?「お疲れ様です」
とある本屋より一人の男が姿を出した
高校のエンブレムが描かれたブレザーの上にジャンパーを着込み俺、『北川 潤』は夜の住宅街を歩いていく
もう後数日で今年も終わりをつげこの時間帯には鐘の音が聞こえてくるだろう
俺の家は住宅街の外れの一角にある
親父は海外に赴任中、お袋も同伴
俺は一人でこの家に残ると言ってこの街に残った
別に日本にもこの街にも興味も未練も無いというのに………
北川「今日は冷えるな……」
今夜はいつも以上に冷える
体に何かに突かれるような感じだ
たとえば誰かに見られているように………
ィイイイイイイイイイ――――
北川「ッ!?」
急な耳鳴り、思わず耳を塞ぐ
10秒………20秒………30秒………
暫くして耳鳴りが止まった
こんなに長い耳鳴りは初めてだ
もしかしたら貴重な経験をしたのかもしれない
服を整え周りを見渡す
気づけば武家屋敷の前だった
ここ武家屋敷は数年前までには人が住んでいたのだが
家の物が引越しそのまま土地ごと売りに出されているのだが買い手が決まらず荒れ果ててしまった
今はその外見から武家屋敷と近所から呼ばれ子供達の遊び場となっている
北川「そういや…俺も昔ここで肝試しやったっけ」
夜の武家屋敷は不気味で好き好んで近づく者はいないだろう
ここにこうして立ってても仕方がない
早く帰って風呂にでも入ろうとその場を後に―――――
チリ――――――ン
鈴の音が聞こえた
近所で鈴を鳴らしている家があるのだろうか?
周りを見渡しても家々の明かりは消え該当以外の照明は点灯していない
チリ――――――ン
北川「また……聞こえた」
場所が場所の為かなり怖い
もし、この中から聞こえてきたらどうしよう
そんな事を考える
チリ――――――ン
どうやらこの中かららしい
マジで怖い
その時
―――――
呼ばれた気がした
―――――
北川「まただ………誰かが俺を呼んでいる」
―――――
北川「この中か……」
4度目呼ばれるときには俺は屋敷の中に入っていった
* * *
屋敷の中は思ったより痛んでいない
元がしっかりとした造りのためだろう
少なくとも床板を踏み抜いて怪我をする心配がなくなった訳だ
―――――――
感覚が強くなった
北川「どっちだ?」
――――――――
俺の言葉に答えるかのように感覚が帰ってくる
北川「上か……」
不思議と恐怖感は消え心地よいぐらいに落ち着いていた
――――――――
2階にあがると感覚がさらに強くなる
この感覚はいったい何なのだろう
まるで俺を呼んでいるようだ
俺の問いにも答えているような気配もある
何よりこいつは俺を求めている
北川「…………地球の歩き方にも危険なところは避けろって書いてあったよなぁ〜」
言っていることとやっている事が矛盾している
天井を見渡してみると一箇所四角く区切られている場所がある
―――――――――――
より一層感覚が強くなった
北川「吊り階段か……」
そこらの棒で吊り階段を下ろす
この階段も痛んだ様子はなく大丈夫そうだ
階段に足を乗せると今まで続いていた感覚が止まった
この上に俺を呼んでいた現況があるらしい
北川「蛇が出るか邪が出るか………」
階段を上ると小さな個室だった
周りを見渡すと奥につづらがあるだけで他には何もない
北川(あれか……?)
近づくとつづらは鎖で縛られ鞘に収められた短刀につながっている
北川「なんだコレ?」
短刀を握るとあっけなく鎖が切れてしまった
北川「家は頑丈なのに鎖はボロボロだな」
なんだか可笑しかった
北川「いよいよ黒幕様のご登場だな」
意を決めて蓋を持ち上げる
すると中から眩いほどの光………
俺は思わず目をつぶってしまった
光が徐々に小さくなる
光がなくなり目をあける
光のせいで慣れていた目は再び元に戻りまわりは真っ暗だ
少しずつ目が慣れてくると俺はそこに人影があることに気がついた
北川「!?………だっ……誰だ?」
返事はない
動く気配もない
そのうちに目は完全になれそれが武者鎧という事に気がついた
その鎧はいつのまにかに蓋が閉まったつづらにどっかりと座り
その背中には長く黒い棍棒が担がれている
北川(俺を呼んだのはこいつか?)
そんな事はあるわけがないのだがさっきのような現象を体験し真っ先に頭の中に思い浮かぶ
北川「お前が…………俺を呼んだのか………?」
その言葉と同時に鎧は再び光を発し消えさりそのかわりその場所には小さなビー玉ぐらいの水晶が残っていた
―――――――
また、あの感覚だ
―――――――
水晶から感じられる
俺は水晶を拾うとまたいっそうに強い感覚が放たれた
―――――――――――――――
北川「連れて行けって言うのか?」
――――――――――――――――――――――
不安感などはなく俺はその水晶を持っていくことにした
俺はその水晶を月明かりにかざす
よく見ると水晶の中に一文字漢字が書いてある
『義』と……
その強き力を振るいて
眼前の敵を薙ぎ倒す5つの鎧
その果て無き力を受け継がされし少年達
鎧から始まる終わりなき戦に何を見出すのか
『仁』 『礼』 『信』 『義』 『智』
5つの心を宿す鎧を纏い
少年達は戦い続ける
彼の者達の名は
鎧伝
サムライトルーパー
封じられし鎧