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たまきゅう
縁結び&寝取り選択アドベンチャー
 F&Cというおとなしめの18禁PC作品を製作しているメーカーの新ブランド月星組による処女作の移植作品です。末期DC作品の多分に漏れず、例によってノベル系のアドベンチャーゲームになっています。ほとんどの登場人物が小学生であることと、プレイヤーが意図的にイベントを発生させて行くという点が目新しい、ちょっと特殊な作品です。

 本作「たまきゅう」の主人公高山忍は妹とのふたり暮しで気侭な大学生活を送っていました。が、ドジっ子キューピッドのメルと偶然出会ってしまい、事故によってエナジーを失い小学生の身体になってしまいます。元の身体へ戻るためには、メルの縁結びに協力して幸せなカップルを成立させなければいけません。赤い糸で結ばれたカップル候補は4組。なんとか転校生として小学校へ潜り込んだ忍は、果たして忍は無事にカップルを成立させて大学生へ戻れるのか。それとも戻れず小学生からやりなおすことになるのか。

 「縁結び」という概念を持つ作品なので、基本的に攻略ヒロインに対応する相手の男の子も登場してきます。ヒロインはちょっとませたお姉さんタイプ(の小学生)神楽弥生、元気で乱暴な学級委員長の榑林凛、ひとり年下で気の弱い滝沢双葉。それにDC版で追加された主人公の妹の同級生遊佐みずき。隠しヒロインとしてメルと、主人公の義理の妹の高山みこと、全6人。
 男の子の方は全員忍のクラスメイトになる同級生。弥生の幼馴染みで一見クールな辻隼人、双葉の兄の滝沢一樹、気弱な河井幸太、DC板で追加された医者の息子の今市伸行の4人。

 基本はノベル系アドベンチャーゲームなので、テキストを読み進めていき選択肢を選んでいくという形になりますが、この作品の場合縁結びをするためのキーワードを通常展開するイベントの中から拾っていくことになります。拾い上げたキーワードは「殻」と呼ばれる記録装置に登録され、ふたつのキーワードを組み合わせ「大きな殻」とすることで攻略に必要なイベントを発生させるフラグに育てます。正しい組み合わせを模索しつつ、相棒をつとめるメルに相談していく……というのが基本的な流れ。殻は数が限られていますので、全てのキーワードを駆使していくのは非常に困難です。不要なものを殻から消しつつ、期限切れにより使用不能になった殻も排除し、効率よく進めていくことがクリアへの早道になります。
 ぶっちゃけて言うと殻に記録されるキーワードの文字の色がそれぞれのカップル候補に対応しています。赤い文字の殻とくっつくのは赤い文字の殻だけです。なので難易度はさほど高くない……というとそうでもなく、この作品は結構難しいです。殻はたくさん流入してくるのに、どれとどれを組み合わせれば良いのか、その判断が簡単では無いからです。カップル成立に必要不可欠な殻を入手するために必要な殻なんてのもあったりして、きっちりとした手順を踏むことが大切になってきます。
 4組のカップル候補のうち、ひとつでも成立させれば忍が大学生へ復帰するエンディングへ。
 この作品にはもうひとつの解法が存在します。殻を正しく組み合わせてもメルに相談しないことで、カップル候補の男の子のかわりに忍がヒロインと仲良くなってしまおうという、そういう……。どのカップル候補も初々しい連中なので、ヒロインを横からかっさらうのはあんまり良い気分ではありませんが、これをクリアしないと隠しシナリオであるみことシナリオへ進むことが出来ません。
 こちらの横取りエンディングの場合、忍は小学生のままです。
 メル攻略とみこと攻略は非常に難易度が高く「同時に3カップル成立させた上でメルorみことを攻略」する必要があります。予備知識無しで始めると1カップル成立させるだけで精一杯なのに、同時に3組となると至難のワザです。殻の数は限られていますから、ほとんど綱渡り的な攻略スタイルになってしまいます。各カップル成立に絶対必要な殻とそうでないものをシビアに見極めなければ、ほとんど無理です。そういう意味でも難易度の高い作品であるといえます。

 プレイしてみた感じ、テキストに変な癖があって演出面の弱さを感じますが、これはすぐに慣れる程度で明確な欠点として指摘出来る程度のものではありません。一部キャラで台詞とボイスの発生のバランスが良くなく、レスポンスの悪い部分あり。これも慣れればたいしたことはありません。
 登場人物の大半が小学生であるということで、重厚なシナリオ展開は期待するだけ無駄です。こんなもん小学生キャラでなきゃやれるか、というようなイベントも数多く揃っています。おそらくこの辺が好みの分かれる境界になるでしょう。
 システムは必要なものが不足無く揃っていて使いやすい方です。ボタン一発でバックログを表示できないことだけ少し気になりますが、「殻」を管理する画面への移行にボタンを割いてあるのでやむを得ないでしょう。
 出来れば一度組み合わせることに成功した殻の記録を履歴に残せるようなシステムを付け加えてくれていればプレイもだいぶ楽になるのですが、そこが残念です。なので面倒でも自分で殻のゲット、正しい組み合わせ、殻の崩壊のそれぞれの日時をメモしていくのが結果的に近道です。ちなみに殻が不要になる=殻にヒビが入って使えなくなる、ということは同時に割れた同色の殻は正しい組み合わせのひとつであるということになります。ただし殻A+殻Bが成立し殻A+殻Bも成立して同じイベントを発生させられる例でも、殻Bと殻Cはくっつかない、ということも多々ありますので注意。

 おそらくネットを検索してもDC版追加キャラであるみずき×伸行の攻略は出てこないと思われますので、少しだけヒントを。このカップルの場合、早期に入手した殻がかなり後になって使うものだったりするので、きちんとストックしておかないといけません。中盤にプールへ行くイベントが起きなければ、カップル成立、横取り共に不成立です。プールイベントを目指してください。

 追加
 みことシナリオでは3カップルを成立させる必要はないということのようです。1カップル成立させればそれでオッケー。ここに訂正しておきます。

てんたま2wins
駄目双子滞在系SLG風味恋愛アドベンチャー
 一部でKID初期四部作と呼ばれているノベル系作品の一角「てんたま1st sunny side」の直接の続編になります。続編というだけあって基本的な舞台設定は継承されていて、今回の主人公である一ノ瀬晶の通っている高校は前作主人公早瀬川椎名と同じ柊咲高校になっています。時系列で言うと前作の2年後ということになっているようです。
 そういうわけで前作をプレイした層を主なターゲットにしている作品と言えますが、メインで登場してくるキャラクターはほぼ一新されていますので、必ずしも前作の知識無しにはプレイ出来ないということはありません。

 「てんたま」2代目主人公一ノ瀬は前作のプロローグ編で病死した渡瀬双葉の従兄弟に当たります。晶の実家は田舎にあって周辺に適当な高校がないため、親戚筋にあたる渡瀬家へ居候する立場になりました(渡瀬家の幼い愛娘の観月は前作のラスト近くで乳母車に乗っていたあの子です)。
 晶は居候させてもらっているお礼として積極的に観月の世話をするようにしていましたが、観月の母親の葉子に彼女が店長を務める和風ファーストフード店「あいみるちゃ」のバイトを薦められます。理由は欠員補充。
 そんな時期晶が自室で寝ていると、なんの脈絡もなくふたりの少女が落下してきます。本人たちは紅絹と加絵の天使見習いだと名乗り、自分たちの試験合格条件である「晶を幸せにする」ためにやってきたと主張しました。明らかに胡散臭い話でしたが渡瀬家がこれを受け入れてしまったために奇妙な同居生活が始まることになります。果たして青い猫型ロボよろしく押入に押し込められた双子は、ちゃんと晶の幸せを探し出し試験に合格することが出来るのでしょうか?

