ヴィクトールを見舞いに行った夜、ルヴァは妻と向き合って話し合うこと
を決心した。
「もうこれ以上、あの時急に泣き出したアンジェ美の涙の意味を、
あれこれと思い悩むのはやめてアンジェ美に聞きましょう。
、、、あの時の涙はどういう意味があったのかを、、、。」と思ってのことだった。
また、アンジェ美もヴィクトールの見舞い帰りのルヴァの様子から何か
ルヴァが決心したことを感じていた。アンジェ美はこれ以上、
自分の気持ちを抑えることに限界を感じていたのだ。
「頭が痛い、、、頭痛がする。」アンジェ美は洗濯ものをとりこむ手を止めて
ふと、冬晴れの高い青空を見上げた。くすんだ雲の合間を小鳥が両羽根
をひたすら動かしながらぬうように飛んでいる。冷たい北風に刃向かうよう
にして、、、。
「ただいま。」いつになく感情のない夫の冷たい声がアンジェ美の耳へと
飛び込んできた。
「お帰りなさい、ルヴァさま。」アンジェ美の声はいくらか緊張の為か上ずって
いるようだ。
「、、、さまだなんて。」ルヴァは苦笑いして見せる。
「あの、私、お話があります!」
「、、、そうだね。わたしにもアンジェ美、あなたに聞いておきたいことがあるの
ですよ。」と言うルヴァの声が、アンジェ美の頭の中で響いたかと思うと、
急にぐらりと目の前が真っ暗になって、、、。
「あ、アンジェ美っ!?大丈夫ですかっ?」アンジェ美はルヴァの胸の中へ
倒れこんだ。
うっすらと瞳を開けたその先には、水を代え、氷枕に氷を入れるルヴァの様子
が見えた。暑いのか、シャツをうでまくりして忙しく手を動かしている。
冷たいタオルをアンジェ美の額にのせ、頬を手で撫でながら、
「苦しいですか?アンジェ美?わたしが傍にいますからねー、安心して下さい
ねー?」と話し掛けてくれるが、高熱と喉の痛みで返事ができず、
こくんと頷くと、ルヴァはほっとしたように優しく微笑んだ。
「アンジェ美、わたしはあなたにはどんな風に見えているのでしょうねえ?
やはり、ぼーっとしているからあなたには、物足りない夫なのでしょうかねえ。
わたしは、いつだってあなたの事しか考えてないのですよー。いや、本当
です。あなたが私の妻になってくれるなんて夢のように思っていたんです。
私は、結婚してからもあなたに嫌われないようあなたの気持ちを、いつも
考えて行動していたのですが、、、。案外それは、あなたの気持ちではなく
自分の気持ちだけを考えて行動していたのかもしれませんねー。
アンジェ美、こんなわたしを許してくれますか?」
ルヴァは思慮深い青い瞳を細めて、今にも泣き出しそうな震える唇を噛み締め
アンジェ美を見つめ静かに言った。
、、、アンジェ美は驚いて飛び起きた!過ちを犯したのは自分で、
なにもルヴァが謝ることはないのに!?
高熱のせいもあるが真っ赤な顔をして、ぽろぽろとアンジェ美は泣き出した。
そして、夫のルヴァの胸にしがみつくと子供のように泣きじゃくった、、、。
☆ ☆ ☆ ☆
「パーンパーン」朝早くから、外で花火があがった。今日は毎年恒例の
近所にある基地のマラソン大会開催日だ。
ヴィクトールも参加する為に、あの公園でランニングしていた、、、
本番は今日なのだ。
今日はルヴァと久しぶりに釣りへ行く予定だ。
まだあれから一週間ほどしか経っていないが、アンジェ美の中のくすぶる
気持ちはすっかり整理され、以前よりもルヴァ夫婦は仲がよくなった。
外へでると沿道にはうすっぺらい紙の旗を握り締めたたくさんの人達が
早くも、スタートラインに立つ選手達に向かって旗を振っている。
アンジェ美は、スタートラインに立つヴィクトールを見つけた。
まだ、スタート時間まであるのか他の選手たち同様、スエットスーツのまま
ウォーミングアップをしているようだ。ヴィクトールが着ているのは、、、
アンジェ美がプレゼントした、スエットス―ツ、、、。
「はい、では選手のみなさんはスタートラインに立ってー!」
選手達が一斉にスエットスーツを脱ぎ、ラインに並ぶ。その中でもやはり
ヴィクトールの端麗な顔立ちは目立ち過ぎる。そして、アンジェ美を抱いた
あの逞しい腕の筋肉も、、、。
「おーい、アンジェ美ー。行きますよ〜!」
夫がアンジェ美を呼ぶ声がする。
「はーい!」とアンジェ美が返事をするのと同時に、「パーン」と
スタートを告げる銃の乾いた音が辺りに響いた。
「さようなら、ヴィクトール。私の中を駆け抜けたランナー、、、。」
北風の中、アンジェ美はヴィクトール達が走る方向とは反対方向へ
走りだした、、、。
おしまい
いや〜、こんなんできましたけど、いかがでしたでしょうか?!
毎回、えっち場面をちょこちょこいれてゆこう!とか考えていた
のですが、、、健全なものになってしまいました。
今度はじっくりと書いてみようと思います。
最後の台詞に「クスリ。」と笑って頂けたら幸せでございます!(笑)
毎回来て下さったあなたの優しい心に感謝します。
次回はもっとぐちょねちょものを、、、、?!
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です
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