
2000.10.24(火)
斎藤暸二著「意匠法概説[補訂版]」
(有斐閣、1995年)
頁数:459頁
定価:5400円
お気に入り度:6
今日読んだのは斎藤暸二著『意匠法概説』(有斐閣)。
いや、言っちまえば単にゼミで意匠法について発表するからそのための勉強に使った教科書なんですが(^^;グループ発表なんだけど、いっしょにやるグループのメンバーがやけにはりきっちゃってて今回は手が抜けない……
この本は、著者が長く特許庁に勤務していた方なので実務に即した実用的な本となっています。逆に言えば、法律の勉強という面からは余計なことにページを割きすぎている面もあるけれど。例えば意匠出願の際に提出する図面に用いる線の描き方とか用紙の種類なんて法学部生が知ってても何にも得しません(笑)。
まぁ法律的な話はこの際どうでもいいとして、気になった点を一つ。意匠法第2条第1項で「意匠」という言葉の定義をしているのですが、それによると「意匠」とは「視覚を通じて美感を起こさせるものをいう」と規定されています。この「美感」の判断基準を巡って審美性説、趣味性説、注意喚起説、美的処理説といった諸説が唱えられて「そもそも美とはなんぞや」などという話も出てきたり。
つまり、意匠法の基本であるはずの「意匠」の定義さえも必ずしも明確ではないわけで、ましてやある意匠が別の登録意匠を侵害しているのか否かという裁判などでは非常に微妙な判断を要求されるのは無理もないと思えます。
知的財産権法(特許法とか著作権法とか)全般についていえることですが、結局、人間の知的所産であるところの思想、思考を一定の権利として法定すること自体が極めて困難な作業であるわけです。なにせ人間の知的創造力はいつも法律の枠組みに従ってくれるわけではないですから。むしろ従来の枠組みを越える革新的思想にこそ文化的、技術的な価値が存在したりもするし。
つまり、何が言いたいかっちゅうと、問題は多々あるとしてもともかくその困難な作業を一応は遂行していて一定の成果を上げてる知的財産権法、そしてそれを作り支えている人たちはたいしたもんだと、まぁそういうわけです。
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