 ソフトのパッケージに大々的に登場しているのが例の駄目双子紅絹&加絵であるために彼女たちも攻略ヒロインのひとり(ふたりですけど)であると錯覚しがちですが、実のところ攻略は出来ません。「てんたま2」において攻略ヒロインとして設定されているのは前作のラクロス部コンビが通っていた聖沙女学園一年生真田純菜、晶と同じ柊咲高校の一年生五十嵐真雪、元聖沙の生徒で浪人生の雪村明日香の三人と、極めて少ない人数に抑えられています。
 この作品は主人公の一ノ瀬晶にパラメータを設定していて、あいみるちゃでのバイトと駄目双子による特訓によって調整するようになっています。各ヒロインを攻略するためには、このパラメータを一定以上に調整する必要があり、デタラメにプレイしていてもクリア出来ません。逆に言うとパラメータと好感度さえキープすることさえ可能ならば、全ての選択肢を間違っても目当てのヒロインを攻略することが可能です(これも相手によりますが)。
 バイトのシフトと特訓メニューは毎週日曜日に一括して選択するようになっていて、毎日の結果判定もボタンで軽くスキップすることが出来ますので、作品の持つ軽妙さを損なう要素にはなっていません。
 シナリオそのもののボリュームは大きくありませんが、各ヒロインの個性をきちんと押し出していく作りになっています。ヒロインの数が少ない分、各ヒロインのエンディングを増やす作りです。そのためクリア後もそれほど物足りなさを感じることはないでしょう。全体的にほどよくまとまった堅実な作品であると思います。
 欠点はせっかく設定しているパラメータを生かしきっているとは言えないことでしょうか。パラメータを上昇させたことがイベントの発生にダイレクトにつながっていません。パラメータはあくまでクリア条件としての機能しか果たしていません。メインストリーム以外にパラメータに連動するイベントを豊富に盛り込めば、攻略ヒロインではない双子や栞に関するイベントを強化することも可能であったと思われます。また、イベントをこなしつつグッドエンドではなくヘタレエンドに向かうなどといったゲーム性を加えることも出来たのではないでしょうか。
 バイトのシフトと特訓の正否はランダムで決まりますが、隠しパラメータの「運」も大きく影響を与えていまして、プレイを重ねるたびに運の値は上昇していきます。つまりプレイすればするほど行動失敗しなくなっていくという仕組み。極まるとパラメータが上がりすぎて逆に厄介になるということも……。
 また、なぜかヒロインの純菜だけ、汎用CGとイベントCGに差違がありすぎるという面もあります。汎用CGでは幼い感じで、イベントCGではかなり大人っぽい雰囲気です。どちらかというと汎用CGの純菜の方がそれっぽいと思います。
 この作品はメインに前作を書いたライターを据えていますが、三人のヒロインのうちひとりを「マイメリーメイ」をノベライズした人物に書かせています。そのせいかそのヒロインだけ随分と違った雰囲気のシナリオになってしまいました。これをどう評価するかは難しいところ。
 トータルで見ると破壊力のあるキャラである駄目双子を攻略の外に置いても作品としてのまとまりを欠くにいたらない、なかなかのレベルに仕上げられているのではないかと思いました。

 初回限定版に付属してくるCDにはヒロイン3人+栞のボーカル曲が収録されています。が、通常版との値段のかねあいと考えるとやや高いシロモノです。これなら別に発売されるボーカル集を買った方が良いです。むしろ限定版の魅力は設定集の方にあります。説明書やKIDのOHPにもないプロフィールが書かれており、某誌連載の漫画の番外編が載っています。ちゃんと連載が単行本されるかどうかは……不明。

バルドフォースエグゼ
電脳空間サバイバー型ハードアクションアドベンチャー
 いよいよもって消滅寸前というところまで来たドリームキャストの最後っ屁のような作品で、おそらく末期DCにおいてもっとも元気が良かったと思われるアルケミスト+ヒューネックスのタッグによる作品。例によってパソコン18禁作品からの移植作で、元々の開発は戯画。確か同じアルケミストの「ショコラ」と同じ会社だったのではないかと記憶しています。

 パッケージに記述されているジャンル名は「SFアクションアドベンチャー」となっています。昔のゲーム界にあったアクションアドベンチャーなるものとはほぼ別物で、ここ数年ですっかりスタンダードになってしまったノベルタイプのアドベンチャーゲームにアクション要素の極めて強い戦闘パートを組み入れたという形式です。「サクラ大戦」の戦闘がすべて「サクラ3」収録のミニゲーム「光武ナックル!!」になったと考えると分かりやすいと思います。もしくはPCエンジン時代にあったギャルゲーのアクション+ビジュアルシーンという形式の比率がビジュアルシーンの方に大きく片寄った感じ。
 ぶっちゃけた話、戦闘シーンをノベルでのコマンド選択式にしてしまえばアクション要素を省ける内容なので、いくらでもあるノベルタイプギャルゲーのひとつだと考えてもらって構いません。

 「SF」という冠がつくことから想像出来る通り、この作品は行き着くところまで行き着いてしまったネット社会の裏側という退廃的なイメージの近未来世界を舞台としています。
 「チップ」を首筋に埋め込むことにより、仮想のネット空間へ意識をダイブさせることの出来るようになった社会。主人公の相馬透はその底辺にあるスラム地区を根城として凄腕のハッカーとして仲間と共に「草原の狼(ステッペンウルフ)」というチームを作っていた。透はハッカーであると同時にネット空間で使用する武装兵器「シュミクラム」の天才的パイロットであり、どんな危険なハッキングも無事にやり遂げている。
 しかし、やんちゃないたずらから引退することを決意した最後のゲームで破局は訪れる。親友の内、ひとりは身柄を警察に拘束され、ひとりは死んでしまった。ネット空間での死は現実世界でも死となってしまうのである。
 透はなんとかネット空間からの脱出に成功するものの、警察に逮捕されてしまう。そのままでは刑務所送り決定というところで、八木澤という男が現れ透に助け舟を出して来た。親友の仇を討つために彼の誘いに乗る決断を下した透は、ハッカー時代の敵であった軍人への道へと進んで行く。
 そしてそこからの数々の選択が彼を数奇な運命へと導いて行く……。

 学園物が幅を利かせるギャルゲー界において近未来を舞台設定に置く作品というのは意外と珍しかったりします。そのためわりと新鮮な、もしくは過去の剣乃作品にあったような懐かしい雰囲気を味わうことが出来ます。この作品だけでしか通じない特種用語の数々も雰囲気を高めるスパイス的な効果を発揮しており、これだけで人にお勧め出来てしまうくらいの魅力を持っています。
 「バルド」の物語世界では軍部とテロリストが激しい戦いを繰り広げていて、第三者として軍に協力する民間のネットセキュリティ会社も存在。ゲームのシナリオは分岐によって、そのいずれにも主人公が所属するというダイナミックな構成です。それによって主人公は敵であったもの、味方であるはずのものの隠された真実を知ることになる。このあたりのさじ加減はなかなか見事です。
 この作品のヒロインとなるのは、軍からチームメイトでオペレーターの瀬川みのり、同じくチームメイトの紫藤彩音。
 テロリスト「飛刀」に所属するリャン、透の幼馴染みであり「草原の狼」でも仲間だった笹桐月菜。
 「草原の狼」で仲間だったものの、誰も現実世界での素顔を知らない凄腕ハッカー「バチェラ」。
 それに最後に控える謎の仮想空間幽霊(ワイヤードゴースト)の6人。
 クリア出来る順番が厳密に設定されていて、みのり&彩音>リャン&月菜>バチェラ>ワイヤードゴーストという構成です。シナリオをクリアするたびに新しく選択肢が増え、別の分岐に乗ることが出来るようになるという仕組みになっています。
 いずれのシナリオでもラスボス級の敵を相手に回すことになるので、かなり盛り上がります。特にラストシナリオの真の最終ボスの強さといったらもう……。
 全ヒロインに複数(2or3)のエンディングが用意されています。グッドバッドという分けられ方こそされていませんが、エンディング毎の落差はものすごく大きく、バッド気味なエンディングを見ると鬱になること受けあい。なのにグッドエンドよりも味わい深いバッドエンドもあってなかなか侮れません。

