「おじょうちゃん、おじょうちゃん!大丈夫か?」
優しく誰かが、アンジェの細い肩を揺らす。ぱちくり!と、彼女
が目を開けると、周囲に安堵の空気が流れた。彼女が寝ていた
ベットのまわりにはぐるっと彼女を囲むように、美しい守護聖
たちが、立っていた。みんな気がついたアンジェの顔を、ホッと
したように見つめている。「こほん」と、ジュリアスが咳払いを
すると、「体の具合はどうだ?どこか、痛むところはないか?」
と聞いた。アンジェが「こくん」と頷いてみせると、また、彼ら
は「よかった、よかった!」といわんばかりに、うんうんと一様
に頷く。
「あっ!リュミエール様!リュミエール様は?」
アンジェは、叫ぶようにしてジュリアスに言った。
「それが、、、何処にもいないのだ。オスカーをはじめ、皆で
探したのだが。アンジェリーク、お前は知っているか?」
「あの?!オスカー様て、、、ここにいらっしゃるんですか?」
アンジェは驚いた。確か意識が遠のく中で、私がみたものは
気を失ったリュミエール様を抱きかかえて、なぜか庭園の噴水の
中へと消えていった、、、オスカー様っ!?その消えたはずの
オスカー様がここに居る?それも、皆さんと一緒にリュミエール
様を探していた?!アンジェはふるふると頭を左右にふった。
「どうしたのさアンジェ?頭でも痛いの?」オリヴィエがベットの
上のアンジェの顔を覗きこむように身を乗り出した。
「ち、ちょっと、なによう!」と同時に、両脇をゼフェルとランディ
に抱えられ、アンジェのベットから引き離された。
「俺がどうかしたのかい?おじょうちゃん?」オスカーが、アンジェ
の側へと近づく。
「あの、、、オスカー様?リュミエール様とご一緒だったのでは?」
「ん?何を言ってるんだい?おじょうちゃん。俺は、君の側にこう
してずっといたんだよ。」オスカーは微笑んでみせる。
「いえ、その、私とリュミエール様が噴水の所に居た時にオスカー様
が噴水の中から現れて、リュミエール様をかかえてまた、噴水の中へ
戻って、、、。」
「、、、アンジェリーク。あんさん、なんか悪い夢でもみたんとちゃ
う?なんで、噴水の中へ、、、。」謎の商人は両肩をあげてみせた。
「みなさん、大変なことがわかりましたっ!」金の髪を振り乱して、
部屋のドアを蹴り破る勢いで女王が入って来た。片手には、クラヴィス
の水晶球を抱えている。
「じ、女王陛下!?」ジュリアスは思わず声をあげた。
「先程、クラヴィスの執務室でリュミエールの居場所をこの水晶球で
探していたのです。クラヴィスとロザリアと一緒に!あら?ふたりは
何処にいったの?」女王陛下がドアの方を振り向くと、これまた、
髪を振り乱したロザリアが、半分ぐったりとしているクラヴィスの首
根っこを掴み肩で荒く息をしていた。
「ああ、そこに居たの?早く入ってらっしゃい!さあ、みなさま
これをよ〜くご覧になってね。」と、女王陛下が水晶球に手を
かざした。一同がごくりと生唾を飲む。すると、、、!?
「優しい彼 募集中!28才の寂しがりやの女の子です。
一緒になまこを食べてくれるかっこいい彼がいいな!
メール待ってます。」という文字が、浮かんで、、、。
「これが、大変なことなのでしょうか?」ティムカが首を捻る。
「ああああっ?何コレ?!」女王陛下はぺしぺしと水晶球を叩いた。
「やめないか。これは私のサクリアしか受け止めないのだ。どけ。」
少々黒髪がほつれたクラヴィスが、女王陛下から球を取り上げた。
「なんという口のきき方だ!?女王陛下に対して!!」ジュリアスの
両目がつりあがる。
もちろんそんなジュリアスの言葉は無視して、すらりと細い指先を
クラヴィスは水晶球の上にかざした。するとっ!ぼんやりと、
「村」のような集落が写しだされてきた。
「これはどこなんですかねえ?」ルヴァは目を細くして球をのぞき込む。
そうして、大きな古い藁ぶき屋根の黒光りする柱のある広い座敷
が見えてきた。そこには「日本昔話し」にでてくるような長者さま
の家の床の間で宴会をしている村人たちが、映し出された。
その村人たちの中に、若くて美しい娘たちに囲まれた男がズーム
アップされ赤い矢印がある男の頭上に表示された。
紅い燃えるような髪、それとは対称的なアイスブルーの、、、。
「オ、オスカー?!」守護聖&協力者たちは同時に声をあげた。
「こ、この人なんです!私が見たのはっ!でも、なぜオスカー様
がふたり、、、。」アンジェリークは、顎を地面に落としそうな
くらい口を「あんぐり」と開けここに居るオスカーを見つめた。
「アンジェリーク、そしてみなさん!落ち着いて聞いて下さい!
この水晶に写っている偽オスカーは、この次元ではなく、未来から
きた邪悪な物の手下のようなのです。」女王陛下は、一同を見回し
ながら言った。女王は言葉を続ける。
「何の目的でリュミエールを連れ去ったのかは解りません。しかし
彼は、この村に監禁されているようなのです。私はとても嫌な予感
がするのです!早くリュミエールを助けださないと、、、。」
「、、、リュミエール様。」マルセルはチュピを胸に抱いて呟く。
「よしっ!なにがなんだかわからないが、このオスカー様のコピー
なんて許せねえっ!俺のこの剣で退治してやるっっ!」
シャキーンとオスカーは剣を引き抜くと、ぶんぶん意味もなく振り回す。
「よさないか!危ないだろう?オスカー、頭が混乱するのは解るが
剣を収めぬかっ!」ジュリアスが一喝するが、オスカーの耳には
届かない。「うわーん、助けてーっ!」マルセルをはじめ、一同
散らばってあちらこちらへと逃げ出した。ヴィクトールは、
オスカーの背後に近づき彼を羽交い締めした。
「落ち着いて下さいっ!オスカー様っ!さあ、どなたかオスカー様
から剣を取ってください!俺がこうしてオスカー様を抑えてますから
その隙にっ!、、、て、みなさん、待ってください!ちょっと!!」
謁見の間には、「くっそーーっ!やってやるーーっ!」と、両足を
ばたつかせながら、後ろ手にヴィクトールに羽交い締めされたオスカー
の声だけが響き渡った、、、。
その頃、 「ここは、何処なんでしょうねえ〜?なんだかお腹がすきました。」
木の格子の隙間からみえる満月を仰いで、リュミエールはため息を
ついた、、、。
つづく
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