仕事編3、あるいはデットの悲劇・前編

1999年3月23日(火)11時11分-13時27分
No.32048-32133

市場> 「これがリストだ」 グラントの青果市場の片隅でガタイの良い男と黄褐色の髪をした人物が荷物を前 に話していた。 「これが、配達先ねぇ。え〜っと人魚の涙、小春亭、跳ね馬、大樹亭に・・・」 リストにある店の名前を読み上げて行く。全てグラントにある。食堂・酒場・宿 屋である。 「問題無しぃ。じゃあ、配達行ってきますぅ」 「一寸待て。これを着て配るのだ」 荷物に手をかけたところで,男に止められる。その手には袋があった。 首を傾げ男の差し出す袋を受取り中身を確認する。 「はぅ・・・」 袋の中身を見てがっくり肩を落とす。 「ウチで仕事をしてもらう限り、それを着てもらおうか。 それを着る事により、より多くの人にサービス一番青空青果市場を知ってもらう のだぁぁぁ」 力説する男の背後に巨大な野菜達が見えるようだ。 「せめて、男用の制服にして下さぃ・・・」 「却下。それが着れぬなら契約は無しだ」 キッパリと言い放つ男を見て、大きな溜息をつく。 「はぁぁぁ・・・まぁここ2・3日は昼に人居なかったみたいだしなぁ。これもア レを買うためだぁ」 ブツブツ呟きながら制服に着替える準備をする。
大樹亭裏口> 「後はここだけかぁ」 大樹亭の裏口で息を潜め中の様子を確認する。 そのいでたちは、空色のワンピース(スカート丈膝上10cm)、白のタイツを履き 、同系色の布で髪をポニーテールにしている。そして真っ白なエプロンにはピン クの糸で『青空青果市場』と刺繍されている。 「…うっし。誰も居ない」 音を立てぬようそっと裏口を開ける。
バスク> 「うぃ〜。誰かおるかのう。」 と、入り口から登場。 「仕事中の一杯はまた格別じゃからのう。」 と言いながら、勝手に厨房へ入っていく。
配達人> 「うひぃぃぃ」 いきなり人が入ってきたので慌てて木箱の裏に隠れる。
アムナー> 久しぶりにアムナー登場 「・・・やっと帰ってこれた」
バスク> 「え〜と、酒はここにあって・・・ つまみは何か無いかのう・・・」 と、厨房の中を物色している。
配達人> 『うきゅぁぁぁさらに人がぁぁ』 頭を抱える心の中で叫ぶ。 良く見ると箱の墨から空色の布が見え隠れする。
バスク> 「ここにはないか?」 と木箱に手をかけた時、アムナーに気が付き、店の方に出る。 「おぉ、アムナー。久しぶりじゃのう。」 「アムナーも一緒に食い物を探してくれんか? 何処に何があるのか知らなくて困っておるのじゃ。」 と言って厨房に戻る。
アムナー> 「バスク?バスクか!久しぶりだなぁ」 数週間ぶりに知った顔に会えた。冷静な性格のようだが実は感動体質でもあるア ムナーは、バスクに抱きつかんばかりだった。 「食い物?そういえば、見ないうちになんか少し変わったなぁ」 ようやく気づいたように、食堂をみまわした。
配達人> 『うみゅぁぁぁ今日は顔を隠すものが無いぃぃ ・・・あれだ』 厨房の片隅に転がる鍋を見つけそっと引き寄せる。
バスク> ジョッキを片手に持ち、飲みながら物色する。 「ここは、フルーツだけのようじゃし・・・」 「よく分からんのう。どこにあるんじゃ。 鍋も動いておるし・・・」 「ん?鍋? 鍋は生き物じゃったか?」
配達人> 「わはははは、私は青空青果市場の配達人です。 けっして妖しいものではありません」 鍋をかぶり顔を隠した状態で、立ち上がる。 言葉は丸っきり、棒読みだ。
ヴァン> 「うぃ〜っすぅぅぅぅぅ(^^)/」 元気にヴァンが入ってくる。
バスク> 鍋が動いていった先を探そうとしたが、ヴァンが入って来たことに気づき、店に 顔だけ出す。 「おぉ、ヴァンか。食い物のありかを知らんか?」
ヴァン> 「食い物? さぁなぁ。」>バスク 厨房をのぞき込む
配達人> 「ぐうわぁぁヴァンまでぇぇぇ」 鍋をかぶった配達人は頭を抱え込む。 どうやらここの冒険者を知っているようだ。
アムナー> 「ヴァンも久しぶり」 現れた時はかなり疲れていたようだったが、知った顔が増えてくるにつれてだん だん調子が戻ってきたようだ。
バスク> 配達人に気が付く。 「お、おぬしは・・・ ちょっと待っておれ。」 と、配達人に言うと、アムナーとヴァンを呼ぶ。 「少し、こっち(厨房)に来てくれんか?」
ヴァン> 「何だぃ? バスク。」 呼ばれるままに中に入って行く
バスク> 配達人に 「ご苦労じゃのう。店の方に出て、一緒に飲まぬか?」 と、誘う。
アムナー> 知らない顔がひとつ。 「ところで、このかなり怪しい人は何を苦悶している?」