 続いてこのゲームのもうひとつの主役であるアクション面。
 プレイヤーは透の操る「シュミクラム」というメカ(ネット空間のことなので、実際にはプログラム)を操作することになります。視点は2Dタイプのフィールドを見下ろす俯瞰タイプ。敵との位置取りによって自動で拡縮します。
 十字キーで上下左右に歩行。同じ方向に二度入れることでダッシュへと移行し、Rトリガーで敵を自動追尾するショートダッシュを繰り出します。が、DC版の場合十字キーよりもアナログキーで操作する方が遥かに楽です。こちらは普通にアナログキーを傾けるだけでノーマルダッシュしてくれます。一応軽く入れることで歩行も出来ますが、戦闘中に歩くケースは皆無なので忘れて構いません。
 攻撃に使用するボタンはABXYの4種。ABXはそれぞれボタンに割り振った攻撃を使い、Yボタンはゲージを溜めることで出せるようになるフォースクラッシュ用です。
 特徴的なのは、自機の状態によってABXボタンを押して出せる攻撃が大きく変化することでしょう。格闘ゲームをイメージしてもらうとわかりやすいでしょうか。敵と非常に近い位置、敵と離れた位置、ノーマルダッシュ状態、ショートダッシュ状態で出る攻撃が異なります。つまりひとつのボタンで4種類の攻撃を出せるということです。それが3ボタンありますから、全部で12種類+フォースクラッシュひとつで13種類。プレイ中はこれらほぼ総てを使いこなさなければいけません。
 というと複雑に聞こえるかも知れませんが、やってみると意外と簡単です。近接時は直接攻撃武器、離れた位置ではトラップ系や射撃武器、ノーマルダッシュ中は牽制を兼ねた射撃武器、敵へ突っ込むショートダッシュ中は当たりの強い打撃攻撃武器とおおよその役割が決まっています。
 そしてもうひとつ重要な要素がコンボです。基本的に近接攻撃を出した後続けて同じボタンを押すことで、近接>遠距離>ショートダッシュ>ノーマルダッシュへとつなげることが出来ます。またAボタンで攻撃した後にBボタンの武器へと移行することも可能。この場合Aボタンでノーマルダッシュ攻撃までつなげてもBボタンで出せるのは近接攻撃になります(レバー及びトリガー入力で強引に変更することは可能)。
 また、どんな攻撃でも出せばヒートゲージを増やすことになります。ヒートゲージは簡単に言えば一息に攻撃出来る限界値のようなものです。強力な攻撃ほど息切れして何も出来なくなる状態になりやすくなるという仕組み。コンボ中はヒートゲージが減ることが無く増える一方ですから、自然と出せる攻撃の数に限界が来ます。程度の低い武器ならフォースクラッシュまで全13種の攻撃をつなげられますし、燃費の悪いものだと3〜4種で終わりになります。武装はどのボタンのどの場所にも振り分けられますから(射撃武器を近接に設定出来たりもする)、これをいかに上手くやりくりするかが攻略の鍵になるわけですね。
 ヒートゲージは非常に重要な要素で、ゲージが溜まれば溜まる程攻撃力が上がり、同時に防御力が下がります。コンボは強大な破壊力と装甲のガラス化を伴う諸刃の剣なのです。ゲージMAX状態で敵のフォースクラッシュを喰らうと鬼のように減らされます。即死ありえるくらいです。このゲージは敵にもあって、なにも攻撃してない状態だと防御力が高く威力の低い攻撃を弾いてしまいます。ゲージが溜まっているとどんな攻撃でも入れ放題。また限界までゲージを溜めてしまい減少中の敵は防御力ゼロで、しかもどんな攻撃を出すことも不可能です。叩くならここが狙い目になります。敵の体力やヒートゲージは画面右下にきちんと表示されていますので、常に注意が必要です。ちなみに各武装のヒートゲージ増加量は使い込むことで1/3まで減らすことが出来ます。
 一方フォースクラッシュゲージは格闘ゲームでも普通に見られるゲージシステムです。攻撃を出したり喰らったりすると増えます。用途はフォースクラッシュを出すだけ。この攻撃に限ってヒートゲージMAXでも繰り出すことが可能です。フォースクラッシュはゲージを消費するだけあって抜群の破壊力を誇ります。通常の武装と同様に非常に多くの技が用意されていますので、どれを選ぶかはプレイヤー次第です。使うと自動的にヒートゲージが満タンになるので、増加量軽減のギミックはありません。
 プレイ開始当初は固定武装しか持っていませんが、通常の武装は各武装の経験値を上げることで新たに開発可能になります。一度に開発出来る武器はひとつだけです。中には複数の武器が条件になっているものもあるので注意。フォースクラッシュの方はシナリオ中で特定の敵を倒したりすることでもゲット可能。

 システム面ですが、ノベルタイプに必要なものは一通り揃っています。やや特殊なのはセーブ。この作品のシナリオはそれぞれ章構成になっていて、次の章に進む時にセーブするかどうかメッセージが表示されます。また戦闘シーンに入る前のセッティング画面でもセーブ可能。といっても、通常のシナリオ時にセーブ出来ないということではありません。いつでもセーブ可能です。
 はっきりと特殊な点として、ヒロイン毎に表示される台詞のフォントカラーを変更出来るなんてものがあります。変更する意味とか、ほとんど無いとは思いますが。それと戦闘シーンの難易度選択も可能です。HARDランクに設定するとそれ以下では使って来ないような攻撃もしてくるようになります。けしてミニゲームレベルの作り込みではないのです。
 また、プレイ中シナリオマップを見ることが出来て、これによって現在どの辺のシーンにいるのか、どこからどう分岐するのかなどを分かりやすく知ることが出来ます。分岐条件の結構複雑なゲームなのでとても助かります。

 シナリオのことはあえて触れません。しっかりと面白いから。クリア順が決まってるだけあって、物語の核心が少しずつ明らかになる部分はぞくぞくできること受け合いです。個人的にラストシナリオのヒロインを好きになれませんでしたが、これはあくまで個人の問題ですから。

 シナリオもさることながら、このゲームの最大のキモはコンボにあります。一度のアタックでいかに敵の体力を奪えるかを目指すだけでも充分に遊べる程面白いです。ポイントはコンボ補正とヒートゲージ。
 このゲーム、コンボ補正がかなりきついです。単発なら強力な攻撃でも、コンボの後の方にもってくるとへにょへにょになってしまいます。なのでコンボの前半に単発でダメージの大きいもの、後半に多段技を持ってくるのが基本です。コンボの早い段階で空中に浮かせてしまい、他の敵に邪魔されなくすることも非常に大事ですね。フォースクラッシュもコンボ補正を受けますが、通常武装ほど極端に攻撃力ダウンしません。もっともフォースクラッシュを出すと自動的にヒートゲージが満タンになるので、最後に出すしかないのですが。
 ヒートゲージは先述した通り、上昇させると同じ技でも攻撃力が高くなります。つまりコンボの後半の技は攻撃力が高くなる。でもコンボ補正もかかる(笑)。この辺の微妙な兼ね合いがなんとも面白いのです。
 それに加えて通常武器だけでも12種類設定出来るという点があります。どの武装をどう組み合わせるかはそれこそプレイヤーの数だけパターンがあるといっていいでしょう。このゲームの武装は初期装備の極端に弱い(かわりにヒートゲージ増加も極端に少ない)武装でもない限り、無駄なものがありません。一見して「どう使えばいいんだ」というようなものでも他の武装と組み合わせることで劇的な効果を産んだりします。
 たとえば「インペリアルストライク」という真上を殴る普通にはまったく使えない攻撃があります。この技、まともに当てられないかわりに攻撃力が非常に高いという特徴を持っています。どうやってこの攻撃を当てるか。何通りかの回答がありますが、それを考えること自体が既に面白いのですね。一例を挙げるとバルカンビットで真上に浮かせてから真下へ入り、落下する所を攻撃なんてのが考えられます。
 ちなみに武装は複数のパターンを所持することが出来るので用途によって使い分けることも可能です。

 ラストシナリオをクリアした後はサバイバルモードとヘルモードが出現します。いずれもアクション面を抽出したモードです。サバイバルは本当にサバイバル気分を味わえるモードで、格闘ゲームによくあるものと同じ。ただ、××人抜きとかいうレベルではなく200とか1000とかそういう話になります。極まるとラスボスを5体同時に相手にするとかいうことになるので大変(笑)。また、サバイバルモードは長期戦を想定しているせいか、せっかく育ててヒートゲージ増加量も減らした武器がリセットされています。序盤はこれらの武器を鍛え直すことから考えないといけません。
 ヘルモードは設定されたさまざまなシチュエーションのステージを選択して攻略して行くものになります。本編ではありえなかった戦闘ばかりで、かなりのやり応えです。このモードでのみ、他社製作品の「みずいろ」に登場したヒロインたちが敵として出現します。日和以外はみな鬼のように強いです。実は自機も彼女達の中の特定のキャラに衣替え出来るとか出来ないとか……。
 アクション要素を持つからということもありますが、プレイ後のやり込み要素を持つギャルゲーというのはかなり珍しいと思われます。

 基本的に強くお勧め出来る面白い作品です。PS2版も発売予定なのでぜひプレイして欲しいと思います。
 あえて欠点を挙げるとすると、アクション面での強制イベント中(人形劇みたいなものが挿入される)にスキップするとフリーズするポイントがある点。味方機が勝手に破壊されてゲームオーバーになるケースがある点、敵機の数が増えると露骨に処理落ちする点あたりでしょうか。それにラスボスだけ即死技を持っていて異常に強いこと。たぶん。ファーストプレイでラスボスをストレートに倒せる人はいないんじゃないかと思います。後は複数の武装パターンを確保出来るせいか、セーブ一ケ所あたりの消費ブロック数が多めであるというところでしょうか。プレイする前にVM内のデータを整理しておいた方が良いです。

  日記の関連ページ>2004年11月 

Pia★キャロットへようこそ!!3
ファミレスアルバイター夏物語系SLG
 サターンでもパート1&2が発売されているそれなりに名の通ったシリーズの第3弾としてパソコンで発売された作品の移植版です。一作目では「Piaキャロット」なるファミリーレストランチェーンの一号店(この時はこれしか店舗が無いのでチェーンとは言いませんが)、二作目では二号店を舞台にして夏休みをアルバイトに費やす高校生の物語を連ねてきました。今回もおおよそのフォーマットは同じですが、店は何故か海辺に新設された四号店です。
 今回の主人公はこれまでのふたりと違い夏季限定バイト要員ではなく、元々一号店で働いていた長期バイトが新規開店する四号店へヘルプとして送られたという設定になっています。そのわりにSLGというゲーム性のため、能力値は最低からスタート(笑)。一号店ではよほどヘボだったのでしょう。

