疼き


ティムカ&ヴィクトール

ヴィクトールの身体は何かを求めて疼いている、、、。 身体が声をしぼりだすように、毎夜、疼く。 自分で慰めてみるが、事後、とてつもなく心が空虚となり 余計に前にも増して疼いてしまう。 夜 こっそりと、聖地を抜け出してプレイボーイと誉れ高い守護聖様と 下界へ降り立ち、美しい女性達と戯れてみたこともあるが、 何も彼の心も、身体も満たされることはなかった、、、。 試しに、美しい男性とも触れ合ってみたのだが。 ヴィクトールがこういう状態になってしまったのは、王立研究所のエルンストが 或る日、皆を集めて報告をした日からだ。 「本日、みなさまに集まって頂いたのはほかでもありません。 とうとう、女王候補達が育成している聖獣が臨海を迎えました。 これからどうなるのか、我々も予測できませんが、、、。尽力したいと思っています。 今現在分かっていることは、もうすぐ女王試験も終わるということです。」 ずらりと女王謁見の間に向き合って並んでいる守護聖たちや協力者たちは ざわめき出した。 エルンストの言葉が終わるとヴィクトールとティムカは同時に顔をあげ、 エルンストの方を向いた。そうして、ゆっくりと互いを見つめた。 ティムカと目が合った瞬間、特別何も思わなかったがなぜか少年を 見ずにはいられなかった。ティムカの顔もそう物語っているように感じた。 「女王試験が終わる」=「聖地を離れる」 協力者達は、任務をとかれれば各々の惑星へと帰らねばならないだろう。 皆、離ればなれになるのだ。別れがやってくる、、、。 予測はしていたことであったが、いざ、その時がくると突然にやってきたような気が してしまう。 「ティムカと別れる」なぜかヴィクトールの胸に重くのしかかる言葉。 俺はどうかしている。あんな子供を犯したことを負い目に感じているからか? ひと回り以上歳のはなれた少年に乱暴したことを、後悔しているからか? 傷つけてしまったから、このまま別れるのはつらいと感じているのか? 疎ましかった存在のティムカとこれから顔を合わせなくてすむんだぞ? 周囲に、俺がティムカを抱いたことをばらされる心配をしなくてもよくなるのに、、、。 俺は、、、感じてしまった。ティムカと別れることがつらい、と、、、? その日から、ヴィクトールの身体は疼いている。 彼は分かっていた、この疼きを癒すのは少年しかいないことを。 しかし、もうこれ以上少年に自分の醜態を見せることを拒んでいる。 年端もいかない少年に、リードされ昇天することなど、、、。 「、、、ですね?ヴィクトールさん?」 水色の美しい髪を揺らして、リュミエールは目の前のヴィクトールに 微笑み話し掛けた。 「はっ、なんでしょうか?リュミエール様?」ヴィクトールは慌てて、聞き返す。 リュミエールは、やれやれといわんばかりにため息をつくと、 「だからですねえ、アンジェリークが最近私の執務室へ来ては、あなたのこと ばかりを聞いてゆくんですよ。他の守護聖たちにも同じようにあなたのことを 聞きまわっているようです。かわいいじゃありませんか?」 リュミエールがそっとヴィクトールの後ろの方へ微笑んだので、 ヴィクトールが後ろを振り返ると、黄色いリボンが木陰に隠れた。 「うふふ、あなただけが気がついてないようですね?」 「はあ。あの、どういうことなんでしょうか?あそこに隠れたのは、アンジェリーク ですよね?」ヴィクトールの方が、逆にリュミエールに聞く。 「そうですよ、あなたのことを見ているのでしょう。あなたを見ていたいから、、、。」 リュミエールの言葉に、首を傾げるヴィクトールに更にリュミエールは、 「アンジェリークはあなたのことが好きなんですよ。気がついてないのですか?」 と言った。 「アンジェリークが?!まさか、、、。」 ヴィクトールは吹き出しそうになったが、 リュミエールが急に真剣な顔になって、 「本当ですよ。彼女は真剣にあなただけを見ているのです。彼女に想いを 寄せている守護聖もいるのですよっ。しかし、アンジェリークは、、、。」 リュミエールはひといきつくと、 「アンジェリークは、女王の座を手放してでもあなたと一緒に居たいと、 固く決意しているんですよっ!」と言った。 「じ、女王の座まで?!」これにはさすがにヴィクトールも驚いた。 今までずっと努力してきたことを、俺ひとりの為に無駄にしてしまうのかっ?! 、、、俺は、可愛い教え子としか見ていない、そうとしか見れないのに、、、。 もうすぐ、試験も終わりに近づいている。 話しをしよう!話さなければ。 ヴィクトールは深刻な面持ちで、アンジェリークが隠れている木陰へと 近づいた。 「アンジェリーク?」声かけられたアンジェの細い肩がビクッとあがる。 まだ十代の、自分が触れるとへし折ってしまいそうな小さな肩。 細い肩、、、ヴィクトールはその肩に、少年を重ねていた。 