
2000.10.22(日)
山本弘著「時の果てのフェブラリー」
(角川書店、角川スニーカー文庫、1990年)
頁数:288頁
定価:417円
お気に入り度:9
今日の一冊は山本弘著『時の果てのフェブラリー』(角川書店)。
最近では「と学会」会長としての方が有名な山本弘が10年程前に書いたSF小説です。山本弘には『ラプラスの魔』を読んではまってしまって、他にも『妖魔夜行』シリーズや『サイバーナイト』なんかも読んだけどどれもなかなか良い作品でした。
山本弘は登場人物の心理描写も上手だし、世界認識も僕と一致する点が多いし、なにより、どの作品も「物語としての完成度」が非常に高いのが特徴。盛り上げどころを心得ているから下手に冗長になったりすることもないし尻切れトンボで終わったりすることもない。今まで読んだ著作では失敗作を見たことがないです。
それで『時の果てのフェブラリー』も長いこと探していたんですが、このあいだ、近所の古本屋に何気なく立ち寄ったら置いてあって速攻でゲットしました。灯台下暗し(^-^)
舞台は1998年(もう過ぎてますね(^^;)のアメリカ。突如、オクラホマや千葉沖をはじめとする地球上の6箇所に時間重力異常地帯<スポット>が出現し全地球的な気象異常によって世界に危機が迫る。そしてスポットを消滅させるため超能力少女フェブラリーが活躍するという話。
SFは全くと言っていいほど読まない人間なんでSF的なレベルが高いのか低いのかは全然判断しかねるのですが、超能力の力の由来とか異星人の思考方法とかの説明が非常に説得力があって、どうせ虚構なんだから、というような言い訳で曖昧にしてしまわないリアリティー追求の態度には非常に好感が持てます。
フェブラリーと父親の関係、父親とその親友の関係、<司祭>ウェストンの苦悩などといった人間描写もそつなく上手に描いていて良いです。まあ、やや類型的に見える感もあるけれど。
娯楽小説としては、ここ最近で一番良かった小説です。5年間探し続けてきて良かった〜。
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