配達人> 「ここの状況は非常にまずひ・・・ ではこれで私は・・・」 棒読みのまま右手右足をだしぎこちなく裏口へ向かう。
バスク> 「まあ、そう言わずに・・・ 少しくらいなら良いじゃろう?」 と、配達員を強引に引っ張り、店の方に連れて行く。
配達人> 「はっはっはご好意だけで結構です」 相変わらず棒読みだ。 黄褐色のポニーテールがせわしなく揺れる。
バスク> 「おぉ、ヴァン、来たか。この配達員さんが一緒にのみたいそうじゃ。」 と、嘘を言う。
ヴァン> 「...そうなのか?」 バスクに説明されて、顔をのぞき込む。 「....暗くて良く見えないなぁ。」 明るいところに連れていこうと手を引っ張る。
配達人> 「はっはっは何を言うのですバスクさん」 鍋をかぶる頭を左右に振る。 ぎこちなく棒読み。
バスク> 「ん?大樹亭にやたら詳しいようじゃのう。デッ・・・ いや、配達員さん。」
アムナー> 「バスク。ずいぶん前になると思うけど、例の結婚式の話し、おぼえてるか?」 食い物を探しながら、語りを入れ始めた。
バスク> 「おぉ、あれか。どうなったのじゃ。」 配達員の手を引きながらアムナーに答える。
配達人> 「あうあういや私はぁぁ・・・」 言葉にならない声をあげズルズル引きずられる。
ヴァン> ズルズル引っ張りながら、 「こら、そんなに抵抗するな!」 近くの棒を拾って、鍋を叩く。 グワングワングワン!! 鍋の中に音が響きわたる!!!
配達人> 「はにゃぁぁぁぁ」 いきなり鍋を叩かれ目を回す。 「うみゅぁぁぁ耳がぁぁぁ」 へろへろとその場に座りこむ。
シア> 「皆さんこんにちは」 この時間には珍しい顔が大樹亭に現れる。今まで以上に彼の周囲には優しい風が 取り巻いていた。何かあったのだろうか?・・・精霊を見ることができる者なら わかるであろう、優しき風の精霊が彼の周囲に取り巻いていることが・・・ 「・・・誰も居ないのでしょうか?」 つぶやくと厨房のほうから声が聞こえてきた 「厨房ですか・・・厨房へは・・・近づけません」 悲しそうに呟き、いつものテーブルにつく
ヴァン> 「おぉ、シアちゃん。珍しいなこんな時間に。」 崩れ落ちた侵入者を引きずって、テーブル席の明るい所に連れて行く。
シア> 厨房から出て来るヴァンとバスクを見つけ 「こんにちは」 微笑しながら挨拶をする 「ええ、たまにはと思いまして・・・でも、すぐに行かなくてはいけないのです けれど」 苦笑しながら言う 早く行かなくては精霊達がすねてしまいますからと、思う 「ところでそちらのかたはお知り合いなのですか?」 配達人を見ながら聞いてみる
配達人> 「うぅぅぅ・・・昨日までは確かに昼間居なかったのにぃ」 くわんくわんする頭を押さえ、嘆く。 「わらひはぁぁただの配達人ですぅ」 結構頑固だ。
ヴァン> (聞き覚えのある声に気付く。) 「......アムナー、シアちゃん。この人、誰だか知ってる?」 みんなの方に侵入者を突き出す。
配達人> 「ですからぁぁただの配達にんなのれすぅぅ」 頭の鍋を抑えながら立ち上がる。 「ここにサインを〜」 意外に仕事熱心だ。
シア> 「どこかで聞いたことがあるような声ですね」 ヴァンに答える。いったい誰であろうか(笑)
アムナー> いつのまにか騒動になってしまっている。とりあえず食い物を探しながら、バス ク相手に語りを入れ続けた−−− 式はとどこおりなく行ったものの、息子とエルフの結婚に反対する新郎の父親が 、手勢とともに乱入したこと。 新婦の兄が怒って魔法を使ったために大混乱になったこと。 式の出席者はみんな無事に避難できたらしいが、最後の祝祷のために自分だけ逃 げ遅れたこと。 以来今日まで、迷路じみたエルフの森の中を、新郎の父の手勢に関係者として追 い掛け回されたこと−−−
バスク> 「おっ、いかん。せっかくシアが来たのに、もう昼休みが終わってしまう。」 と言って、扉の方に向かう。 「大変じゃったのう。また、ゆっくり聞かせてもらうでのう。」>アムナー 「では、また飲もう。」>おーる 「なかなか似合っておるぞ。その格好。」>配達員 と言うと、外に出て行く。
シア> 「お帰りですか?」 扉に向かって行くバスクに言う 「またお会いしましょう」
ヴァン> 「なんだ、バスク。もう行くのか? 気を付けてな。」
ヴァン> 未だ鍋で顔を隠す侵入者の耳元で聞いてみる。 「もしかして、デットかぃ?」
配達人> 「ははは。何を言うやら皆さん」 復活したのか、再び棒読みに入る。 「さぁの受領書にサインを」 鍋の下から黄褐色の髪が揺れる。
