東京都沖合いにひとつの船が停泊している
外見は貨物船だが輸送ルートからは外れている上、甲板には人影などどこにも見当たらない
その甲板に船内から2人の男が姿をあらわした
一人は眼鏡をかけたスーツ姿の中年男性
もう一人はライダースーツのような服に薄手のジャンパーを羽織っている
「あれから何年経ちますかね」
ライダースーツの男が船の手すりにもたれ海の向こうをじっと見て言った
「あの時の悪ガキが今はもう20代か・・・・私も歳をとるはずだな・・・・・・」
もう一人の男が人差し指で眼鏡を押し上げライダースーツの男の横に立つ
眼鏡の男が横に来るのを確認してライダースーツの男は再び口を開けた
「初めてレイバーに乗ったのは14の頃でしたねそういえば・・・・
攫われて変な教育受けて、売られて、買われて、そんでもって犯罪のお手伝い・・・・
裏街道をひたすら走ってきたような感じですね」
「後悔しているのか?」
「いいや、後悔なんてしてるならこんな所にいやしないよ・・・・・」
ライダースーツの男は眼鏡の男に向き返り言葉を続ける
「あの頃は本当に楽しかったからな・・・・・
俺は・・・・・もう一度、内海さんがいたあの頃に戻りたいのかもしれない・・・・・」
眼鏡の男はその言葉を聞きかすかに笑った
「それを聞いて安心した・・・・しかし、随分と大人になったと思ったが
まだまだ子供だな、バド」
バド「そうかい?でも、黒崎さんはかなり丸くなったんじゃない?
昔はもっと刺々しかったのに・・・」
バドと呼ばれた男は笑いながら再び船内に向かって歩き出す
黒崎「もう休憩はいいのか?」
バド「ああ、早くあのレイバーに・・・・・<KANON>に慣れておきたいからな」
そのままバドは船内に消えていった
黒崎「ああいう所は変わらんな」
彼もそう呟いた後にバドを追いかけ船内に消えていった
レイバー<Labor>
1990年代に誕生した大型作業用ロボットの名称である
建設・土木において広く普及したがそれと同時にレイバーによる犯罪も多発した
それを対処するため警視庁は特殊車両中隊を設立、これに対抗した
俗にいうパトレイバー<PATLABOR>である
昔、一つのレイバー犯罪が起きた
当時の特殊車両中隊の駐屯地でレイバーテロが発生したのである
そのテロリストが使用していたレイバーの中に1機の黒いレイバーがある
自衛隊のレイバー部隊を壊滅し、当時の特殊車両中隊の最新鋭レイバーさえも
手玉に取ったその黒いレイバーを操縦していたのは僅か14歳の少年だったという
そのレイバーの名は『グリフォン』といった
今から約10年前の事件である
バド(そう・・・・俺達はもう一度同じ風を流すんだ・・・・・・追走曲のように・・・・・・)
機動警察
PATLABOR
<KANON>
