| 返歌SSロベリアの「目撃」
あたいはロベリア・カルリーニ。巴里の悪魔と呼ばれた悪党だ。 そんなアタシが教会に立ち寄ったのは、もちろん信仰心からなどではない。 正義の味方、巴里華撃団の一員としての仕事であるパトロールをさぼって昼寝をするためだ。 まったく正義の味方なんてかったるくていけない。ヤダヤダ。 扉を開けると、神聖にして静かでなければならない教会から、ものスゴイ音が飛び出してきた。 ズドーン!! ドンガラガラガシャーン!! ズズズズズズズンズゥンズズゥゥゥンズズン。 中では二人の女が争っていた。しかも二人ともエリカ。 エリカが二人? どうなってやがんだ、こりゃ。 日本刀を持ったエリカとマシンガンを持ったエリカの争いはとどまるところを知らず、 教会を破壊し尽くし、巴里の街を崩壊させかねない勢いだ。 早く止めないと大変なことになる! アタシは教会の中に飛び込むと、礼拝堂の隅っこに陣取って高みの見物としゃれこんだ。 こんな面白そうなこと見逃す手はない。 ふたりエリカの争いはますますエスカレートし、おもしろくなってきた。 楽しいねぇ。 そのとき、大きな音を立てて入り口の扉が開いた。 小さな女の子が立っている。 すこし癖のある金髪ときれいな碧眼のかわいらしい女の子で、くまのぬいぐるみをしっかりと抱きかかえていた。 少女はこの恐ろしい諍いに臆することなく礼拝堂に入ってくる。 「戦いのメイク!」 ひとこと、死刑でも宣言するようにそう叫ぶと、女の子はどこからか手品のように化粧道具を取り出した。 ファンデーション、シャドー、ルージュと、次々とかわいらしい顔に化粧がのせられる。 すると女の子はみるみるうちに、キリリと大人びた顔つきに変わった。 顔つきだけじゃねえ。背が伸び、胸と腰が張りだす。 髪まで癖がとれてストレートのロングヘアーに変わっちまいやがった。 そこに立っているのは、もう完璧な別人。女の子とは呼べない大人びた少女だった。 「ゴォォジャス グリシィィィヌゥ☆☆☆!!!」 グ、グリ公!????!!? ダダダと、グリ公はマシンガンを持ったエリカに駆け寄ると、ポカンと頭をど突いた。 「ハウウ〜」 マシンガンを持ったエリカは、目を回してフニャフニャと崩れ落ちた。 「フォンティーヌ、いい加減にせよ! 神聖なる教会で争うなど、栄えある巴里華撃団員のすることか! 恥を知れ!」 オイオイ、もう聞こえてねえって。 日本刀を構えたエリカが二人に近づく。 「どきなさい。そいつにとどめをさします」 あのグリ公が、小さな女の子がグズるような表情に変わった。 「ダ、ダメだよ。いくらなんでもそこまでしちゃ」 日本刀を構えたエリカがグリ公に問う。 「人間にとって『幸福』ってなんだと思います?」 「えっ?」 「それは『安心すること』です。 そのためには恐怖を乗り越えねばなりません。 人々が日々努力を重ねて前へ前へと進んで行くのは、過去の恐怖を越えて安心するためです。 その女がいるかぎり、私は安心できません。 忌まわしい過去を断ち切らねば、私に幸福はないのです。 今がその時。 さあ、そこをどいてください! どかねば、あなたもろとも切ります!」 アタシはケンカは好きだが演説は嫌いだ。 日本刀を構えたエリカの後ろに忍び寄ると、ポカンと頭をど突いた。 「ハウウ〜」 日本刀を持ったエリカは、目を回してフニャフニャと崩れ落ちた。 「カルリーニ! いたのか?」 グリ公がアタシに気づいて驚く。 驚いたのはこっちだよ。 「グリ公。アタシ、さっき小さな女の子がおまえに変わったように見えたんだけどねえ」 「み、見間違えだ。そのようなこと、あろうはずがあるまい。気にするでないぞ。 では、わたしは用があるのでこれで失礼させてもらう。 さらばだ」 グリ公は倒れている二人のエリカの足をつかむと、引き擦りながら一目散に駆け去ってしまった。 ありゃ引き擦られた方はたまらんな。 「おお神よ! いったいこれは?」 奥から神父が出てきた。 すさまじい音を恐れて礼拝堂に入ってこれなかった神父が、静かになったので入ってきたのだろう。 神父は問い詰めるように黙ってアタシを見つめる。 アタシもそんな神父と向き合って、黙っていることしかできねえ。 そのまま、しばらくにらみ合ったが、根負けてしてとうとうアタシから口を開いた。 「あいつがやりました」 アタシは振り返りもせず、後ろの懺悔室から出てきた隊長を指さした。 |
| この作品は「大神一郎は動かない」をセガのBBSに掲載した時に、返レスとして頂いたもので、このHPにも転載の許可を貰っておきながら、更新をほったらかしていたためにここまで遅れてしまったという経過があります。
ロジシャン様、申し訳ありませんでした。 内容はきちんとジョジョ〜なかんじになっているので返レスSSとしては完璧な作品であるといえましょう。 ありがたいことです。 |