「話したいことがあるんだ、お前さえよければ森の湖にでも行かないか?」 アンジェリークは、花のように優しく微笑んで顔を赤らめながらも頷いた。 大きなヴィクトールの体に寄り添うようにしてアンジェリークとヴィクトールは 歩きだした、、、。 小鳥が木々の合間を飛び交い可愛らしい声で歌うように さえずる以外、静かな湖。 穏やかな日差しを浴びて、木の葉が揺れる。 アンジェリークが緊張していることは、痛々しいほどヴィクトールにも伝わってくる。 「あ、あのう!私、実はヴィクトール様のことが好きなんです!」 アンジェリークは耳までまっ赤にして、告白した。 ヴィクトールはゆっくりと優しく微笑んでアンジェの両肩にそっと、 手を置き何か言おうと口を開こうとした時! 「アンジェリークっ!!」 ざざざっ、と草むらをかきわけて褐色の小さな少年が勢いよく飛び出してきた。 「ティムカさまっ!?」 「ティムカ?!」 なぜここに?アンジェとヴィクトールは、ティムカを見つめた。 彼は今にも涙がこぼれそうに瞳にいっぱい涙をためて、軽く唇を 噛み締めふたりの目の前に立っている。 「アンジェリーク、わたしはあなたのことが好きです。」 「えっ?!」と声をあげ、アンジェリークは驚いて口元を押さえた。 ヴィクトールもまた驚きの表情を隠せない。 「わたしはあなたが、ヴィクトールさまを慕っているのは知っていました。 しかし、それでもわたしはあなたのことが好きなのです!どうか、わたしの気持ちを 受け止めてくださいっ!」 ティムカの瞳にはアンジェリークしか映っていないように全く傍に居るヴィクトール を、無視して真っ直ぐにアンジェを見つめている。 アンジェもヴィクトールも何が起きたのか、頭が混乱していると 「ヴィクトールさま、申し訳ないのですが、、、席を外してくれませんか? アンジェリークとふたりきりになりたいんです!」 ティムカにそう言われ、ヴィクトールは、はっと我に返り顔が強張ったまま、 「ああ、すまない。それでは、俺はこれで、、、。」 と言うのが精一杯で、二人を湖に残して立ち去った。 「あっ!ヴィクトールさまっ!?」アンジェが彼の後を追いかけようとすると ティムカが、ニヤリと嘲笑いながら 「、、、待てよ。お前をヴィクトールさまの所へ行かせるもんか。」 と、アンジェの手首を握り引き戻して顔を近づけた。 アンジェの驚いて大きく見開かれた蒼い瞳を、ティムカは睨み付け 「彼は僕のものだ。」 と低く脅すように言い放った、、、。 ヴィクトールは突然現れたティムカのアンジェに対する気持ちを知って、 すっかり動揺していた。大股でザッザッと足早に自分の教官室へと 戻って行く。 「あいつは俺のことを想っていたんじゃなかったのか?この間の夜のことが 効いて俺をあきらめたのか??そうだったらいいことじゃないか? なぜこんなに気持ちを苛立たせる必要があるっ!? なぜこんなに、、、。」 ヴィクトールは、パタンとドアを後ろ手に閉めるとぼんやりと教官室の 窓から見える庭園の咲き乱れる美しい花々を眺めていたが、 やがてその風景がぐにゃりと歪んで見えてきて、、、 あいつは、ティムカは、俺に今まで「好きだ」と言ったことはない。 ヴィクトールは自分の気持ちに「背徳」を感じ、眼をつぶった。 頬には一筋の涙が、、、。 今は身体全体が、痛いほどに疼いている、、、。 「やあ、ティムカ。お楽しみだったようだねえ?」 セイランは、腕組みをして聖殿の柱に寄りかかり前を通りかかった ティムカに声かけた。 「どういう意味ですか?」 ティムカは静かにカッとなる気持ちを抑えて、言い返す。 「ひとの恋路を邪魔する奴は馬にけられて死んじまえってね。 東洋の言葉にあるんだよ。」セイランは含み笑いをしながら言う。 「馬?馬の脚はもうへし折りました。」 ティムカはセイランに軽く会釈すると、「あはははっ!」と笑いながら去った。 セイランはその嫌な笑い声にしばし耳を押さえていたが、 「ふぅ、幼い恋は純粋すぎて、、、危ないな。」 とつぶやいた。 ティムカは笑いが止まらなかった! まさか、ヴィクトールがあんなに驚きたじろぐなんてっ!? あんなに素直な反応を見せてくれるとは、、、なんて嬉しいことだろう! もう、すっかり僕のことが好きになってきてるな? 少年は確信した。 「くすくす、、、押しても駄目なら引いてみなってね、、、。」 ティムカは、ヴィクトールの部屋へと向かった。


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今回は、えっちなし!!期待?されてた方申し訳ありまへ〜んっ!! 次回は珍しく「愛」あるえっちに突入〜っ♪ またよかったら、遊びにきてねんっ!!(☆ー☆)/


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