 従来作と同じ基本フォーマットということで、3種類から選択出来るウェイトレスの制服も健在。海をイメージさせる露出の高いブルーのもの、パステルカラーのなんだかよくわからんもの、お嬢様学校の制服風のものの三つです。この際スタイルが良くなきゃとか美人でなきゃとか、着られる女性の範囲が極度に狭いというそういうツッコミはナシにしときます。
 ウェイターやキャッシャー、皿洗い倉庫整理等の店舗業務。それに休息時の行動によって能力値が変化し、これがヒロインの攻略に重要な要素となるのも従来通りなので、シリーズ体験者なら迷わず遊ぶことが出来るでしょう。逆に言えばこれといって変わった部分が無いため目新しさに欠けます。それでもシフト設定など細部での遊びやすさは向上しているあたりは好印象です。

 メインになるヒロインの高井さやかは主人公と同じ一号店のバイトでお互いに意識しあう仲でしたが、双方微妙に消極的で進展しないという間柄。主人公は貴重な夏休みを他店のヘルプに費やす決断をし、それをさやかが引き留めてくれないかなーというヘタレな手段を選択しました。結果さやかは見送るだけ。どっこいヘタレなのはさやかの方も同レベル。プレイヤーとしては実にじれったい。接近したり離れたりでなかなか面白いです。
 その他のヒロインも前作に関連のあるキャラを含め、年上年下いろいろ交えてバリエーションに富んでいます。

 とはいえ全体を見回すと残念ながら欠点の目立つ作品です。前作と比較してシフトの選択を目当てのヒロインに合わせておけば大体大丈夫ということで、難易度が下がっています。特定の日に特定のシフトに入らないとダメだということはありません。ですが難易度が低くなりシナリオ性が高くなった分、もはやSLGとしての形態を残している意味を無くしています。無難過ぎてただのノベル系をプレイするのと大差ないどころか、かえって邪魔になっています。実際SLG部分を全面カットしノベル系に編纂しなおした方が良い作品になっただろうと思われます。
 各ヒロインのシナリオも悪くはないのですが、最近はノベルタイプの作品全盛でそれらのシナリオに奥の深さで勝負出来ていません。プレイにメリハリが欠けるのもそれを助長しています。全体的にインパクトが弱く、それがヒロインの魅力にも直結していまいち印象が弱い。小さくまとまってしまった感があります。
 またメインヒロインのはずのさやかが条件を満たさないと出現しない隠しキャラ扱いなのも印象を弱める一因になっているかもしれません。メインの存在感が薄いとゲーム自体の印象の薄さにつながるようです。
 さやかシナリオは先にも書いたようにそれほど悪くないというかむしろ好印象なのですが、最後のまとめ方を致命的に失敗しています。この唐突な終わり方で納得する人がいるのでしょうか。途中までが面白いだけに非常に残念。
 従来作との関連性を強く押し出したのも、人それぞれでしょうがこれも「3」独自のインパクトを弱めた点のように思いました。
 制服が3種類ということで同じシナリオを最低三度クリアしないとCGをコンプリート出来ないというのもめんどくさい。前作「2」が一度で良かったために印象を悪くしています。

 ここまではDCと同時発売されたPS2版にも共通の話です。が、このDC版は致命的に音声の質が悪い。まるでラジオのスピーカーから聞こえてくるかのようなクリアさのない音声は、さすがに聞いていて辛いものがあります。全ヒロインクリアしても最後まで慣れませんでした。容量の都合から来る問題なのでしょうが、PS2のDVDに比べGDのデータ取り扱いの絶対量が少ないとはいえ、さほど大きいデータ領域が必要とも思われないこの作品でこういうことになるのは仕事としてのレベルが低いのではないかと。同社の近い時期に発売された作品「インタールード」の方がCGもテキストサイズも大きいはずなのに特に問題ありませんでした。
 DC版には音楽CDが付属しています。が、これもどちらかといえば不要のアイテムです。さほど特徴的でもない楽曲が3曲入ったところでどうということもありません。

 なんというか、前作ほど面白くなかったという一言で全てを語れてしまいそうな作品でした。駄作ではないので、興味があったら値段と相談してみてください。

Princess Holiday~転がるりんご亭千夜一夜~
モンスター不在系ファンタジーアドベンチャー
 アルケミスト&ヒューネックスによるPC18禁作品のDC移植第3弾になるタイトルです。これまでの「君が望む永遠」および「Wind」の2作でこのタッグのレベルの高い移植能力は明かですが、今回の「プリンセスホリデー」もその流れに則した丁寧な仕事がなされているので、プレイする方も安心です。「君が望む永遠」にはあって「Wind」にはなかったバックログを使った自在型クイックロードも復活しました。システム的に文句をつけるような部分はこれといって見あたりません。

 内容は世間知らずのお姫様が社会勉強をするために城を飛び出して、主人公も居候しているころがるりんご亭へと転がり込むというもの。世界観はファンタジーですが、設定的にはむしろ時代劇で見られるような雰囲気があります。実際設定を時代劇に変えてもこれといって問題はありません。これはおそらく剣や騎士団は出てきても、魔法やモンスターなどのファンタジー定番のお約束要素が出てこないためでしょう。
 ヒロインとして登場するのはお姫様であるレティシア、主人公の妹のシルフィ、主人公の幼馴染みでレティシア護衛の剣士であるエレノア、りんご亭の看板娘レイチェル。店の常連である幼女のラピスの5人。それにDC版で新しく宰相令嬢のディアナが追加されました。全体的にのんびりとしたメンバー構成で、実際作品ものんびりとした印象があります。
 物語序盤はごくふつうのノベル系作品のように読み進めて選択肢を選んでいく流れで、ディアナ以外のヒロインが出そろった後に一日の昼夜に一度ずつ街のマップからヒロインのいる場所を選択していくタイプになります。各ヒロインのシナリオへ分岐した後は最初の読み進めていく形式に戻るかたちへ。選択肢にしろマップ上の場所選択にしろ、どのヒロインに関する決定を下すことになるのかが表示されますので難易度はかなり低めです。
 主人公は教会生まれで剣士崩れという吟遊詩人の青年クリフ・クラウド。修行中に怪我をしてしまったことから剣では自分自身の身しか守れないと悟り、人々を喜ばせられる吟遊詩人への道を選びます。その後彼は楽曲を求めて旅に出て、シルフィの手紙が届いたことから帰国。物語はその途中から始まります。
 どのヒロインのシナリオを通っても物語の基本に王家貴族と庶民との身分差というテーマが入ってきますが、消化出来ているような出来ていないような微妙なところです。主人公のクリフも自分の中にテーマを求めているようで結構適当きままな男なのでなおさらです。その辺りのシナリオの深さよりも単純にヒロインたちとのふれあいを楽しむ方が吉でしょう。
 シナリオよりもヒロイン重視の作品にしては珍しく、複数のシナリオをクリアすることで見えてくる世界の謎という要素も散りばめられています。そのために一部のシナリオは特定のヒロインのシナリオをクリアしなければ進めることが出来ません。とはいえ伏線の提示自体はかなり露骨なので、深読みするのは簡単。分からないということは無いと思われます。

 様々な調整が可能なシステムにレスポンスの良い丁寧な作りなので、プレイそのものは快適です。速度の速いスキップを使えば一回のプレイを30分強ほどで終えることも可能になります。ただ、一部のキャラの音声レベルがやや低いような感じは受けました。その他はほぼ問題無しです。
 元が18禁作品と言うことで当然ながら家庭用向けの修正もされています。が、文章の表現などでかなり露骨な部分もあり、DCの作品としてはかなりHな内容だと思われます。その手直しの具合も含め、ディアナシナリオの追加、既存キャラ3人+ディアナのアナザーエンディング追加、プレイ後に遊べるようになるおまけシナリオの多数追加などサービス精神は目を見張るほど旺盛。移植の姿勢かくあるべしといった内容です。特に中途半端だったラピスのアナザーエンドは綺麗にまとめられ文句のつけようがありません。
 CG以外にもおまけシナリオや音楽など、プレイするたびに追加される要素も多いため、収集していく楽しみもあります。この手の作品としては珍しい要素といえるでしょう。

