2000.11.8(水)
ねこぢる著「ねこぢるうどん」第1巻
(青林堂、1992年)
頁数:132頁
定価:971円

お気に入り度:7
 ガロって読んだことないんでよく知らんのですが、この作品は無邪気な残酷さで有名だから読んでみようと思って。もっと既知外じみた作品かと思ってたけど案外まともな作品でした。無垢であるということは道徳の規制を受けていないということで、ときとしてどんな残酷なことでもできてしまうわけですが、このマンガはそういう子供の無垢な利己主義が素直に表現されていて好感が持てます。
 例えば「たんこぶ屋の巻」では友達の頭を叩いて出来たたんこぶを食べるという残酷な行為を平然と行っているし、「ねこさいばんの巻」なんかは、ユダヤ人虐殺ごっこをする子供の残虐性を描いていて、崇高な理念に基づく無抵抗主義を意にも介しないその理不尽さには「正義なんて役に立たない」という思いが感じられて共感が持てます。このへん、正義は役に立たないからいじめに対しては力で対抗すべきだという論理が背後にあるように感じられるんですがどうなんでしょう?
 子供が残酷であることはあたりまえなわけで、いじめは常に発生するものなんだろうけど、それが今特に問題となってるのは歯止めをかけるための微妙な心理的規制が失われてしまったからでしょうか。ともかく、そんな社会では不正な侵害に対して理性でなにを言っても通じないのだから、力で反抗しなければ自分のほうが削られて消えてしまう。だから、僕は自分の子供がいじめられたりしたらナイフを持たせて相手を刺すよう言おうと思ってます(笑)。
 作者のことよく知らないけど、おそらく自分の経験に基づくであろう「無力であることへの嘲り」が感じられて痛気持ちいいマンガでした。



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