オリヴィエも すぐに気がついた。彼が笑うとティムカは、うっとりとした表情で、嬉しそうにヴィクトール を見つめるのだ。しかし、そんな少年のことをヴィクトールは気に止めていないようだった。 ふと、ヴィクトールは、リュミエールが、いつもと違うイヤリングをしていることに、気がついた。 そっと、節くれだった人指し指で、リュミエール の耳を触る。「な、なんですか?ヴィクトールさん?!」 彼の突然の行為に、オリヴィエ、ティムカ、リュミエール達は驚いた。 「あ、失礼しました。その、、、リュミエール様がつけていらっしゃるイヤリングの色が、 珍しいなあと、、、すいません。驚かせてしまって。」ヴィクトールは、すっかり 恐縮して弁解した。 「ふふ、きれいでしょう?これは、ある方が私にプレゼントして下さった物で、とても 気に入ってるんですよ。」リュミエールは、少しイヤリングを揺らしてみせた。 銀の細工で飾らている、紫水晶のイヤリングは日に当たって光った。 「なんだか驚いちゃったわ〜☆ヴィクトールがそんな物に興味があるなんて、、、。 今度、私がメイクしてあげよっか?」 オリヴィエがウインクしてみせると、ヴィクトールは、慌てて 「いえ、結構です。」と言った。3人の大人たちの笑い声の中 、少年は、唇を噛みしめ欝向いていた、、、。 その夜、リュミエールが私邸へ戻ると、召使いたちが、何者かが屋敷に忍び込んだかも しれないと、ざわめいていた。しかし、何も盗まれたものはなく、いつもきちんと閉めてある 裏門の鍵があいていたらしかった、、、。主人は、別段、何もないようだったら、 気にしなくていい、と、みんなを帰らせた。だが、、、彼が、寝室へ入ると人の気配を感じた。 部屋を見渡すと、大きな窓が開け放たれ、 そこから吹きこんでくる夜風にカーテンが、揺れていた。 彼は、窓辺に近づき外を見たが、暗い闇の中に黄色い月がぽっかりと浮かんでいるだけ。 それを眺めながら、イヤリングを外し、宝石箱へ入れようとした瞬間、何かが彼の手を かすめ、イヤリングを奪い取った!リュミエールは、枕元にあるスタンドの明かりを灯す。 薄暗い明かりが部屋を照らす。よく見ると、、、ドアの前に、、、ティムカが居た。 「テ、ティムカ?なぜあなたが、こんなことを?!」 彼は信じられないという風に、首を振る。少年は、胸に、イヤリングをぎゅっと抱き締め、 震える目で、リュミエールを見る。 「お、お願いです!リュミエール様っ!これを僕にくださいっ!あの人が気に入ったものを、 僕がつけたら、あの人は振り向いてくれるかもしれない、、、。」ティムカの 声は震えている。 「昼間お話したように、それは私の宝物。あげることはできません!返しなさい、、、。」 いつになく、強い口調でリュミエールはそう言うと、ティムカの方に、手を 差し出した。 「じゃあ、ちょっとだけ貸してもらえませんか?ほんの2、3日、いえ、一日でも、、、。」 リュミエールは、悲しい顔をして、かぶりを振った。 すると、少年の瞳に怒りの炎がつき、イヤリングを持った手を振りあげ おもいっきり床へイヤリングを叩きつけた。 「いやああああああああっ!」とリュミエールは叫び、 半狂乱になって、ティムカが落とし割ったイヤリングのかけら に駆け寄った。 リュミエールは、四つん這いになって、指先を血で赤く染めながら、イヤリングの破片を かき集める。美しい水色の髪をふり乱しながら、、、、。 その様子に、すっかり度肝をぬかれたティムカは、呆然と立ち尽くしていた。 「どうしたのっ!?今の悲鳴はなにっ!?」オリヴィエが、 部屋に入って来ると同時に、ティムカは、外へ逃げ出した。 「、、、リュミエール?どうしたのっ?なんで、ティムカが今頃、ここに居る、、、ちょっと! リュミエールっ!?」 彼の所へ駆け寄ると、リュミエールは、涙で顔をくしゃ
くしゃにして、虚ろな瞳でオリヴィエを、見上げた。
「クラヴィス様から、、、もらった、、、ああっ!」
「しっかりしてっ!?リュミエールっ!リュミエールーっ!
」そのままぐったりと、オリヴィエの腕の中で、リュミエール
は、失神した、、、。

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