アムナー> 「なんか、この『うみゅー』とかって声は聞き覚えあるような気が・・・」
配達人> 「はっはっは」 バスクやヴァンの言葉に頬に汗が浮かぶが、鍋で見えない。 『うきゅぁぁぁこれではまた二の舞?言葉は着おつけてるのにぃ何故ぇ?』
シア> 「・・・デットさんではありませんか」 鍋の下から見えた黄褐色の髪を見、思い出したようにいう 「その服お似合いですよ  でも、なぜ鍋をかぶっているのですか?」 微笑しながら言う
ヴァン> 「....どうする? シアちゃん。」 顔は笑っている。
シア> 「やはり鍋をお取りしてさしあげた方がよろしいと思います」 ヴァンに答える
配達人> 「はっはっは・・・」 だんだん涙声になる。 『何故何故解るのぉぉぉ』 心の中で叫び声をあげる
アムナー> 「お、午後の祈祷の時間だ」 そう言って、階段を上がっていった。久しぶりに、経典をひもとくことができる 。。。荷物が無事ならば、だが。
ヴァン> 「あ、アムナー。また、ゆっくり話そうな!」
シア> 「またお会いしましょう」 階段を上がって行くアムナーに言う。確か話したことないですと思いながら
ヴァン> 「....この声。このバディ。この髪の毛....やっぱりデットだな。」 「.....素直に正体を現せば良いものを。」
配達人> 「勘違いです」 シアの言葉にキッパリと言う。 そして鍋を抑えながら扉へ向かう。 「はっはっはっ。サインは直接マスターから貰いますぅ」
ヴァン> 「配達人さん。俺っちで良ければサインしてやっても良いが...  鍋をとって顔と名前をを確認させてくれないと、トラブルがあった時に俺っち が困っちまう。」 鍋をとるように言う。
シア> 「最近マスターは忙しいみたいでいないのですよ」 配達員に言う
配達人> 「いいえ。サインはマスターに貰うので・・・」 ヴァンに話しながらニジニジと扉に向かう。 「うきゅ。そういえばそうだぁ」 シアの言葉に呟く。
ヴァン> 「....観念した方が良いぞ。デットぉ。 また、みんなには内緒にしておく から...」 『また』と言ってしまって、慌てて口をふさぐ
シア> 「[うきゅ]とは・・・やはりデットさんではありませんか  鍋などかぶってどうしたのですか?」 配達員に言う
配達人> 「・・・しまったぁ・・・」 シアの指摘に動きが止まる。 「こうなっては仕方ない」 意を決したように鍋に手をかけるとヴァンに投げつけ、そのまま後ろを向き大樹 亭を出て行く。 あまりの早さにきちんと顔は確認できない。
ヴァン> 「あぎゃぁ!!」 鍋は見事ヴァンのおでこに命中!! その場にうずくまる。
シア> 「・・・デットさん・・・どうしたのでしょうか?」 デットの素早い行動に反応できずに呟きをもらす 「ヴァンさん、大丈夫ですか?」 心配そうにヴァンを見る
ヴァン> 「.....くぅぅ。反応が鈍かったから取り逃がしちまったぁ....。」 おでこを押さえながら立ち上がる。
ヴァン> 「...シアちゃん。精霊さんで治して。ここ。」 ヴァンのおでこは真っ赤に腫れ上がりまさに『でこっぱち』状態。
シア> 「仕方ありませんね」 苦笑しながらヴァンに言い呪文を唱えはじめる 「風の精霊シルフィードよ いやしの風を纏いて 彼の者に祝福を ウィンド・ヒ ーリング」 みるみるヴァンのおでこの腫れがひいていく。この程度の傷で呪文を使うあたり 、珍しいことである
ヴァン> 「ふぅ。ありがとう。シアちゃん♪」 腫れが引いて元気いっぱい。
シア> 「いえ、お気になさらずに」 微笑しながらヴァンに言う
ヴァン> 「さ〜て、ひどい目に遭っただけだったが。俺っちはそろそろ行こうかなぁ。  シアちゃんも長居出来ないんだろ?」
シア> 「ええ、そろそろ帰ります」 ヴァンに言う 「それでは、またお会いしましょう」 優しい風を身に纏い、大樹亭をあとにした
ヴァン> 「.....去り方が.....。」 シアの颯爽とした去り方に何か対抗心が沸いてきたヴァンはまねしてみた。 「それでは、またお会いしましょうぅぅぅ。」 泥臭いマントをを身に纏い、大樹亭をあとにした
デット> 「うみゅ〜、おかしいなぁ何でばれたんだろぉ・・ サインは自分でしとこぉ」 首を傾げつつスカートをはためかせ、青果市場へ戻る。

長い留守のはてにようやく戻ってきたアムナーであった。ちなみにデットの災難はこれでおわりではなかったのである。


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