 細部でのシナリオの甘さはツッコミ出せば切りがありませんが、そういう作風としうことで大目に見られないこともありません。その程度にキャラクターは魅力的です。
 問題点があるとするなら主人公クリフの良くわからない姿勢を挙げることができます。彼の激変していく環境に戸惑っているのかどうかわかりませんが、彼がなにをしたいのかさっぱり見えてきません。のんだくれ通りという国の底辺層に育ったという設定も、吟遊詩人を志したという設定も、ついでに性格設定まで含めて作品に活かされているとは言えません。ファンタジー世界の物語の主人公としては力不足のような気がします。
 ただしその点にしても気になるかどうかはプレイする本人次第とも言えます。シナリオよりもヒロインのキャラクターを重視した作品との認識があれば、これといって大きな問題のある作品ではありません。むしろお奨めできます。

 日記の関連ページ>2003・6月

Blue-Sky-Blue[s]空を舞う翼
無理無茶無謀無思慮無神経無自覚系逆噴射人間集結アドベンチャー
 サターンの”恐怖の大王”「デスクリムゾン」で良くも悪くも有名なエコール。そのギャルゲー用ブランド・レインディアから発売された作品で、末期DCギャルゲータイトルの大方の例に漏れず18禁PC作品からのコンバートです。ブランドを優先して考えた場合、これがDC参入第一弾ということになります。
 そのせいかシステムの部分がかなり独特というか、洗練されていないというか、使いづらいものになっています。とりわけバックログで勝手にボイス再生される、既読スキップが無いという2点はなんとかならなかったものかと思います。キャラクター別に音声のオンオフが出来るのは良いものの、そもそも女性にしかボイスが入ってないというのも今時どんなものなのでしょうか。欠点を欠点のまま残すことは無いと思います。
 選択肢の決定を画面上のカーソルではなく押すボタンの選択に委ねているのもかなり変。つまりAボタンとBボタンで選択するのですが、通常読み進めるのにAボタンを使うので押し間違えることうけあい。十字キーの下でも読み進められるので、こちらを使えば回避出来る問題ではありますが、意味不明なことには変わりありません。

 現代の北海道が舞台になります。特に雪の降る季節の物語でもないので、舞台設定が活かされているとはいえません。
 主人公安倉木智也は気象予報士の父と二人暮らし。男所帯のため、智也の幼馴染みである白石美砂が家事の面倒を見てくれていました。ですが美砂は養母の家で虐げられているため、安倉木家に出入りすることで精神的に依存しているのは美砂の方。
 そういう状況の中、智也の父親の北海道転勤が決定します。美砂は智也から離れたくない一心で、その父親との結婚を決意。これを決行してしまいます。かくして同い年の母親が出来てしまった智也のおかしな転校生活が始まるのでした。
 という簡単なあらすじで内容を紹介出来たら良いのですが、実際には不必要なまでに複雑に折り重なっています。プレイしていくとほどなくして意外な人間関係が明らかに……更に終盤になるともっと意外な人間関係が判明。
 ヒロインは4人。多いとは言えないので難易度は高くないだろうと思いきや、選択肢も少ないクセに妙に難しかったりします。意味があるのかよくわからない選択肢も多い。

 非常に特徴的なのがこの手の作品に一般的な手法である主人公の一人称ではなく三人称の文体で物語が語られることです。それに伴い、視点もころころと変化します。そのわりに文章そのものは主人公の口語っぽい文体で書かれているため、プレイしていると時々混乱することも。文章そのもののレベルも非常に低く、乱舞する誤字、入れ違う文節、見るに耐えない倒置法の多用など、読みやすいとは言えません。「こんばんわ」は「こんばんは」です、念のため。
 読みづらい文章そのものも大きな欠点なのですが、それを上回るほどキャラクターの心理面がズタズタのボロボロです。どのキャラも非常に独善的かつ自分勝手で共通しています。人の気持ちを思いやるようなシーンも皆無。それでいて異常なほど傷つきやすく、些細なことで暴走することもしばしば。前後の出来事とキャラの行動に一貫性が無く、山場になるほどプレイヤーを置いてきぼりにしていきます。
 ひとりだけまったく本筋に関係無いキャラクターがいて、彼女を中心にして時折世界観を無視したようなギャグシーンが展開されますが、本当に本筋に関係ないので、いっそ無い方がすっきりします。無駄なシーンを入れて内容を稼ぐくらいなら男性キャラにも声を入れた方がマシです。
 とにかくキャラクターの痛さが目に余ります。そんなキャラが折り重なって物語が構成されているため、ストーリーも鬱屈に鬱屈を重ねて折り畳んですし詰めにしたような印象です。意味不明のエピローグには吐き気さえします。
 何かテーマらしきものが底辺にはあるのかもしれませんが、そこまで深く作品を理解するのは苦行の域です。生産的な行為とは思えません。そんなことよりもヒロインに魅力がないのが一番問題なのでしょうが。それでもポイントがあるとすれば「風」です。翼に風を当てて自由に飛び立たせるような風。主人公がそういった人物であると登場人物の多くが語っていますが……節穴?

 一応4人のヒロインがいて物語も分岐していくはずなのですが、実際に分岐するポイントに至るまではほぼ完全に共通ルートです。どのヒロインを狙ってもほとんど同じ物語が展開します。そのため、きちんと狙ったヒロインのルートに入っているのかどうかが分かりません。
 汎用CGも基本的にひとつだけ。しかもそれほど出来の良いとは言えないものを使い、表情の変化だけで全てを補うため、視覚的な面白さがほとんど皆無になっています。

 これほど欠点だらけの作品も珍しい。個人的にはいくら探しても良い点を見つけられませんでした。

 日記の関連ページ>2003・6月7月

for Symphony
主人公性別選択可能系恋愛アドベンチャー
 かつてセガサターンの時代に主人公の性別を選択して、男女双方の視点からシナリオを楽しむことが出来るという「エチュード」という作品が存在していました。私はその作品をプレイしていませんし、所持もしていないので評価を下すことは出来ませんが、長い時間を乗り越えてハードを末期状態のドリームキャストに乗り換え「エチュード」直系の血を引く作品が登場しました。それがこの「for Symphony」です。
 開発元は末期になってからDC市場に参入し意欲的にタイトルを供給し続けているTAKUYOで、実際のプレイ感覚はDCで発売された「雪語り」などと大差はありませんが、さすがに選択肢に到達した時の半フリーズ状態だけは解消されました。総じてチープな印象を受ける画面、音声面は相変わらず。画面レイアウトまで大差がないというのはさすがにちょっとどうかと思います。

 物語は主人公が高校生活最後の1年を迎えるという時点から始まり、四季を大きな節目として構成されています。
 先にも書いたようにゲーム開始時に視点を男女の性別で選択することになります。それによって(当然ですが)男性主人公なら女性ヒロイン達との、女性主人公なら男性キャラ達との交流をシナリオを通してなぞっていく、という形です。
 男性主人公藤井和真のシナリオでは休学していたために主人公よりも年上のクラスメイトとなる姫乃春花、仲の良い友人で陸上部の高坂香月、ちょっと行きすぎな下級生春日部瑠璃亜、硬い女教師皇華乃(すめらぎ・かの)といったキャラが攻略ヒロインとなります。
 女性主人公藤井悠希のシナリオでは幼馴染みで剣道部の有馬啓介、真面目な学級委員長加納輝也、高坂香月の弟高坂陽司、ちょっとのんびりとした教師の鳴澤裕也らが攻略キャラとなります。
 視点を変えると攻略キャラだった連中が友人というポジションに入れ替わるといった寸法で、その辺りの試みはなかなか面白いと言えるでしょう。
 ただし、この視点変更はパラレルワールドとして処理されています。主人公の藤井和真と藤井悠希の二人は同じ両親を持つキャラクターですが、兄妹という間柄ではありません。和真でのプレイを選択すると悠希は存在せず、悠希を選択すると和真は存在しません。そのため視点を変更することで発生する、各登場人物の意外な一面や、思わせぶりな行動の真の意味といった、シナリオ構成上の仕掛けのようなものは皆無といって良いと思います。
 このパラレル的な構成と、そもそものシナリオライターの腕前の悪さによって、特徴的な視点変更という面白いシステムはほとんど殺されている状態といって間違いありません。事実上、男女の主人公のふたつのシナリオのゲームを1本で遊べるというだけのレベルです。
 とりわけ男性主人公和真のシナリオが致命的に劣悪です。「勉強嫌いでめんどくさがり屋で一人暮らしなのに甘えが抜けず、それでいてなぜか女性にもてる」という旧態依然としたギャルゲー的主人公の典型から少しもはずれておらず、面白みもない上に無責任で、独創性の欠片もありません。ヒロイン達の描写も平べったく無個性で、きちんと人格を持たされたひとりの人格としての骨格を持つに至っているとはいえません。シナリオそのものも恐ろしく平凡で、今時こんな作品が世に出ても良いのか? と疑問に思ってしまうほどです。
 それに比べればまだ女性主人公悠希のシナリオの方がマシだといえるでしょう。こちらは娘の意思を無視して離婚してしまった両親のせいで、心に傷を負ってしまったまま一人暮らしをしているという設定で、この描写がややしつこくうざったい面はありますが、和真よりは目新しいですし、設定そのものをシナリオにも活かせています。物語は彼女の心の鬱屈の解消と、男性キャラ達との恋愛劇です。ただし、キャラ造形の薄っぺらさはこちらも同様です……基本的に同じキャラクターが登場しているわけで、当然といえば当然ですが。それでも啓介、輝也との三角関係に悩むというシチュエーションはこの手の作品としては珍しいので、かろうじて遊ぶ価値があるといえる点になっています。

