不思議な釣り糸



 
今日も聖地は、暑くもなく寒くも無い丁度よい
いいお天気!地の守護聖ことルヴァ様は、肩に
釣りざおかけて、片手に銀色のバケツを持って
いそいそとなにやら鼻歌をお唄いになりながら、
釣りが禁止されている森の湖へとおでかけです。
「昨日は〜 なにも釣れなくて〜 がっかりしましたが〜
今日は〜 なんだか〜 釣れそうな〜 気がします〜。」
そう思いながら、ルヴァ様は小さく「うふふ。」と微笑うとツーステップ
で、湖へと向かいました。

そよ風がルヴァ様の頬を優しく撫でてゆくと、ルヴァ様は少し
目を細めてきらめく湖面を見つめます。
「ああ〜 あそこがよさそうですねえ〜。」
ビシッ!と湖の東南方向を人差し指で差すとそちらへ
またツーステップで移動されました。
「ふう〜 この辺でしょうかねえ?」
ルヴァ様はバケツに湖の水をすくって入れると、
いつものように釣り糸を湖に投げ入れ、無我の境地に
はいりました。(外からは、「居眠りしてる」ように見えますが。)
湖面をスーイスーイとトンボが泳ぎ、ルヴァ様の傾げている
ターバンの上をひらひらと白い小さな蝶が飛んでます。

と、その時です!ルヴァ様の釣りざおを握る手に微妙な振動が
伝わりました。んがっ、ルヴァ様はまだ、瞑想にふけって
おられますっ!(しつこいようですが、外からは「眠りこけている」
ように見えます。)
釣り糸がピーンと張り、ぐいぐいと強くルヴァ様を引っ張ります!
「んあっ? ああ〜っ? こ、これはすごい〜 すごい力ですぅ〜!?
ひ、引き込まれるぅ〜。」
ルヴァ様は渾身の力をこめて、顔を真っ赤にしながら釣りざおを
勢いよく引っ張りあげました。

「むーーーーんっ!!」
やった!やりました!!ルヴァ様、お見事っ!
見事大物を釣り上げましたっ!白い波しぶきの中、
大きな黒い、、、人影が、、、現れましたっ!?

「ぷはあっ!な、何事だっ?一体ここは何処だっ?!」
なんとっ、金色の長いゆるやか〜なウェーブをぐっしょりと
濡らして現れたのは、ジュリアス様です!!
ジュリアス様の頬には、わかめのような海藻がべったりと
はりついています。

「わわわ、、、ジュリアス、なぜあなたがここに〜?!」
ルヴァ様もびっくり!です。

「お前こそ、ここで何をしているのだ?なぜ、私がここに居るっ??」
ジュリアス様はこめかみの青筋を膨らませて大変お怒りになってます。

「わたしは〜 ただ ここで〜 釣りをしていただけですよ。
で 魚がかかったと思って〜 釣り上げたら〜 あなたが釣れました〜。」
ルヴァ様は、目を白黒させつつきちんと説明なさいました。
「あなたは、どうしてここにいるのですか〜?」
今度はルヴァ様がご質問なさいます。

「私は愛馬と共に丘を駆けていて、突然子供が目の前に飛び出してきたのだ。
で、それを避けようとして馬から転落しそうになった。そして、
そのまま転落するかと覚悟したら、、、急に後ろから何かに引っ張られ
水の中を通って、、、ここに居る。」
ジュリアス様は裾をしぼり「ジャー」という水音を立てながら、
お答えになりました。
「そうですか〜 危ないとこだったんですねえ〜。」
ルヴァ様は、ほっと胸を撫で下ろし
「でも、助かってよかったですね〜!」とにっこり微笑みました。
「ささ、小枝を集めてきますから火にでもあたって体を温めて下さい〜。」
心優しいルヴァ様はよいしょ、よいしょと小枝を集めています。
と、その時っ!!

「んっ?ルヴァ、なにやら釣りざおが引いているぞ?」
くいくいっと、確かに釣りざおが動いております。
「今日は大漁ですね〜!」
ルヴァ様、ジュリアス様は、お魚ではありません、、、。
急いで定位置へルヴァ様は戻ると、下唇をかみしめふんばりながら
さおを引き上げました。
「くううーーーーーっ!!」
竿が大きくしなりますっ!もう少しですっ、ルヴァ様がんばれっ!

ざっぱあああん!!

「きゃーーーーーっ!息苦しかったあ〜☆あれっ?
ここは、、、ルヴァっ?それにジュリアスも居るーっ!?
何よこれ、一体どうなってんのよ!?」
、、、なんと、今度は水も滴るいいオンナ、、、じゃなくて
男の、オリヴィエ様が現れましたっ!

