消失点





  敵のワルキューレ一機を屠り去ったクラブのスパルタニアンは宇宙の虚空を飛翔していた。
ちょうど、次の撃墜の準備にかかろうとしていたコーネフは、"見覚えのある"スパルタニアンを視界の隅に映し出した。
その機を密かにつけ狙う2機のワルキューレも・・・。
反射的に照準を合わせていた。
その二機のワルキューレを、次の瞬間、宇宙の塵へと化す。一瞬の事だった。
刹那、コーネフの眼前に光と熱の波動が迫りよせた。

−−−―――――――――


――――  何を以って幸せの定義と為すか ――――−−

「ん?何だそれは?」
唐突なポプランの発言に、コーネフは読んでいた本をおいた。
「いや〜、"幸せ"ってなんなんだろうな〜って思ってさ」
「どうしたんだ急に、悪い物でも拾い食いしたか」
意外なものでも見るような目つきをしたが、
ふっと宙に視線をやり、考えてからコーネフはいった。
「幸せの定義なんて、それこそ人それぞれだろう。決まったものなんてないんじゃないか」
寝そべって天上を見つめ、少し考えるように思惑の撃墜王は呟く。
クロスワードと戦闘中の撃墜王はぺんしるで頭をぽりぽりとかいた。
「そういうもんか〜」
「そういうもんだろう」
「おおかた、お前さんの幸せなんて女がいればいいんだろ」
明るい色の髪を揺らし"彼の帝国元帥オスカー・フォン・ロイエンタール顔負けの冷笑"といった風情の顔で見やると、
それを気にも留めない様子でニヤッと笑ってポプランは応える。
「あっ、やっぱりわかる〜?さすがは長いつきあいだ。でも、少し抜けているな、"いい女"ってのが。」
破顔する相棒を尻目に、コーネフはあきれとあきらめが半分まじったような脱力顔で再び本に視線を戻した。
「そういうお前はどうなんだ、コーネフ。お前の"幸せ"の定義」
興味津々といった顔つきでポプランは尋ねてきた。
煩わしそうに顔を上げたコーネフは少し考えるように口を閉ざした。
「まさか三次元クロスワードに埋もれていたいとかいうんじゃないだろーな。」
ちゃかすポプランを横目にコーネフは再び口を開く。
「おれの幸せの定義は・・・・」
「ふんふん??」
好奇心を絵に描いたような顔つきでポプランは頷く。
数秒のインターバルののち、
「・・・・・・やっぱ、教えない。」
ケロッとした、いじわるーな顔でコーネフは口をふたたび閉じた。
ポプランは不平たっぷりの抗議の声を上げる。
「っえーーーー〜〜。何でだよー。このおれに言えないってのかー!」
「このヤロー」
「あっ、イテッ、何すんだよ、こら はなせ」
「バカ〜〜〜、言えよー。このぉ〜、はけ!!」
「ええい、やめんかっ!!」



―――――――――−−−



何を以って幸せの定義と為すか ――――−−



砲撃の光の洪水がコーネフを愛機もろとも包み込む。


――――  おれはけっこう幸せなのかもしれない  ――――


視界のすべては光となる
彼は光のなかにいた


――――  お前のいない世界を知ることは もう ないのだから ・ ・ ・ ・  ・


                                         ―――  消失点  ―――





◆きぎすのコメント◆

なんてこったい、初めてに書いた話なのに、
最初のしょっぱなの一作目でコーネフを殺してしまった・・・。
いや、これで吹っ切れて、もう、好き勝手出来るというもの。(爆)
愛してるぜ、コーネフ



Back  Home