 せっかく面白そうなアイディアを盛り込んでいるのに作りが劣悪過ぎて台無しにしてしまったという感をどうしても拭いきれない作品ですが、どうにもこうにも中途半端です。
 四季を節目にシナリオを構築しているのはいいとして、「春」の比重が異常なほど重い。この序章の段階が結構長く続くために「夏」に入った途端に驚くことになります。この作品、「夏」と「秋」の部分にはボイスが入っていません。どちらの主人公を選択しても、どのキャラのシナリオに入ってもこれは同じです。それでいて海でのデートなどごく一部だけ音声が復活したりして、ひどくチグハグな作りになっています。「冬」になったらなったで音声が復帰して、二度びっくりです。思わず未完成のロットなのではないかと疑ってしまう完成度と言うしか。
 また、ゲームとしても……シナリオ分岐の比重も「春」に大きく依存しています。この段階でグッドとバッドが決定してしまうというほどで、その判別は非常に困難です。しかもフラグの管理も微妙におかしくて、バッドエンドを連発することも珍しくありません。

 インターフェースやSE面もシナリオやキャラクター造形に負けずかなり陳腐な出来ですが、肝心なキャラクターデザインと原画のレベルそのものも実に古くさく、魅力を感じることが出来ません。10年前に企画倒れになった作品をアレンジせずに復活させたのでは? という疑いすら湧き出てしまいます。
 販売促進用に何種類もCDを作るくらいなら、ゲーム本体をもっともっと作り込むべきではなかったかと声を大にして言いたいです。欠点だらけの作品であるにしても、やはり途中で音声が無くなるというのはあまりに酷い欠陥と指摘する他なく、製作したスタッフに対して怒りすら感じます。
 褒める部分を探すこと自体が困難なので、お奨めすることは出来ません。「〜〜好きな人になら」といったようなことさえ不可能です。コレクション目的以外の方は手を出さないのが懸命でしょう。
 なお、気力を無くしてしまい、男性視点でひとり、女性視点でふたりを攻略した時点でプレイを辞めています。まだ見ていない部分に光るものが残されている可能性はありますが、「無い」と確信していますので……。
 声優陣だけ妙に豪華なのは、マニアに対する媚びか何かだと思われます。

マージ〜MARGINL〜
メイド三昧巫女三昧ショタ三昧系恋愛アドベンチャー
 システムの不備を指摘されながらもさほど手をいれもせず、わりかしコンスタントに移植作業をしてタイトルを末期DCに供給しているプリンセスソフトの作品です。
 システム面において、前作になる「カフェリトルウィッシュ」からなんら進歩を見せていません。このあたりの怠慢をキズと見るかどうかはプレイヤー次第ですが、サウンド面が微妙に良かったりして、不思議と遊び安くなっているように錯覚できます。実際メッセージのオートリードに関しては致命的に遅かった「カフェ〜」ほど悪くなく、使用に耐えうるレベルにはなっています。ただし速度の調整は出来ませんのであしからず。

 物語の舞台は現代の日本です。もっとも欧州から移築したという洋館の敷地内だけで全てが進行しますので、日本であるという感覚はほとんど皆無です。レトロで豪奢な屋敷に5人のメイドを従えた空間は、幻想的な雰囲気を醸し出しています。5人のメイドは全員が屋敷と同じで欧州の出身なので、なおさらだと言えるでしょう。
 主人公は長いこと自分を孤児で身寄りがないと思っていた天璋院糾(てんしょういん・あざな)。明記されていませんが(実は明記された記述がありますが、これは飲酒シーン対策の安易な改訂らしいので信用出来ない)おそらく中学生くらいの年齢のようです。逝去した祖父からの遺産を受け継ぐために屋敷へと足を踏み込むことになりました。
 ヒロインはメイドが5人、巫女がひとり。警護役メイドのマージ・フォイエルバッハ。同じく警護役のアメリア・フォスリーゼ。清掃担当のエリカ・ブラウン。メイド長のフィン・テンニエス。フィンの実娘のフォニーム・テンニエス。無関係ながら屋敷に迷い込んでしまった巫女の水代このは。あと隠しヒロインがひとりの総勢7人という構成です。
 主人公を含めても純然たる日本人がこのはひとりだけなので、金髪銀発赤毛紫毛のキャラクターが乱舞していてもさほど気になりません。このはは黒髪、糾は緑毛です。糾はハーフなので。

 ネタバレになりますが、タイトルの「マージ」という単語は「精霊」を示唆しています。このは以外のヒロインは全員人間ではなく精霊で、物語も彼女たちの精霊であるがゆえの葛藤、それと主人公の愛情と成長といったことが主なテーマになっています。
 6人のヒロインのうち、マージだけクリアに制限がかかっていて、他の5人のシナリオをクリアしないとルートに入れないようになっています。マージシナリオはこの作品のトゥルーシナリオ的存在で、隠されていた幾多の謎が解き明かされるという展開です。他の5人のシナリオではトゥルーシナリオへ向かうための、伏線といった形になりますが、中途半端で終わるというようなことはありません。また隠しキャラはマージ(最後の物語)クリア後に分岐が新設されます。知らないと見落としがちなので注意。
 ゲームそのものはわずかな選択肢と、一日に数度入る場所の指定、どのヒロインに出会うかの選択で進行していきます。基本的に寄り道はタブーです。狙っているヒロイン一筋で行かないとクリア出来ません。フィン&フォニーム親子のみ途中まで共通ルート扱いで、場所指定には親子の片方しか登場しませんが、出てくる方を選んでいれば問題無しです。

 それぞれのヒロインのシナリオは精霊としての起源に触れていくことになります。そのため普通のノベル系アドベンチャー作品とはやや趣の異なる展開になりますが、それほど奇想天外な物語というわけでもありません。際だった部分は特にありませんし、一部に破綻した部分も見受けられます。それでも各ヒロインのシナリオとしてはなかなかまとまりが良く、佳作レベルにあるといえます。やることが少ないので、スキップするとかなりプレイ時間を短縮出来てしまうのが欠点といえば欠点です。シナリオ毎のボリュームは少なくはなく、多くもなくという程度。
 もっとも特徴的なのは主人公の天璋院糾です。年齢が低いため、物の感じ方や考え方も幼くなっています。このいかにもな少年的乗りについていけるかが、この作品を楽しめるかどうかの大きなポイントです。そんな明らかに幼い少年であるにも関わらず、わりと直接的なHシーンらしきものもあるので、そこら辺にも嗜好の違いによる評価のぶれが出るかもしれません。
 糾が幼いキャラクターであるためか、隠しを含めた7人のキャラクターのうち5人が年上タイプになります(精霊なので厳密な年齢に意味があるかどうか)。残るふたりがほぼ同年齢ということで、年下にあたるキャラクターがいません。
 また閉鎖区域での物語になるため、登場してくるキャラクターが非常に限定されています。ぶっちゃけた話、基本的に攻略ヒロインに当たる女性以外に汎用CGを持ったキャラは出てきません。つまり、糾の周囲は女性だけです。
 レーティングがどうなっているのか、CGはややエロめの傾向にあります。特に「Hなお姉さん」エリカのシナリオだとそれが際だっています……が、当然ながら元のPC版に匹敵したりはしません。

 欠点は難易度が低すぎること。それに油絵調の背景に対してアニメ塗りの汎用CGが浮いていること。例によって汎用CGの基本形がひとつしかなく、表現力に乏しいことなどがあげられます。
 画面上での表現力不足の加重がそのままテキストの方に回されているらしく、文章の表現も不必要にくどく、単調です。
 またプリンセスソフト移植作品の悪い癖で、クイックセーブが出来るのにタイトル画面からそれをロードすることが出来ません。それ以外のプレイ環境はスキップも高速だったりして、大きな問題はありませんが、利便性も低いままです。
 これもプリンセスソフト移植の伝統で、一度既読したシーンはオプションのシーン鑑賞で見ることが出来ます。全ヒロインを攻略しても全シーンを見られるわけではないので、これをコンプリートするとなると難易度は飛躍的に上昇します。ちなみにシーン鑑賞のラストナンバーはオリジナルのミニドラマになっています。おまけです。おまけといえば両トリガー引きっぱなしでオープニング……。
 それと微妙にCGの挿入箇所の選定がズレているような気も。

