2000.11.2(木)
森鴎外著「阿部一族 他二篇」
(岩波書店、岩波文庫、1938年)
頁数:98頁
定価:252円

お気に入り度:2

 今日読んだ本は森鴎外著『阿部一族 他二篇』(岩波文庫)。殉死がテーマで、収められている『興津弥五右衛門の遺書』は殉死する前に書いた遺書という形で、『阿部一族』は殉死をめぐっての些細ないきちがいが原因で一族滅亡に至る様子を描いたもの。
 鴎外は以前にいくつか読んだことがありますが、『山椒大夫』や『高瀬舟』といった一部の有名作品以外は面白くなかったです。で、今日の本もやっぱり面白くありませんでした(^^;
 話に聞くところでは日本文学ファンは漱石派と鴎外派に分かれるそうですが、僕は漱石派ですね。起承転結が曖昧で盛り上がりに欠ける点は同じですが、漱石のほうが登場人物に深みがあるし文章が非常に美しいし。とりわけ『虞美人草』は思わず溜息がでるほど見事な文章でした。まぁ、ストーリーはくだらない出来でしたが(^^;鴎外のほうは、漱石の美文と対極に位置する簡潔な文章で、まぁそれが鴎外の良いところなんだろうけど個人的にはあんまり好みじゃないです。
 それに今日読んだような歴史物は史実の羅列に終始していて小説としてどこが面白いのかさっぱりわかりません。『興津弥五右衛門の遺書』はほとんど歴史書かと思うような文章で小説の体を成していないし、『阿部一族』や『佐橋甚五郎』も一応小説の体裁はとっていても鴎外の創作性はあまり発揮されていないように思います。とりわけストーリーが尻切れトンボで終わってるのが致命的。こういうのは嫌い。
 ちょうど今読売新聞で津本陽が『弥陀の橋は』というのを連載してますが同じように史実の羅列にとどまっていて非常につまらないです。昔連載していたジョセフ彦を扱った小説も同様に歴史書みたいでつまらなかったな。どちらも我が家では駄作中の駄作というのが総員一致の見解。
 結局、興津弥五右衛門や阿部一族はすごいけど、だからといって森鴎外がすごいわけではないというのが結論。歴史書ではなく歴史小説を書く以上は史実の中に創作的工夫を潜り込ませないといけないと思います。まぁ、その工夫を僕が見落としているだけという可能性はおおいにあるのだけど(^^;


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