「どうなってるって、、、わたしは ただ〜 釣りをして
いただけで〜。」
ルヴァ様はさすがに二人の男を釣り上げて、じんじんしびれちゃって
るおててをさすりながら答えます。

「それより、お前の左足に何かくっついてるぞ、、、。」
ジュリアス様は眉間に皺を作って、気味悪そうにオリヴィエ様の
左足を指さします。
そこには、、、人面たこが吸い付いてました!?
「きゃーーーーっ!何これ?とって、とってええ!!」
オリヴィエ様はもう半狂乱になって叫び、左足をぶんぶん空中で
振り回します。

「すきすき〜ちゅう!オリヴィエさま、すきすきちゅう〜!」
どうも、この人面たこは、女の子のようです。
顔(体?)を真っ赤にくねらせながら、オリヴィエ様の左足に
吸盤の足を絡ませます。
「いやあああっ!気持ち悪いっ!離れてよっ、お願い〜っ!」
ぽーーんと、勢いよく人面たこちゃんは、飛んでオリヴィエ様の
左足から離れました。

そして、ストンと、ルヴァ様の腕の中に落ちました。
「、、、はじめて見ますねえ〜。こんな生き物。」
「はじめましてでちゅう。たこちゅうでちゅう〜。」
たこちゅうは、きちんと頭を下げてご挨拶。
「あ、これはどうもご丁寧に〜。」
ルヴァ様も頭を下げてご挨拶。
「ちょ、ちょっと!あんたたち何和んでんのよっ!?
この状況になんの違和感も感じないわけーーーっ!?」
と、オリヴィエ様が怒鳴ると、たこちゅうは再び
「オリヴィエ様〜ぁ!!」と、目をハートマークにして
オリヴィエ様に飛びつきました。
「ぎゃあああああっ!!」オリヴィエさまの声が湖に響き
渡ったその時!

「あっ!また糸が引いてるっ!?」
ルヴァ様はまた定位置にお戻りになり、釣りざおを引き上げようと
湖面に目をやると、、、

 ぶくぶくぶくぶく、、、、。

糸の垂れている所から小さな泡がでています。そしてその泡は
大きく激しくなってきて、、、。
「なっ、何が喰いついてきたのでしょうーーーっ!?」
ルヴァ様は、最後の力を振り絞って竿を引き上げました。
するとぺったりと黒い長い髪で覆われた、、、クラヴィス様が引き上げ
られました!

「、、、ここは、どこだ?」
クラヴィス様は濡れて重くなったご自分の前髪をかき分けて、周りを
ご覧になりました。
「あ〜、ここは森の湖で〜、、、(中略)なんですよ〜。
なんとも不思議ですねえ〜 最初にジュリアス、オリヴィエと人面たこ、
そしてあなた、クラヴィスが釣れました〜。」
ルヴァ様は笑いをかみしめながら、言いました。
「そうか、、、。確かに不思議なことがあるものだ、、、。」

「ところでクラヴィス、お前はここに来る前、何をやっていたんだ?」
いつの間にか火を起こして体を温めているジュリアス様がお聞きに
なりました。
「、、、寝ていた。」
「なにぉうっ!?今は執務時間であろうっ!?なんという怠慢なっ!
お前はいつもそうだから、、、。」
はて?確か、ジュリアス様もお馬に興じていらっしゃっていて
お仕事はしてなかったような??
「うるさい。」
「まあ、まあ。みなさん、ここは森の木々でかげっていて
日が当たりにくいですから、風邪ひいちゃいますよ〜?
さ、聖殿へ戻りましょう〜。あ、オリヴィエは〜 もう、
居ないですねえ〜??」

ルヴァ様がそう言いながら釣りざおを片付けようとすると、、、
「待て。」
クラヴィス様が片手をすうっとルヴァ様に出し、
「、、、貸してくれ。」と仰いました。
「釣り、、、なさるんですか〜?」
と、ルヴァ様が聞くと、「こくん」とクラヴィス様は頷きました。
しばらくルヴァ様は考えていましたが、クラヴィス様のご様子に
何かを感じとって、
「はい、いいですよー。後で返して下さいね〜。」と言って
釣りざおをクラヴィス様に渡しました。
「ふふふ、頑張ってくださいね。」と言うと、
まだぎゃーぎゃー騒いでいるジュリアス様の背中を押して
森の湖を後にしました。

クラヴィス様はひとり、湖に糸を垂らしながら
わくわくしていました、、、天使が釣れる事を願いながら、、、。

おしまい

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