 個人的なお奨めシナリオはテンニエス親子ですが、美少年が年上のお姉さまに振り回される話だとか、とにかく格好ばっかりで中身の薄い主人公には飽き飽きしたとか、非人間系のキャラクターが好きだとか、メイド服が三度の飯よりも好きだとか、そういう方には向いています。おそらく損はしません。案外女性プレイヤーにも向いてるかも。

 日記の関連ページ>2003・9月

My Merry May
神的音声両極端炸裂型青春系恋愛アドベンチャー
「なにかおもしろいことない?」
という高校生にありがちな退廃的な台詞が口癖の主人公渡良瀬恭介。全寮制の高校のぼろっちい阿見寮で生活するそんな彼の生活が、父親から送られてきた人型人口生命体「レプリス」によって一変する、というややどたばたも入り交じったラブコメディーです。
 「My Merry May」というタイトルが示しているように、五月に恭介の周囲で起きた騒がしい物語という感じで、基本的に青春劇です。レプリスという非現実存在が出てくるのでそういうSFな話が展開されるのかというと、案外そうでもありません。

 もともとはDC生産終了後に発売された貴重なオリジナルタイトルでしたが、後に続編が出ると言うことでPS2にも移植されました。それぞれプレイしましたので、このレビューはDCとPS2の両対応ということになります。

 この作品の特徴は丁寧に描かれたキャラクターによる、王道をひっくり返した人物劇にあります。一見すると人口生命体の美少女に幼馴染み、彼氏の彼女、年上のお姉さん、中学生の影のある少女とこれといって独創性のないキャラクターが用意されていますが、それぞれのシナリオ展開はそういったキャラにありがちな展開を覆すものになっています。この辺は細かく説明するとネタバレになりますし、感覚的な話なので説明自体が難しいのですが、とにかく直球な話ではないということです。
 イベントではなくキャラクター同士のかけあいによる物語展開が印象的で、頻繁に切り替わる汎用CGの演技も相まって、実に生き生きとしたキャラを見ることができます。そのために汎用CGも異常なくらいの数が用意されました。顔だけではなく、仕草でも表情を切り替えられるようになっています。
 この路線はもともとKIDが得意にしてきたものですが、とりわけ「My Merry May」は突出した出来になっているといえるでしょう。

 SF的な展開が中心ではないといっても、まったく無いわけではありません。むしろさりげなくそれぞれのシナリオの中に意味深な伏線が散りばめられていて、プレイ後にいろいろと考察する材料にも事欠きません。
 それでいてメインはそれぞれのヒロインとの物語に比重が置かれている上に、各ヒロインに用意された複数のエンディングも単純なグッド&バッドではなく両方を合わせ見て初めて浮かび上がる要素を含めたりしていて、引き出しの広く奥深い物語になっています。
 ラブコメといっても中心になるのは主人公恭介の成長劇にあり、エンディングの分かれ目は彼が成長出来たかどうかがポイントです。
 またこの手の作品ではヒロインは主人公を好きになるといったような前提の元に話し作られているケースが大半ですが、どうして人を好きになるのかという要素が非常に重視されています。そのため、シナリオによる格差がかなり小さくなっており、どのシナリオも見応えがあり印象的です。

 システムはほぼ完璧です。セーブ機能とショートカット機能によるリスタート。バックログのサイズと音声再生機能。使い甲斐のあるサウンドモード。バランスの取れ充実した機能が揃っており、プレイしていてストレスを感じることはほとんど無いでしょう。スキップ時の演出も必見です。
 DC版とPS2版の違いは、目立ったところでは新規CGが追加されていることになります。新規CGはとても効果的に配置されていますし、全体の解像度も上がっているのでDC版と比べても美しい印象があります。
 また初回版には特典CDが付属していて、ヒロインのレゥ&リースによる主題歌がフルコーラスで聴けます。PS2版を買うなら絶対に初回版を買うべきです。というか、初回版だけしかないような気もしますが。内容は良いのにあんまり売れませんでした。
 とはいえ、PS2版はシステム上の退化がかなり目立ちます。一見すると同じ要素が揃えられているのですが、全体的にレスポンスが悪くなり、機能そのものも劣化しています。特にバックログの使い勝手の悪さは最悪です。売りのひとつだった汎用CGの切り替えの遅さもテンポを削いで悪い印象があります。これはプレイしているうちに慣れますが、退化した部分には違いありません。
 それに私も採用されてたりするアペンドシナリオがほぼ根こそぎ未収録なのが決定的に痛かったりして。

 この作品の最大の欠点は地味で華が無いことです。基本的に「まいめり」ベタボメの私もそれだけは認めざるをえません。でも出来たら地味で丁寧な仕事というのも体験して欲しいなあと思います。

魔女のお茶会
ノンストップハイテンション系踝が割れたーアドベンチャー
 NECインターチェネルとヒューネックスのタッグによるPC移植作品はDCでも「みずいろ」「カナリア」「パンドラの夢」など多数出ていますが、アルケミストに提供しているものと同じシステムを使用した作品はなぜかこの「魔女のお茶会」が初めてになります。
 一見して両ブランドの違いによる特徴というのも見分けられないほど同じなので、プレイ環境の問題はほぼないと言えます。ただし「君が望む永遠」「プリンセスホリデー」にあって「Wind」に無かったバックログを使用したクイックロードのシステムは実装されていません。問題があるとすればその程度になります。メッセージスキップも相変わらず高速で、その気になればあっという間に一回のプレイを終わらせることも出来ます。

 物語の舞台になるのは現代日本のとある街。キャラクターの名前に一切漢字を使用しないという世界観のようなので、やや魔女世界向けにアレンジされた背景のようです。
 ごくごく普通のツッコミ系高校生ノナカロクスケの日常の中に、突如として現れた魔女界からの留学生3人組がドタバタ劇を巻き起こすというストーリー。
 ヒロインは落ちこぼれ魔女のニー、練習熱心なお嬢様魔女のドリル、一見幼女でも実力はトップクラスのポニカ、彼女たちを監督しに来ている上級魔女アキヲ、ロクスケの幼馴染みユウヒメグミ、クラスメイトの図書委員マナムラマナムの以上6名。アキヲのみDC版で追加されたヒロインになります。
 メンバーが出そろいニーがロクスケの自宅へ居候するようになるまでは普通に選択肢を選んで進めるタイプのノベル系アドベンチャーのスタイルで、以降ヒロイン分岐するまで町内の各移動ポイントを指定して話を進行させる組み立てになっています。マップ画面ではその場にいるヒロイン(に限りませんが)が表示されているため、難易度は基本的にかなり低いです。アキヲシナリオのみ例外になりますが。選択肢選びもさほどシビアな印象を受けません。特定のヒロインを追っかけていれば普通にクリア出来ます。
 ただし、どのヒロインのシナリオへも分岐しないバッドエンドも一応存在します。アキヲ狙いで進めると良く見られるエンドです。

 ニー、ドリル、ポニカの3人は修行のためにそれぞれ課題を与えられて来ているということになっていますが(それを魔女のお茶会と呼称する)、3人ともその課題を知らされていません。そのためただ適当に遊んでいるだけにしか見えない非常に緊張感に乏しい、スラップスティックな展開が主になります。主人公のロクスケがツッコミを務めることが多いため、ヒロインは総ボケ状態です。しかもきちんとツッコまないと暴走しっぱなしで誰一人として止まろうとしません。恐ろしいほどのハイテンション劇ですが、同時にテンポも良く仕上げられていて不快感はあまりありません。
 日常部分でのハチャメチャな出来事やどうしようもない脱力系ギャグはとても良い味を出していて、それらを眺めるだけでも充分に面白い内容になっています。ただ、暴走気味の日常部分に比べるとヒロイン個別のシナリオに入ってからの展開がいまいち平凡です。雰囲気も変わってくるので、ちょっと面食らうかもしれません。
 「魔女のお茶会」というタイトルを見れば分かるとおり、それぞれのヒロインのシナリオにはなんらかの形で魔法という要素が関わってきます。それが作品独自の個性と言える部分になります。ただし魔法を絡めたシナリオの出来不出来にはややばらつきがあります。むしろ魔法少女3人組よりも人間界に住むメグミやマナムのシナリオの方が上手くまとまっているかも。3人組のシナリオが劣悪というわけではありませんが。
 シナリオ上の欠点は、恋愛物としての説得力をいまいち欠く点にあります。メグミを除いたヒロインのシナリオに共通して指摘できる欠点で、どのシナリオも珍獣をかわいがっているうちに情が移ってきたというような展開です。ロクスケにしろヒロインにしろ、心が動いていく微妙な機微は働いていません。ヒロインの個別シナリオへ分岐した後に、微妙な違和感を感じるのはそのためでしょう。この作品はあくまでドタバタ劇を楽しむものであって、恋愛物として見ない方が良いのかもしれません。実際、メグミのシナリオだけ浮いているような印象もあります。

