パスワードを入力し
「カタパルト!準備いいか!?」
ロックを解除し
「噴射剤ッ!!補充急げ!!」
コンソールを操作し
「ライフルの用意!早くしろっ!! カートリッジがあっただろう一応つけとけ!!」
動力を入れる
「MSが動くぞ!!」
360度スクリーンに周囲の映像が写り
「機材をどけろ!!」
目の前には『GUNDAM』の文字
ラングス「発信準備はいいな祐一?」
いいわけがない………
しかし、あの状況下の中で俺が選ぶ事ができた唯一の選択肢はMSに乗る事だけだった
祐一「はい……死なないようにがんばりますよ」
ラングス「すまんな」
力なく答えた俺に艦長は落ち込んだように答えた
そのままMSを動かしカタパルトに乗せる
祐一(こんな時は名前とMS名を言うんだっけ?)
MSの名考えてみたらこいつの機体名もわからない
すぐに思いついたのは起動時に出てくる単語『GUNDAM』
カタパルトがあった場所がせりあがり甲板上に移動する
祐一(これでいいか)
ラングス「祐一頼むぞ!!」
艦長からの激励の声
こうなったらもうやるしかない
俺だって死にたくはないんだ!!
祐一「相沢祐一……Fガンダム出ます!!」
第ニ話
『まだ…死にたくない……』
言葉と同時にカタパルトが発射される
宇宙に上がったときよりは楽だが結構なGだ
グラッ………
祐一「うわっ!!」
カタパルトデッキから飛び立つ時バランスを崩してしまった
カタパルトが上手く足から外れなかったらしい
戦闘機のカタパルトを改造して即席に作った奴なので仕方ない
祐一「て…敵はどこだよ?」
さっきのふらつきのせいであせりが強くなる
――――――pipipipipipipi!!
いきなりの電子音
画面の右上にロックオンの文字が出る
祐一「まさか……ロックオンされた!?」
慌ててバーニアをふかし移動しながら相手を探す
祐一「どこだ………どこだっ…………」
MSにまだ殆ど慣れてもいないのに実践中に複数の作業などできるわけもなく
敵機を探す時は操縦が甘くなる
ロックオンは未だに外れずコクピットに流れる電子音は俺から冷静さを奪っていく
祐一(どこだ……どこだよ………)
呼吸は荒くなり筋肉がこわばる………
命を狙われる恐怖
そこから逃れたい一心で俺は動き回る
――――pipipipipipi!!
別の電子音が流れる
祐一(またロックされた!?)
さらに上がる恐怖心
しかし、その電子音はすぐに切れコクピット内に艦長の声が――――――
ラングス「祐一ッ!!上だッ!!」
その刹那………
―――――――ガガガガガガガガガガガガガッ!!!
着弾した……
今度は左下にMSの影が出てきて着弾箇所が赤く表示されている
右肩……腰部……左腕……
かなりの場所が着弾している
祐一(ここまでか……もう終わりなのかよ…………)
俺が諦めかけた時、さらに文字が出てくる
各部損傷率 0%
祐一「なっ……直撃して………あれだけ着弾してるのに無傷だって!?」
損傷率0……まさに桁外れの装甲だ
祐一(アズムエルの無反動マシンガンは装甲車や戦車の装甲を軽くぶち抜くって聞いたぞ)
敵側MSにも動揺が見られる
当たり前だコロニー連盟の主力武器が全く通用していないのだ
しかし、マシンガンが通用しないとわかり2体ともマシンガンを収納してヒートホークを抜いた
* * *
オペレータ「Fガンダムに着弾!!………なっ……凄い……無傷です!!」
ブリッチ内でもその装甲の高さに驚いていた
ラングス「連盟の主力が豆鉄砲扱いかよ……上層部の奴らっ!!
とんでもない代物を作らせやがって」
再びモニターを見るとアズムエルが装備をヒートホークに持ち替えている
ラングス(ヤバイな………
格闘戦は圧倒的に祐一のほうが分が悪い)
思う刹那ラングスは通信士に指示を出す
ラングス「祐一に格闘戦は避けろと伝えろ!!
離れて戦わせるんだ!!」
通信士「了解しました
………祐一――――」
* * *
――――pipipipipipi
コクピット何に再び電子音が響く
祐一(イージスからの通信か!?)
何とか通信回線をONに変更する
「祐一!!聞こえますか!?
祐一!!応答願います!!」
聞いた事のない女性の声
多分ブリッチにいる通信士だろう
祐一「聞こえてるよ!!」
「祐一!接近戦は君が不利よ!!
離れて戦って!」
確かにあいつらが模擬戦でもやってたら決定的に俺が負ける
ただでさえなれない乗り物使っているんだ
まともに遣り合えば負ける
さらに高まる死への恐怖
祐一「まだ…死にたくない……」
離れて戦うならやはりこのライフルで戦うしかない
素人の俺が射撃なんてできるはずが………
俺はシートの後ろにある簡易マニュアルを取り出し作動させる
祐一(補助機能はないのか?)
逆噴射で逃げながらライフルについての資料を探す
祐一「あった!!」
オートロック機能がある
これがあれば俺でも命中させる事ができるはずだ
奴らが持っているやつみたいに連射はできないだろうけど
どうやら射程はこっちが上のらしい
祐一(こっちの機動力で逃げ回ってこいつで牽制すれば………)
これならやれるかもしれない
祐一「そうと決まればっ!!」
腰部のビームライフルを抜き横に一閃し相手が避けた隙に離れる
機体を敵機に向けてライフルを構えた
祐一(さっきのやつ……俺に気づいていない………)
下のやつらは何故かそこに止まったままだ
運が良いことに先ほどの牽制で敵は俺を見失っているらしい
祐一(今なら………やれる…………!!)
オートロック……セット………
ロックオンご俺は右手のトリガーの安全装置を解除する
祐一「この野郎ォ――――――――!!!!!」
俺は引き金を引いた
ズギャァァァァァン!!!!!
ライフルから発射されたのは実弾ではなく眩ゆいくらいの光を放つ収束されたビーム………
それはMSの装甲を突き抜け海に飲み込まれる
1機のMSはそのまま海の中へと消えていった………
それを確認したもう1機のMSは自分に勝ち目が無いと悟ったのかそのまま海の向うへ逃げていった
俺はコクピットの中で自分が行った結果を目の当たりにしさらに恐怖にかられた
MSが落ちた
いや、落とした
壊れた人形のように………
撃たれた鳥のように………
ただ………
ただ……下へ…………
祐一「ハァ……ハァ……お………落ちていった………
脱出ポットが見当たらなかったが………パイロットは……
……死んだ?」
下を見るMSが落ちていった余波でまだ大きな波紋が残っている
さっき落ちていったMS
あの中にも人がいたはずだ………
祐一「死んだのか………?
俺が…殺した………?」
自分が行った行為を理解できずに目を泳がせる
祐一「お………俺が……………」
俺は震えたままいつまでも波紋の広がる海を眺めていた
