第42回 「往住愛子」(5)
 往住愛子編、完結。
 伏線がちゃんと生きましたね。マイクを放り投げて一回転したのち、落ちてきたマイクを受け止める。第38回での「アイドルごっこ」が実戦で役に立ちました。まさか、歌の振り付けをフェイント攻撃に利用するとは。脱帽です。
 
 それにしても、アンコの父親、コモの父親に接触していたとは。ディレクターが言っていた「あたりたい人間」とは、アンコの父親だったんですね。
 戦闘後アンコは死ぬ。娘が隠していた真実を知ってしまったことが、アンコの父親にとって良いことだったのか、それとも悪いことだったのか。それは分かりません。しかし、いずれ知ることになるのであれば、せめて覚悟を決めてその瞬間に臨みたいのが人情でしょう。知らなければ、きっと後悔することになっただろうと思います。それに、知っていたからこそ、父と一緒にテレビに出たいというアンコの望みを叶えてあげることができたのでしょうし。その意味で、コモの父親に接触できたのは良いことでした。
 既に娘を失った父親と、これから娘を失う父親とのあいだで、いったいどんな会話が交わされたのか。全ては読者の想像に委ねられていますが、逃げ出したくなるくらい辛い場面であっただろうことは、想像に難くありません。願わくば、二人の出会いがコモの父親にとっても良い結果を残してほしいです。

 そして今回のハイライトは、アンコによる視聴者に対するメッセージ。
 感情的にではなく、冷静かつ慎重に言葉を選んで発せられるメッセージは、いささかインパクトと個性に欠け煽動力にも乏しいようにも感じられます。その意味で、対民衆向けメッセージとしては、このメッセージが最適解ではないでしょう。しかし、父と娘との唯一の絆であったテレビニュース、それが中学生とも思えないこのしっかりとした言葉を生み出したということを知る読者にとっては、泣いたり叫んだり感情的な言葉を発するよりも、一番アンコの気持ちを雄弁に語ってくれるメッセージとなります。アンコの最期のセリフ、なんとも切ないですね。

 ところで、今回コエムシの機嫌が悪かったみたいですが、何ででしょうね? カタリ君事件のせいかな? それともまだ明らかになっていない事情があるのか。その辺が明らかになること、期待してます。



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