 顔の半分はあろうかという大きな目。ウエストよりも太い大根のような両腿。露骨にロリータチックなデザインのキャラに無理にとってつけたような爆乳(一部キャラ限定)。アクの強すぎるキャラクターデザインに慣れるかどうかはプレイヤー次第です。この作品の好き嫌いが最大限に割れるポイントであると言えます。
 また汎用CGだけではなく、二頭身のディフォルメチビキャラによる人形劇によっても場面を進行させる形態を取っているのも大きな特徴です。このおかげで普段視点を固定されているために画面上へ出て来づらい主人公も普通に登場してきて、視覚的になじめるようになっています。ただし表情の表現に乏しいので、この人形劇が上手く機能しているかどうかは疑問です。
 ヒロインの魅力を押し出したキャラクターゲームとして見ると、なかなか良くできています。各ヒロインに別個のエンディングテーマを用意しているのも豪華な仕様です。

 箱の大きな限定版には「ポチのお茶会」というドラマCDが付属してきます。ドリルの飼い犬(犬には見えませんが)であるポチをメインにしたストーリーで、ゲーム中ではボイスのないロクスケも声を当てられています。どうせならゲーム中でも声があると良かったのにと思いますが……。こちらもやはりドタバタ劇に終始する内容で、本編との違和感もほとんどありません。声優のコメントよりもこちらの方がファンアイテムとして実用的かと。
 DC版で追加されたアキヲのエンディングテーマも収録されていますが、フルコーラスではないので微妙なところ。
 あとポチのストラップ付属。

ミルキィ・シーズン
女子寮の管理人になってみよう系ADV
 ドリームキャストをプラットホームに意欲的にタイトルを供給してきたKIDによる作品で、雑誌企画のゲーム化という異色なタイトルになります。当初プレイステーションのみでの発売予定であったものが、急遽DC版と同時発売になるという珍しい経過を経ています。

 主人公は父親の経営している女子大付属校の寮の管理人、そこに住んでいる12人の美少女と一年を通じて仲良くなっていくという話です。
 住人(ヒロイン)はお菓子作りが趣味という綾瀬美樹(15才)、スポーツ少女の野之花沙織(18才)、帰国子女でマイペース派の千浦真林(14才)、大和撫子の星波ちはや(17才)、むいぐるみ好きの宇佐美ゆん(13才)、小悪魔系の蘭咲礼香(17才)、美樹の妹の綾瀬美緒(10才)、女の子の自覚がない藤原樹(10才)、マッドシエンティストの立花真白(12才)最年少の森下潤未(9才)、当直医の進藤かすみ(20才)、寮母の遠山さちえ(20才)という構成。

 シナリオは毎月発生する事件に対処していくというもので、それぞれのヒロインの個別シナリオに入る2月までは基本的に誰を狙っても同じ(小学生4人はひとまとめのシナリオ)。それだけにあまり代わり映えのしない内容を9回繰り返さないとコンプリート出来ないという流れです。
 選択肢+場所指定という基本システムですが、とにかく攻略対象のキャラクターが多い上に、寮生活という背景もあり、この手の作品にありがちな特定のヒロインを狙うと他のヒロインが出てこなくなるということもないため、選択肢が非常に多くなっています。
 また、夏の時点である程度攻略対象が決定されるのですが、夏以降に好感度を上げるイベントのあるキャラもいて、密かにかなり難易度が上がっています。一部のヒロインは攻略サイトを見ないととても難しい。ちなみに小学生四人組シナリオがバッドエンド扱いです。この小学生エンドもそれぞれの好感度によってメッセージをくれる相手が変わります。

 まずキャラありきという作品ですので、シナリオに期待してはいけません。ラストもヒロインと結ばれたというものではなく、仲良くなったという程度に留まります。とはいえ12人もヒロインがいますので、誰かひとりくらいは気に入ったキャラも出てくるのでは……という意味では質より量というタイプなのだといえます。逆に言えば気に入らなかったヒロインの攻略は苦痛そのものです。
 システムは既に完成の域にあったKIDのものを使っていますので問題はなにもありません。選択肢が異常に多い分だけ、クイックロードの使い勝手が悪くなっていますが、気にするほどでもないでしょう。一度クリアしてさえしまえば、ショートカットで各ヒロインのシナリオだけを楽しむことも可能です。
 問題点としてもともとプレイステーションで開発されていたものをコンバートしたという事情から、サウンド面が驚くほどチープであるというものがあります。ただ、明白な欠点はその程度。主人公は名前を変更出来ますが、ヒロインたちは一貫して「管理人さん」と呼んでくるため、ボイス上の問題はありません。

 雑誌企画のキャラ先行作品ということで、作品そのものがネタのようなものですので、あまり深く考えずにプレイ出来れば吉です。それ以上を期待したら痛い目を見ること間違いなし。

恋愛CHU! ハッピーパーフェクト
男女交際禁止発覚速攻退学なんてやっぱり無謀ADV
 発売されるジャンルに大きな偏りのある末期DC。将来のないハードのわりには新規参入してくる冒険者的な会社が少なからずあって、この「恋愛CHU!」を発売したグッドナビゲイトもそのひとつです。

 主人公(名前変更可能)は全寮制で共学の進学校へ通う高校生。ところがこの学校、そんな環境の癖に男女交際一切禁止、共学なのにクラスは男女別という無茶苦茶な校風で、交際発覚次第問答無用で退学という凄いところです。そんな中へ主人公のメル友だった顔も知らない女の子が、性別を偽って転校してきます。あまつさえ寮でも相部屋に。彼女の名は神崎七海。正体発覚=速攻退学という状況で、主人公は果たしてどうする?

 メインになるヒロインは相部屋に吶喊してくる神崎七海、主人公とは幼馴染みで同じ新聞部に所属する佐伯美月、才女の須藤澪、パン屋の娘の月島花梨の4人。サブのヒロインに女教師仁科弥生、花梨の姉の野花、美月の親友の樋口若菜、七海を男だと思ってつきまとてくる関西弁のアメリカ人ライム・リーガンの4人がいます。
 選択肢もありますが、基本的には放課後の行動で「寮へ帰宅」「新聞部へ」「バイト先へ」という3つのオプションから行き先を選択、夜にメインヒロインのNANAと話すか勉強するか……というだけなので、プレイのバリエーションは極めて小さいものになっています。しかも攻略する際は一点集中でなければいけません。そのため難易度は高くありません。
 システムはそれなりの機能を装備していますが、全体的にやや重く、オートモードの速度調整が無いのが痛い。なので文字表示の速度を調整して文章送りの速度を調整していくことになります。大きな問題はありません。
 メインの4人のみ、シナリオクリア後にアフターストーリーになる「もっとLoveちゅ!」追加。

 DCにはいろいろとPCの18禁作品が移植されていますが、この作品はその中でももっとも18禁の色合いを強く残したものになっています。主人公の下半身的に節操のない行動の数々は、やや目に余るといってもいいでしょう。その辺が気にならないのなら楽しく遊べると思われます。合わない人は駄目かもしれませんが。個人的には男の側に都合の良すぎる展開を多めに含んでいるので、あまり好きではありません。
 メイン4人のヒロインのうちの最メインとなるのは神崎七海です。実は女性であるという大きな秘密を守らなければいけないわりには無茶な行動しまくりで、突っ込みつつ呆れるか、コメディとして楽しめるかもプレイヤー次第といったところ。彼女は結構グラマーですし、CGを見る限りバレバレなので(笑)。
 シナリオははっきりいってたいしたことないです。それほど面白いものではありません。特に月島姉妹シナリオはなにがなにやらといったような感じです。また、七海もしくは須藤澪シナリオへ向かおうとすると、美月と花梨のふたりのヒロインの出番はほとんど皆無になります。この辺、かなりアンバランスな印象を受けます。

 メイン4人をクリアし、なおかつサブキャラのシナリオもコンプリートするとアフターストーリーにあるキャラクターのシナリオが追加され、これがトゥルーエンドという扱いになっています。ここまでプレイすると分かると思いますが、この作品の作りは変にちぐはぐです。最終的に見ることになる重苦しい話と、月島姉妹あたりのいい加減な物語にギャップを感じるでしょう。正直言って、メインで見せたいのは七海に関するシナリオだけだけど、それだけじゃ一本の商品としてなりたたないため、不要にエロい他のヒロインのシナリオを設定したというようにしか見えません。それが作品世界観構築の失敗につながっています。それを気にするかしないかで、この作品の評価も違ってくるでしょう。ぶっちゃけ、美月、澪、花梨のシナリオ要らないじゃん、とは思ってますが。
 本編より後日談の出来の方が良いのもどういうものかと……。